上がらないはずの国民年金保険料が上がったのはなぜ?その2つの理由とは
ファイナンシャルフィールド / 2019年6月20日 10時15分
国民年金の保険料について、昨年度は月額1万6340円、本年度は1万6410円、来年度もすでに決まっていて1万6540円となっています。たしか国民年金保険料は毎年280円ずつ上がって、平成28年度からは固定されるはずなのになぜでしょうか。 理由は2つあります。「保険料改定率」と「第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除制度」です。
保険料改定率とは
毎年度の実際の保険料額は、次の計算式により平成16年の改正で決まった保険料額 (下記を参照)に、物価や賃金の伸びに合わせて調整することになっています。
毎年度の国民年金保険料額=平成16年度の改正で決められた保険料額×保険料改定率(※)
(※)保険料改定率=前年度保険料改定率×名目賃金変動率(物価変動率×実質賃金変動率)
上記の名目賃金変動率が、最近のデフレや給料が上がらない状況を受けて1に満たないので、低く抑えられています。
平成16年の制度改正で、国民年金の保険料は、平成29年度まで毎年280円ずつ引き上げられることになりましたので、平成16年の制度改正で決められた平成17年度以降の保険料額は、下記の表のようになります。
(日本年金機構HPを参照)
第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除制度とは
平成16年の制度改正で決められた、平成29年度以降の保険料額(以下法定保険料)は、1万6900円に保険料改定率をかけたものになるはずでした。
しかし、平成31年4月に「第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除制度」が導入され、その費用として100円追加されました。そのため、法定保険料は1万6900円から、平成31年度(令和元年度)には1万7000円となりました。
ですから、平成30年4月は、1万6900円×0.967=1万6340円
平成31年4月は、1万7000円×0.965=1万6410円
令和2年4月は、 1万7000円×0.973=1万6540円となるのです。
その「第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除制度」とは、第1号被保険者の産前産後の国民年金保険料が免除される制度です。免除になる保険料は平成31年4月以降の出産日が属する月の前月から4ヶ月(多胎妊娠の場合は、出産日が属する月の3ヶ月前から6ヶ月)の保険料です。
出産とは、妊娠85日(4ヶ月)以上の出産をいいます。(死産、流産、早産された方を含みます。)対象となるのは、出産日が平成31年2月1日以降の方です。
手続きとしては、現在住んでいる住所の市役所・区役所・町村役場の国民年金担当窓口へ「国民年金被保険者関係届書」を提出することです。
添付する書類は、出産前に届書を提出する場合には、母子健康手帳が必要です。出産後に届書の提出をする場合で、市区町村で出産日等が確認できるときは不要です。ただし、被保険者と子が別世帯の場合は、出生証明書など出産日及び親子関係を明らかにする書類が必要になります。
この免除期間の保険料は、納付されたものとみなして年金が計算されます。この点が他の保険料免除制度や納付猶予制度とは違うところです。さらに、希望すれば付加年金や国民年金基金にも加入できます。なお、保険料を前納している場合、産前産後期間の保険料は還付されます。
前納がお得
このように、国民年金の保険料は毎年、保険料改定率によって、安くも高くもなります。保険料額は毎年2月に決まりますので、安いときに前納してはいかがでしょうか。現金納付よりも口座振替のほうが安くなり、口座振替の2年前納で1万5760円安くなります。
なお、2年前納・1年前納・6ヶ月前納の上期は、2月末までに申し込みが必要ですので、注意してください。引落日は4月末日です。
執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)
高度年金・将来設計コンサルタント
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