住民税非課税世帯の学生は大学の入学金・授業料が無料って本当?
ファイナンシャルフィールド / 2019年6月27日 9時10分
政府は、意欲ある子供達の進学を支援するため、(1)授業料・入学金の減免、(2)返還する必要のない給付型奨学金の拡充、を計り両者ともに利用できる措置が2020年4月より実施されることになっています。 これにより、経済的困難をかかえる家庭の子供でも、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校などへの進学がしやすくなることが期待されます。この制度の利用は、どのような基準があり、どのくらいの支援を受けられるのでしょうか。利用方法を解説します。
支援対象は「住民税非課税世帯」及び「それに準ずる世帯」の学生
国の制度ですので、より必要性の高い学生を対象にする目的から、経済的困難の度合いが高い家庭の子供が優先ということになります。そのため、残念ながらすべての学生が対象になるわけではありません。
しかし、これまで経済的な理由で進学をあきらめかけていた子供や、あきらめてもらわざるを得ないと考えていた保護者にとっては、本制度で進学という道が開けることをぜひ知っていただきたいと思います。
2020年4月から新たに進学する学生はもちろん、現在すでに大学等に入学している在学生も対象となります。ただし、大学等の要件は、国または自治体による要件確認を受けた大学等が対象となり、経営に課題のある法人の設置する大学等は対象外となります。
減免する授業料等の財源は、消費税率引き上げ分も活用される予定ですので、この制度の恩恵にあずかれれば、消費増税で生活費は上昇するものの、学費負担の軽減は家計に与えるインパクトは大きいでしょう。
実際にはいくら減免されるのか?
減免される授業料等の上限額は、学校の種類と国公立か私立かで金額が異なり、給付される奨学金は、自宅通学か否かで金額が変わります。目安は以下の通りです。
出所:文部科学省「高等教育の無償化について」より筆者作成
両者を併せて利用すれば、進学にかかわる費用のすべてではないかもしれませんが、学費のかなりの部分をカバーできるのではないかと思われます。
授業料等の減免・給付奨学金 申込手続きは別々に行う
<授業料の減免等>
減免されるのは、「授業料」と「入学金」のみです。施設整備費や実習費など別途徴収されるものは含みません。それらのある程度は、給付奨学金の方で補てんすることができるでしょう。
・2020年4月に進学予定のかた
各大学等が定める手続きに従い、進学時に各大学等で申込をします。複数校受験して、入学金などを複数納めた場合でも、減免される入学金・授業料は実際に通学をする学校1校のみとなります。
・すでに大学等に在学されているかた
各大学等が定める手続きに従い、本年秋ごろ以降に各大学等で申込をします。すでに給付型奨学金を利用している人も、授業料減免の対象になる要件を満たしていますので、申請するとよいでしょう。
ただし、すでに支払った入学金などは減免の対象にはなりません。
<給付奨学金>
日本学生支援機構が窓口になり、歴史は浅いですがすでに存在していて給付も始まっています。2020年4月以降の新制度では、給付額が拡充される見込みです。
住民税非課税世帯という家計要件のほか、申込時までの評定平均(成績)が5段階で3.5以上が望ましいとされる学力要件もあります。
・2020年4月に進学予定のかた
現在在学している高校等(卒業生の場合は、卒業した高校等)を通じて申込を行います。本年6月ころには詳細が書かれた案内書が高校等に届くので、進路担当の先生等へ確認してください。
・すでに大学等に在学されているかた
在学している大学等を通じて申込を行うことになります。本年秋ごろに手続きが始まる見込みです。
・現在、給付型奨学金を受けて大学等に通っているかた
本年秋ごろ以降に、在学している大学等を通じて日本学生支援機構(JASSO)より案内が来る予定です。その案内に従って手続きを行えばよく、通っている大学が要件を満たすと確認されれば、2020年4月からは給付額が拡充される新制度の給付型奨学金へ切り替えることができます。
仮に、在学している大学等が今回の新制度の対象とならなかった場合は、これまでの給付型奨学金を引き続き受けることができます。
奨学金制度の利用には、家計要件を証明する添付書類などを用意しなければなりませんので、早めに準備をすると安心です。
いずれも学校を通じての申請になりますので、案内が学校へ来ていないかどうかをまめにチェックできるように、学校へ通う子供自身にも注意を喚起しておくとよいでしょう。
執筆者:岩永真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
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