レールの渡り方よりレールの敷き方
ファイナンシャルフィールド / 2019年7月2日 10時0分
スイスのビジネススクールIMDが5月28日に発表した2019年年世界競争力ランキングで、日本の総合順位が前年から5つ順位を落とし、30位になったことが報道されました。 これは1997年以降過去最低というのです。そろそろ上手なレールの渡り方よりも新しいレールの見つけ方が求められていることがここからも読み取れます。
アジアでの魅力度低下が顕著というのもやむを得ない
毎年公表されている競争力ランキングは、4つの項目を基準に235の経済指標を使って分析されており、総合順位は前年3位から技術インフラやビジネス環境の評価によって1位に輝いたシンガポールでした。
これに対して日本は、環境技術やモバイルテクノロジー、長寿についての評価は高かったものの、経済成長の鈍化と企業の生産性の低さにより順位を落としたと報じられています。
しかし、それ以上に目を引いたのが企業家精神の低さが最下位であるという指摘です。確かに、顕著な活躍をみせる新興企業家はいるものの、他国に比べれば圧倒的に数が少ないという印象はぬぐえず、当然といえば当然の結果かもしれません。
問題視されている引きこもりとも無関係ではない
同時に最近よく報道されるようになっているのが、若年層だけでなく中高年層にまで引きこもりが広がっているという事実です。
リストラをきっかけにメンタル面での問題を抱えることになって引きこもってしまうという事例がよく指摘されていますが、筆者の周りでもちらほら見かけるようになり、深刻化しつつある問題であると認識すべきかもしれません。
敷かれたレールを渡るのは上手だが
そろそろ退職時期を迎えようとする世代から今の若年層まで、日本人は与えられた問題に手順を踏んで解答するのは非常に得意です。反面、何もない白いキャンバスに好きなように絵を描いたり、何かを一から作り出したりするということには不得手です。
こちらでも再三にわたり記していますが、偏差値というわかりやすいガイダンスに沿ってひたすら穴埋めを繰り返す反復練習は得意としますが、「○○について思うところを自由に述べてください」というと、いまだに白紙が続出する始末。
需要が旺盛で規格品を大量に生産する、少し改良したものを正確に速く安価に生産するという時代は終わり、顧客側にアイディアを提案してダメ出しをくらい、議論や試行錯誤を重ねて新しいものを作り出すという柔軟性が必須です。
一度レールから脱線してしまうと、新しいレールを見つけたり、ないレールを自分で作り出したりするという工夫ができないまま途方に暮れていては、競争力を回復するのは難しいと感じるのは筆者だけではないでしょう。
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
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