経済的な理由で進学を諦めない。国の修学支援がさらに手厚く
ファイナンシャルフィールド / 2019年7月4日 9時30分
2020年4月より、学ぶ意欲がある子が経済的理由で進学を諦めないための支援が、さらに手厚くなります。 大学等における修学の支援に関する法律に基づき、授業料免除の創設と、給付型奨学金が拡充されます。給付額も拡充し、これまでの給付型奨学金のような人数の制限はありません。対象となるのは住民税非課税世帯、そしてそれに準ずる世帯の学生です。 世帯収入の基準を満たしていれば、成績だけで判断せず、学ぶ意欲があれば支援を受けることができます。 ※令和元年5月現在 文部科学省HPを参照
支援の対象となるのは、どんな生徒?
住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生であることが要件になります。
市町村民税の所得割の課税所得額×6%-(調整控除の額+税額調整額)が100円未満・・・第1区分(標準額の支援)
※ただし、住宅ローン減税やふるさと納税により第1区分になる場合、第1区分に該当しない場合もあります。
100円以上~2万5600円未満・・・第2区分(標準額の2/3支援)
2万5600円以上~5万1300円未満・・・第3区分(標準額の1/3支援)
他に、学生本人や生計維持者の現預金または有価証券などの資産(不動産は対象としない)が、以下の基準未満であることも要件になります。
・生計維持者が2人の場合 2000万円未満
・生計維持者が1人の場合 1250万円未満
収入が少なくても、換金しやすい金融資産が基準以上にある場合は対象にならないのです。
成績の要件として、高等学校等での全履修科目の評定平均が5段階評価で3.5以上あること。3.5に満たない場合は学習意欲があることが必要です。レポートや面談で学習意欲が確認されれば、学習意欲があるものとみなされます。
また、高卒認定試験の場合は、高卒認定の受験・合格で、学習意欲があるものとされます。
さらに、高校を卒業してから大学等に進学するまでの期間についての要件があります。
・高校等を卒業後2年の間に入学が認められ、進学した者
・高卒認定の場合は、試験を受けることができる者となったときから5年を過ぎていない間に合格者となって、合格後2年の間に入学が認められ進学した者
・「個別の入学資格審査会」で入学が認められた場合、20歳以下で大学に進学した者
ここでの大学等とは、「要件確認」を受けた大学・短期大学・高等専門学校・専門学校をいいます。
対象となる大学等
授業料等減免制度の対象となる大学等とは、要件確認を受けた大学・短期大学・高等専門学校・専門学校です。これ以外では、授業料免除の対象になりませんし、給付奨学金も対象になりません(貸与型は利用できます)。
ただし、要件確認を受けた大学で支援の適用となった場合であっても、大学院に進学の費用は支給対象になりません。転学・編入学の場合、適用確認を受けた大学等での修学の期間まで支給されますが、最大6年までです。他に留学生も対象になりません。他の国の補助が支給されているためです。
現在給付型の受給者は、該当大学であれば給付額が拡充した新制度へ切り替えます。在学中の大学が要件を満たさない場合は切り替えられませんが、現在受給中の給付型奨学金を引き続き受けることができます。
新制度の授業料減免は国費を財源とし、国公私を通じ、全国で統一的な基準で真に支援が必要な学生に対し行われます。現在、各大学の独自財源で行われている授業料減免制度の取り扱いは、各大学の判断によることとなります。
いくら支給されるの?
以下の表のように政令に規定される予定です(2019年5月現在)。表示の額を最大として、世帯収入により1/3、2/3の減免・給付になります。
※出典 文部科学省HP
2019年までの給付奨学金の場合、国立自宅2万円、国立自宅外3万円でしたが、授業料全額免除になる場合は国立自宅0円、国立自宅外2万円に減額されていました。
しかし、新制度では授業料が全額免除されても給付金は減額されません。ただし、第1種奨学金(貸与・無利子)は、授業料減免と給付型奨学金の額により調整されます。夜間も、通信制も対象になります。
また、児童養護施設の入所者等、生活保護世帯出身者のうち、住居に要する費用が必要無いとされる場合、給付額は、
【大学・短大・専門学校】国公立3万3300円、私立4万2500円
【高専】 国公立2万5800円、私立3万5000円
となります。
授業料減免は各大学等が実施し、国や地方公共団体が補助します。給付型奨学金は、日本学生支援機構が実施します。よって、申し込み時期がそれぞれ違います。
2020年4月からの給付奨学金は2019年6月中旬、授業料・入学金減免の申し込み時期は各学校によります(入学手続き時等)。
詳しくは、文部科学省HP「高等教育段階の教育負担軽減新制度に掛かる質問と回答Q&A」をご覧ください。
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
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