【2019年6月に制度変更】ふるさと納税の新しい制度の中身を解説
ファイナンシャルフィールド / 2019年6月27日 10時0分
この数か月、ネット上にやたらと目に付いた「ふるさと納税」という文字。 ネット社会で生活し、TV離れをしている若者の中には“しめきり間近!”“最後のチャンス”という文字が並ぶのをみて、ふるさと納税は「今年度はもう締切なのですか?」「廃止されるの?」という問い合わせをして来られた方もいます。
ふるさと納税騒動の真相
「ふるさと納税」の人気が上昇すると共に、本来の意味を越えて「返礼品のお得感」を競争するため、国(総務省)の求める基準にそぐわない豪華な返礼品を送る潮流に。確かに、各「ふるさと納税」のサイトを拝見し、驚くような返礼品もありました。
海外製の豪華な人気掃除機、地元のゴルフ場プレイ付き豪華旅行券、豪華温泉旅行券、同じビールの返礼品が複数の自治体で、どこでも買える日用雑貨、挙げたらきりがありません。例えば、掃除機は、家電量販店で買えばもっと安く買えます。
しかし、節税効果のある「ふるさと納税」で寄付すれば、本来納めるべき税金の金額の中から賄うことができるのです。つまり自分のお財布の痛手は2000円のみ。
<ふるさと納税のシステム>
本来支払うべき税金-(自治体へのふるさと納税-2000円)=納める税金
※「ふるさと納税」できる控除額は、所得金額により違います。
納税額の多い人なら、然るべくそのようにするでしょう。
令和元年6月1日に制度が変わりました
総務省は、このような潮流に歯止めをかけるため、散々警告をしてきましたが、一向に収まるどころか白熱する一方でした。そこで特に加熱傾向にある4つの自治体を「ふるさと納税」の税優遇から除外することにしました。
・大阪府泉佐野市
・静岡県小山町
・和歌山県高野町
・佐賀県みやき町
上記4ヶ所です。一度除外された自治体は、一定期間再認定を受けることができなくなります。この自治体への寄付はできますが「税制優遇」はされません。
大阪府和泉佐野市は、2019年2月から5月31日まで通常返礼品に加えて「Amazonギフト券」までつけてしまう閉店セールを行いました。これに、人気が殺到し、WEBでも目にしていたと思います。しかし、6月1日からは制度が変わります。
新しい制度の中身
2019年4月1日に総務省から発表された「ふるさと納税」に係る指定制度は以下の通りです。
●総務大臣が以下の基準に適合した地方自治体を「ふるさと納税」(特別控除)の対象として指定する仕組みです。
1.寄付金の募集を適正に実施する自治体
2.(1の自治体で)返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす地方自治体
・返礼品の返礼割合を3割以下とすること
・返礼品を地場産品とすること
※指定対象外の自治体へ6月1日以降に支出された寄付金については、特別控除の対象外となりますので、ご注意ください。
このように、地方税法等の一部を改正する法律の成立により、6月1日以降、ふるさと納税に係る指定制度が創設されました。もうAmazonのギフト券は返礼品として扱われなくなります。
本来の「ふるさと納税」の目的と仕組み
そもそもの「ふるさと納税」の目的と仕組みはどんなものだったのでしょうか。ここでおさらいをしてみたいと思います。
<目的>
少子高齢化の進む日本では、地方の過疎化が問題視されています。そのため、人口の多い地域に納税者が多く住み、地方自治体の財政を困難にしています。
この税収の差を埋めるための施策として始まったのが「ふるさと納税」です。自治体によっては「お礼品」(返礼品)を用意して、地域の特産品や名品をPRする機会にもできます。
<仕組み>
通常、所得税や住民税は、住所地を管轄している税務署・自治体に納めなければいけません。それを一定の上限内(所得により異なる)であれば、自分の出身地や応援したい自治体に「寄付」として納めることができます。
応援したい自治体は、どこを選んでもOK。被災地や所縁のある自治体を選べます。
※注釈:上記の「応援したい自治体」がいつしか「返礼品」の魅力的な自治体に変化してしまったようです。
<方法>
上記で寄付した金額で「所得税」や「住民税」が上限金額内で軽減されます。基本的には2000円の自己負担金以外は控除対象です。また、確定申告またはワンストップ特例制度※1で申請が必要です。例えば1万円の寄付をした場合、8000円の控除となります。
※1:ワンストップ特例制度とは
1年間で「ふるさと納税」を行う自治体が5自治体まで、寄付を行った年の所得について確定申告をする必要が無い人は、「ワンストップ特例制度」の申請を行えば、確定申告が不要となります。
ふるさと納税の期限は、1月1日から12月31日までが、今年度の税制優遇の対象となります。新制度がスタートしました。これからは、本来の目的を理解して、活用してくださいね。
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
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