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子供が被害者の交通事故、賠償金はいくらか?国は今何をすべきか?

ファイナンシャルフィールド / 2019年6月25日 23時0分

子供が被害者の交通事故、賠償金はいくらか?国は今何をすべきか?

昨今、子供が被害者となる交通事故が相次いでいます。突然子供を亡くした両親の悲しみや理不尽な思いは計り知れません。内閣府の「交通安全基本計画」の目標値と実数値によると、交通事故の死者数は平成27年に4117人で、15年ぶりに増加しました。   車両の技術の進歩や道路状況の向上にもかかわらず、交通事故の死者数増加の事実は見逃せない問題です。   高齢化社会でドライバーも高齢化が進み、以前のように迅速な運転対応ができないドライバーが増えていることも背景にあるのかもしれません。ドライバーとして注意できることは何か、個人レベルでは限界もあるので、今後国として何ができるのか、考えてみます。  

子供の命の値段はいくらか?

子供を亡くした悲しみで、親は加害者のことを考えたくない状況の中でも、現実的には損害賠償を請求することになるでしょう。子供の命の値段は、本来は計り知れないものですが、加害者の保険により、規定に基づいた一定の計算式のもとに金額がはじき出されます。
 
まずは、すべてのドライバーが加入する義務のある自賠責保険と任意で加入する任意保険があり、その保険金がおりることになるでしょう。
 
例えば亡くなったのが4歳児の場合
<自賠責保険> 
最高でも3000万円の保障
葬儀費: 60万円~100万円
逸失利益(被害者が死亡しなければ将来得たであろう収入から、本人の生活費を控除したもの):約2400万円
慰謝料(両親に対して):650万円
合計:3110万円~3150万円
限度額が3000万円ですので、自賠責保険からは3000万円の支払いとなります。
 
<任意保険にも加入していれば> 
一般的には金額無制限の保障
上記金額で3000万円を越えた部分の110万円~150万円が支払われます。
 
加害者が、自賠責保険にしか加入していなければ3000万円が限度、任意保険に入っていれば無制限の保障が多いので、計算された上記金額はクリアできることになります。
 
賠償金をもらっても子供の命は戻ってきませんので、金額が妥当と感じるかそうでないかは個人によりさまざまでしょう。
 

弁護士に依頼すると、慰謝料が増える?!

3000万円では納得できないという場合は、弁護士に依頼して適正な慰謝料の金額を追求していくこともできます。ただし、自賠責にしか入っていない加害者であれば、3000万円を越える請求額の場合の超えた部分は自分で負担しなければなりませんので、支払う能力がない場合もあるかもしれません。
 
<4歳児の損害賠償を弁護士に依頼した場合>
葬儀費: 原則150万円以下
逸失利益:自賠責と同様の計算で約2400万円
慰謝料(両親に対して):被害者が子供の場合、2000万円~2500万円が相場のようです。
合計:4550万円~5050万円
 
これに弁護士費用が請求容認額の10%程度かかるので、455万円~505万円を加えると、およそ5000万円~5500万円になり、これが加害者へ請求する賠償金額になります。
 

国ができる取り組みとは?

<高齢者ドライバーの免許更新時の検定強化>
現在、75歳以上の免許更新をするドライバーは、認知機能検定を受験し、高齢者講習を受けることになっています。しかし、認知機能検査をするのみで、他の病気や運動機能のリスクを計りませんし、講習を受けるだけでは、実際に運転能力が正常かどうかはわかりません。そこで、これまでの更新手続きに加えて
 
・実技検定を加える
・医療機関の健康診断書を提出してもらう
・運動機能に問題がないか、軽い運動テストを行う
 
などの工夫もできることが考えられます。検査人員を増やす必要はありますが、現在の認知機能検査だけでは不十分と思われ、事故の増加に歯止めをかけることに一定の効果があるのではないかと思われます。
 
<高齢者ドライバーのタクシーや送迎車の利用を優遇>
上記制度の免許更新時に数回受験しても更新できない人に対しては、免許を返納してもらうかわりに、タクシーを利用する際に割引などの制度を設ける、あるいは例えば介護施設への送迎などのように、病院への通院などに対しても送迎車を利用できるような仕組みはできないか、検討するのもよいかもしれません。
 
<自動運転技術を支援>
ドライバーが突然に病的発作で運転不能になっても、事故を起こさずに停車できるような車の開発が早急に求められます。そのため、自動車会社に対しても、自動運転技術の精度を高め、人を感知して止まるなどの安全運行ができる自動車の開発を促す必要があるでしょう。研究開発中の企業、あるいは一定の業績を達成した企業には、支援金や報奨金などを出すことも一法かもしれません。
 
執筆者:岩永真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士

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