【相談】大学まで私立に行かせると1人2000万以上かかるって本当?嘘?
ファイナンシャルフィールド / 2019年6月7日 10時0分
新学期の季節です。小中高は基本的な学力が形成される時期ですから、一生の知力がそこで決まってしまうといっても過言ではありません。その時期に、わが子にできるだけいい教育を受けさせたいと思う親御さんは少なくないでしょう。 しかし、文部科学省の「平成28年度子供の学習費調査」によると、幼稚園、小中高すべて私立に通わせると、お子さま1人あたり約1800万円かかります。それに私立の大学の費用を加えると、2200万円を超えます。 お子さま2人で4400万円以上、もし3人なら6600万円以上。住宅購入資金と同じか、それを超える金額が教育費にもかかることになります。子どもを私立に通わせてよい教育を受けさせたくとも、それは無理ということになりかねません。 ここでは少し落ち着いて教育費の内容を分析し、どうしたらもっと効果的によい教育を受けさせることができるか考えてみましょう。
国公立と私立で教育費はどのくらい違うか?
下の表を見てください。これは文部科学省のデータから筆者がまとめた、大学までの教育費の一覧表です。
幼稚園から大学(4年制)まで、すべて私立に行った場合は約2222万円、国公立に行った場合は約791万円。その差は約1431万円となっています。
教育費には入学金、授業料、通学費などの学校教育費といわれる費用だけでなく、学校給食費および学校外教育費と呼ばれる学習塾代、参考書代、ピアノやスポーツなどの習い事費用も含まれています。つまり子どもの教育に関するほとんどすべての費用だということが分かります。
小学校だけで比較してみると、一年間の教育費は私立と国公立で約723万円もの差があります。なぜ、これだけ大きな差が生じるのでしょうか?
その理由のひとつは、学校納付金等(入学金、施設整備資金、PTA会費など)入学金・授業料の差です。これが406万円あります。国公立の小学校は授業料が無料ということに起因します。
もう一つは学校外活動費です。残りの317万円のうち、237万円が学校外活動費の差です。これは、私立の小学校に通わせている家庭は経済的にも豊かな家庭が多く、塾や習い事についても費用をかけているということです。
学校外活動費を中学、高校それぞれでかかる費用で比較してみても、国公立と私立の差はそれぞれ約6万円、約33万円と小学校ほどの差はありません。これは、私立小学校に通わせている家庭では、塾やピアノ、スポーツなどの習い事をかなりさせているからだと推測されます。
どうしたら子どもに効率的に教育を受けさせることができるか?
基本的な学力が育成される時期は、小学校後半から中学・高校時代といわれています。
この時期に私立に行かせようと思うなら、幼稚園、小学校は国公立に通わせ、中学から私立に通わせる、そして大学は国公立でも私立でもどちらでも対応できるようにしておく、というパターンがあると思います。
私立と公立の小学校の、一年間の教育費の差が約723万円もあることを考えると、経済的にもそのような選択をすることは費用対効果の観点からも有効です。 小学校は国公立で授業料を節減し、学習塾や習い事にある程度お金を使い、私立中学受験の準備もさせるというやり方です。
これだと、教育費の総計は、
幼稚園・小学校は国公立、中学・高校は私立、大学は国公立: 1222万円
幼稚園・小学校は国公立、中学・高校・大学は私立 : 1424万円
となり、すべて私立の場合の約2222万円と比べて798~1000万円程度安くすることができます。小学校時代に塾代や習い事にある程度の費用が掛かることを考慮しても、この大きな差は基本的に変わりません。
まとめ
今回は、小学校の一年間の教育費の差が、私立と公立で約723万円もあることに着目して、どのような進路を選ぶのが効果的かという問題を取り上げました。
その差の一番の要因は、やはり授業料です。しかし、それだけでなく、学習費全体に占める学校外活動費の金額の大きさにも注目する必要があります。
幼稚園から高校まですべて私立の場合、教育費計1772万円に対し、学校外活動費計590万円(33%)。すべて国公立の場合は、教育費計542万円に対し、学校外活動費計301万円(56%)となっており、金額的にも比率的にも大きな割合を占めています。
これは授業料と違い、必ずそれだけかかるものではありません。また、内容も親御さんが吟味して比較的費用が安く、質的に優れたものを選ぶことも可能です。ここをどうマネージするかで、費用対効果の観点から見て効率的な教育を行えるかどうかが決まるのです。
出典:文部科学省「平成28年度子供の学習費調査の結果について」
文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」
文部科学省「私立大学等の平成28年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
関連記事
■子どものお金は、教育資金ではなくて、進学資金を貯めていく
■教育資金準備で慌てない為のコツとは?
■高等教育無償化で、大学の費用はどのくらい賄える?
■次ぐ国立大学の授業料の値上げ。授業料の減免制度を有効活用して学費の軽減を図ろう
■国立大学の4年間の「学費+生活費」は、私立大学の「学費」より安い!
この記事に関連するニュース
-
子どもを私立学校に通わせたいと考えています。小学校から私立に通わせる場合にいくら貯めておく必要がありますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月20日 6時0分
-
世帯年収「500万円」で都内に住んでいる、20代の新婚夫婦です。子どもができた場合「私立中学」に通わせるのは無謀でしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月14日 2時0分
-
ママ友宅では「中学受験」するようです。公立の中学校は義務教育だから「無料」ですが、私立中だとどのくらい費用がかかるのでしょう?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月5日 5時0分
-
子どもの進路は「医学部」志望。先日「私立も志望校に入れたい」と相談されましたが、家計的に厳しいです。国公立より学費が高いイメージですが、実際どれくらい必要なのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月30日 5時20分
-
小学生の娘が「友だちがみんな私立中学を受験するから受験したい」と言います。どのくらいお金がかかるのでしょうか? みんなと同じ私立のほうがよいのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月26日 3時30分
ランキング
-
1ブランド物を欲しがる人と推し活する人の共通点 囚われの身になってしまう、偶像崇拝者たち
東洋経済オンライン / 2024年11月21日 14時30分
-
2「無人餃子」閉店ラッシュの中、なぜスーパーの冷凍餃子は“復権”できたのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月20日 6時15分
-
3年金の繰下げ受給、やっぱりやめます!…年金月20万円、定年後も働く64歳・サラリーマンが驚愕した年金制度の思わぬ「落とし穴」【CFPの助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月21日 11時15分
-
4追い込まれたドコモ、「値下げ競争再燃」へ火蓋切る 競合も追随、業界は"ゼロサムゲーム"加速か
東洋経済オンライン / 2024年11月21日 7時30分
-
5フリーWi-Fiに潜む危険?リスク認識と対策は URLや速度に留意、設置側もメンテナンス必須
東洋経済オンライン / 2024年11月21日 8時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください