高齢者世帯の収入・支出から考える、資産寿命を延ばすコツ
ファイナンシャルフィールド / 2019年6月29日 9時30分
人生100年時代といわれる現代。2018年に総務省が発表した統計では、総人口の2.2%を占める約280万人が90歳以上ということが分かりました。 先日、金融庁は「高齢社会における資産形成・管理」について、報告書を発表しました。はたして、金融庁の高齢社会と資産への見解はどうなっているのでしょうか。
平均寿命と健康寿命との差に注意
先述の金融庁の報告書によると、長寿国とされる日本では、平均寿命が男性で約81歳、女性で約87歳でした。平均寿命とは、その年に生まれた人が何歳まで生きられるかを指します。
金融庁の試算によると、現在60歳の方は25.3%が95歳まで、8.8%が100歳まで生存するとされています。医療技術の進歩もあり、今後はさらなる長寿化が見込まれます。高齢になると、いつまでも健康というわけにはいかなくなります。また、健康面だけでなく、金銭面でも何かしらの準備をしておく必要がありそうです。
高齢世帯の収入・支出
夫が65歳以上で妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯の収支は、毎月約5万円の赤字だそうです。夫が85歳までの20年では約1300万円、95歳までの30年では約2000万円の取り崩しが必要と試算されています。
65歳までにそれだけの金額を貯金した場合や、退職金が期待できる場合には、取り崩すお金が準備されているということになるでしょう。しかし、働き方の多様化で転職をする方が増え、退職金の受取額が減少するケースもあります。今後は、自助努力で老後資金の準備をする必要がでてきます。
アメリカでは、75歳以上の高齢世帯の金融資産は、ここ20年で3倍も増えているとのことで、現役のときから資産形成を行っている方が多いようです。
日本でも、NISAやiDeCoなど、個人の資産形成を補助する制度が充実してきてはいますが、個人レベルで資産形成をしっかりと意識されている方は少ないのが現状です。個人のさらなる意識改革が必要となっています。
資産寿命を延ばすことが必要
平均寿命や健康寿命という言葉はありますが、これからは”資産寿命”も意識しなくてはいけない時代になります。前述のように、65歳以降は約1300万円から2000万円が必要です。今ある資産を何も意識せずに取り崩せば、思わぬ出費で資産寿命が縮まってしまう可能性もあります。
金融商品や資産運用に対する知識を早いうちに身に付けて、寿命より前に資産が枯渇しないよう、資産寿命を延ばしていく必要がありそうです。
まとめ
日本では長寿に伴い、資産寿命を延ばすことを各個人が意識しないといけない時代となってきました。資産形成は一朝一夕でできるものではなく、長期での計画が必要です。
そのためには、20代30代の頃から、資産運用を実践していくことが大切。確定拠出年金やNISAなど、老後に向けた資産形成の仕組みもうまく利用していく必要があります。
また、退職金や自助努力での準備が難しい場合には、65歳以上も働き続けて不足分を補うこともひとつの選択肢として考えておいても良いかもしれません。
出典:総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者」
金融庁『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」』
執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)
夢実現プランナー
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