ESGやSDGsとは? 将来も(S)、大丈夫なように(D)、頑張っている(G)会社を応援しよう
ファイナンシャルフィールド / 2019年6月20日 9時0分
運用に興味があれば、「ESG投資」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか? ここ数年で、日本国内でも急速に広がりを見せている運用手法の一つです。 そして、それとセットで使われることの多い言葉として、「SDGs」というものがあります。ESGやSDGsとは何なのでしょうか?
急拡大しているESG投資
まず先にESG投資を説明すると、企業の財務情報などだけでなく、「E」「S」「G」、すなわち
E = 環境(Environment)
S = 社会(Social)
G = 企業統治(Governance)
に関する企業の取り組みも評価して行う投資のことを言います。
これは単に、社会貢献や倫理を重んじた投資手法ではありません。ESGのさまざまな問題に前向きに取り組む企業は、今後も長期に存続し、さらに成長する可能性も高いとの見方から、運用成績の向上をも見込んだ投資スタイルです。
ESG投資は年々増加しており、2018年11月時点で運用規模が80兆ドルを超えたとのデータもあります。(※1)
ただ、この投資手法の課題点として、ESGに係る問題をどう定義し、またその問題に対する企業の取り組みをどう相対評価するかが難しいということがあります。そこで、ESG投資家にとって一つの指標となりうるのがSDGsです。
SDGsとは、社会を良くするために国連で定めた国際目標
SDGsとは、2015年9月に、国連に加盟する193カ国全てが合意して定めた、2030年までに世界が達成すべき目標です。”Sustainable Development Goals” の略であり、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。ただ、日本語でも字面だけでは少し分かりづらいかもしれません。
皆がそれぞれに短期的な利益や効率だけを追い求めていると、地球や人々の生活は遠くない将来に破綻を来たしてしまうでしょう。
そうした事態を避け、持続可能な社会を作っていくために、貧困撲滅や気候変動対策、格差の是正などのさまざまな国際目標がSDGsとして定められました。17の大目標と169の具体的な小目標から構成されています(※2)。
つまり、もっと砕いて言うと、「将来も(S)、大丈夫なように(D)、頑張ること(G)」をリストアップしたものです。そしてこのSDGsを、ESG投資を行う機関投資家の多くが評価基準として利用しつつあるのです。
E・S・Gのそれぞれの課題は評価する人や時代背景によっても異なり得ますが、SDGsでは国際的な合意として目標が具体的に示されており、それらへの企業の取り組みが評価しやすいためです。
このため、投資される側の企業にとってもSDGsは非常に重要となってきました。SDGsに前向きに取り組んでいないと評価されれば、急拡大するESG運用資金の投資対象から外されてしまうためです。
すなわち、ESG投資が広がりを見せるほどに、より多くの企業がSDGsの実現に向けて積極的に行動することが期待できるのです。
個人がESG投資を行うには
個人の投資家がESG投資、あるいはSDGsを意識した投資を行うには、個別の企業を選別して投資するほかに、投資信託を利用する方法があります。
実は、企業側のSDGsへの取り組みに関する情報発信は発展途中であり、個人投資家が十分な、また企業横断的な情報を得ることはまだ非常に難しいと言えます。
ESG投資をテーマとする投資信託は増えており、今年に入ってからも新規設定が続いているので、その中から自分の考えに近いものを選ぶのが良いと思います。
ちなみに、経済産業省も5月末に「SDGs経営ガイド」(※3)を取りまとめるなどしており、今後は企業側の情報発信も増えてくることが期待されています。
どのような運用でもそうですが、常に必ず儲かるという手法はありません。ESG投資も、他の運用方法よりも優れていることがまだ証明されているわけではありません。
しかし、自分の運用資産の一部であってもESG投資に充てることにより、もしかしたらそれで将来の世界(S)がより大丈夫なもの(D)になるのなら、運用ももっと頑張りがいのあるもの(G)に感じられるのではないでしょうか?
出典
(※1)経済産業政策局産業資金課「事務局説明資料」
(※2)外務省「SDGsとは?」
(※3)経済産業省「『SDGs経営ガイド』を取りまとめました」
執筆者:北垣愛(きたがき あい)
マネー・マーケット・アドバイザー
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