幸せな家庭にもある「老後資金問題」重要な1つのポイント
ファイナンシャルフィールド / 2019年6月9日 23時15分
![幸せな家庭にもある「老後資金問題」重要な1つのポイント](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_45127_0-small.jpg)
男性が女性より10歳以上年上の「年の差婚夫婦」は、結婚当初は経済的にも安定していることが多いのですが、将来のマネープランには注意が必要です。特に老後資金の準備は早めに対策を考えておきたいものです。 ある夫婦の例を見ながら具体的に考えていきましょう。 A子さんは30歳のときに45歳のサラリーマン男性と結婚しました。結婚の翌年にはマンションを購入、2年後に子どもが生まれたのをきっかけに専業主婦になったのですが、結婚から10年経って一人で相談に来られました。幸せなご夫婦にも「お金」の悩みがありました。
年の差婚夫婦の「お金」の悩み
(1)住宅資金
ご夫婦の最初の悩みは住宅資金でした。独身時代が長かった夫は趣味や交際費の出費が多かったため、貯蓄は多くありませんでした。住宅ローンは返済期間が最長35年、完済年齢80歳までの借り入れができます。
しかし、無理なく返済できるかどうかは別問題。年金生活になってから現役の頃と同じ返済を続けるのは大変ですから、65歳までに完済できるようなプランで考えたいものです。
とすると、45歳の夫には20年のローンが精いっぱいとなり、借りられる金額は意外と少なくなってしまいます。無理して高額のローンを組むのは、定年後に苦しむことになるので禁物。
A子さんご夫婦は希望より予算を下げ、頭金はお互いの親から援助を受けて、20年返済の住宅ローンを組んで住宅を購入することができました。
(2)教育資金
このご夫婦に子どもが誕生したのは夫が47歳のときです。つまり、子どもが大学に入学する18歳のときにサラリーマンである夫は65歳、定年退職を経て年金生活が始まる年齢です。
昨今、私立大学の授業料は文系で年間100万円程度、理系なら150万円ほどかかります。入学金や教科書代など費用も含めれば4年間で少なくとも500万円は必要です。
年金生活になってから大学の学費を負担するのは大変ですから、300万円から500万円くらいは積み立てて準備しておきたいものです。このご夫婦も子どもが生まれてすぐ、大学進学に備える学資保険に加入しました。
ただ、すでに住宅ローンの負担が大きかったうえに子どもが生まれて生活費が増加、貯蓄する余裕はあまりありませんでした。
(3)老後資金
40歳で相談にいらしたA子さんの最大の不安は、老後のことでした。
夫は55歳となり、今後収入が増えることはあまり期待できませんし、夫が65歳前にリタイアしたいと言い始めました。65歳まで働き続けてくれたとしても、夫が65歳のときに自分はまだ50歳。それから先、年金収入だけになる期間の長さに愕然とするのは仕方のないことでしょう。
男性の平均寿命は約80歳です。もしも夫が80歳で亡くなると仮定すると、自分は65歳から一人になってしまいます。女性の平均寿命は87歳ですから、それから20年以上の人生が残っています。
それに気づいたとき、寂しさはもちろんのこと、「お金」のことも大きな不安に感じるようになったとのことでした。
妻が働き続けることで老後のキャッシュフローは大きく改善
夫の年金が受給開始になる65歳から老後が始まると考えると、少なくとも50歳の妻が90歳くらいになるまでのプランを考えなければなりません。
妻が専業主婦の場合、40年の老後資金を準備するのは一般のサラリーマンには簡単ではありません。まして、教育費や住宅ローンで手いっぱいのご夫婦には、これから老後資金を準備できる余裕はなさそうです。
しかし、妻が働いて収入を得れば、話は変わってきます。
例えば、40歳のA子さんが60歳まで働くことができれば、仮に年収100万円でも20年間で2000万円の収入となり、キャッシュフローは大きく改善します。さらに、もしも年収200万円で65歳まで働くことができれば、25年間では5000万円の収入となります。
しかも、A子さんが60歳まで働けば、夫が65歳でリタイアしても、10年間は夫の年金以外に妻の収入があることになります。この収入があるのと無いのでは、老後の安心感が大きく違ってきます。
上記の話を受け、A子さんは、家計を見直すとともに仕事を探すことにしました。まだ子どもが8歳なのでパートで働きはじめますが、いずれは正社員として働くことを目指すつもりだそうです。
ひとことで「年の差婚夫婦」といっても事情はさまざまですが、老後資金を準備するにあたっては、準備期間が短いことと老後期間が長いことに注意が必要です。妻が働き続けるかどうかは明暗を分ける大きなポイントになるでしょう。
執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)
CFP(R)認定者
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