キャッシュレスが話題 政府の後押しで急拡大の予感 <前編>
ファイナンシャルフィールド / 2019年5月29日 10時0分
「クレジットカードやスマホで支払いをすること多いのですが、家計簿はどのように記帳するとよいですか」と質問されることがあります。スーパーのレジでもカード払いの人が増えたように思えます。今、キャッシュレス決済を加速させる動きが進んでいます。
日本人は現金がお好き?
5月は「10連休」という長いお休みを経験された方も多かったと思います。元号が令和に代わり新天皇の即位もありましたので、お祝いムードに沸いた連休となりました。
しかし、連休前から「お金」に関して懸念する声がありました。連休中に遊びに行くとなると、それ相応の出費がかさみます。
手許に現金を用意しておくのは物騒ではないか?という心配もありました。結局は、クレジットカードでの支払いが増えたのではないでしょうか。
“予算オーバーで請求が怖い”と思っていた方も多いようです。請求は間をおいてやってきますので、口座に引落されるお金を準備しておくことを忘れないように注意が必要です。
現金を持ち歩く心配を無くす解決策として、キャッシュレス決済があります。カードやスマホで支払いを済ませる方法です。
経済産業省は「2027年までにキャッシュレス決済の比率を40%まで引き上げたい」と推進しています。40%に目標を設定している理由は、諸外国と比べてみるとわかります。
2016年の経済産業省のデータでは、隣国の韓国が96.4% 中国65.8% 米国46.0%です。それに比べて日本は19.8%となっています。キャッシュレスに慣れた外国人は、日本における現金での支払いに、不便を感じていると考えられます。
出典:経済産業省/「キャッシュレス・ビジョン」世界のキャッシュレス動向
政府がキャッシュレスを推進する理由
政府がキャッシュレス決済を進める理由の1つは、このインバウンドへの対応にあります。訪日外国人の人数は急増しています。日本政府観光局によると、訪日外国人の数は2013年に1,036万人でしたが、2018年には3,119万人になっています。
日本は治安が良く、清潔でおもてなしの面でも優れています。観光目的は買い物(モノ)から体験(コト)に変化しつつあると言われていますが、これはリピーターが多い証拠ではないでしょうか。
最近ではSNSを通じて、日本人にもあまり知られていない場所も、インスタ映えする等の理由から人気のスポットになっているようです。
訪日外国人が行く場所は、全国津々浦々に広がっています。小売店や飲食店でキャッシュレス対応が進めば、消費を促す効果は大きいです。彼らは消費の担い手として大きく期待されています。
来年に迫ったオリンピックや2025年の万博のような大きなイベントも控えています。さらなる消費拡大に向けて、キャッシュレス対応が急がれているのです。
もう一つの大きな理由として、国内の人手不足の解消があります。キャッシュレス化することで、事業者にとって以下のようなメリットがあります。
(1)釣銭を用意する必要がない
(2)現金の受け渡しの必要がない
(3)レジを締めて日々の売り上げの計算をしたり、売上金を銀行に預けたりする作業を省くことが出来る
(4)インバウンドの顧客対応がしやすくなる
などがあります。これらは人手不足の解消に繋がりますので、簡単に導入できるのであれば、小売店や飲食店などの事業者も進めたいところです。
10月1日からの消費税増税に伴い、消費が落ち込むことが懸念されています。その対策として、来年6月までにキャッシュレス決済をすると、5%または2%をポイント還元する政策が打ち出されています。
また、導入事業者に対しても支援策が用意されています。政府のキャッシュレス決済を推進したいという意欲が感じられます。
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
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