もっとも空家率が高いのはどこ? 都道府県の差が拡大している空家問題
ファイナンシャルフィールド / 2019年7月10日 9時0分
最新の住宅・土地統計の調査結果が発表され、空き家数も空き家率も過去最高となりましたが、空き家の状況は都道府県によってかなり違いがあります。そこで、都道府県ごとの空き家状況を確認してみました。
都道府県別空き家率が日本一は21.3%の山梨県
2019年4月に総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」の結果が一部公表されました。
日本全国に住宅が6242万戸あり、そのうち居住世帯のある住宅が5366万戸、居住世帯のない住宅が876万戸となっています。統計上の空き家は、居住世帯のない住宅から一時現在者のみの住宅と建築中の住宅を除いており、今回の調査では846万戸で過去最高となっています。
空き家率は空き家数(846万戸)を全国の総住宅数(6242万戸)で割って求めており、こちらも過去最高の13.6%となっています。
空き家率を都道府県ごと確認し、特に空き家率の高い都道府県と低い都道府県を表にまとめてみました。過去に比べてどのくらい増減しているか確認できるよう、20年前の平成10年度の空き家率と増減率も合わせて載せてあります。
都道府県別の空き家率(総数)
日本で最も空き家率が高い県は山梨県で、21.3%となっています。住宅が5戸あれば1戸は空き家という状況です。山梨県は前回(平成25年)の調査でも1位でしたが、空き家率は22.0%から0.7%改善しています。
2番目に空き家率が高いのは和歌山県(20.3%)、3番目が長野県(19.5%)となっています。前回は長野県が19.8%で2番目でしたが、和歌山県が18.1%から2.2%も上がったことで順位が入れ替わりました。空き家率の高い県に四国の4県が全て入っています。
空き家率が最も低いのは埼玉県の10.2%で、前回の10.9%から改善し、一気にトップになりました。近隣の東京都(10.6%)や神奈川県(10.7%)、千葉県(12.6%)も低い方に入っていることから、首都圏は住宅数が多いにもかかわらず空き家は少なく、需給関係が比較的良好と言えそうです。
2番目に低い沖縄県(10.2%)は前回も2番目で、他の九州各県とは状況がかなり違います。
空き家率を20年前の平成10年と比べると、空き家率の高い県はどこも空き家率が5%前後上昇しています。一方で空き家率の低い県は山形県と福岡県を除けばほとんど変わりがありません。沖縄県や東京都のように空き家率が下がっている県もあるくらいです。
つまり、空き家率の高い県はさらに高くなっていき、空き家率の低い県は変わらないことで、都道府県による空き家率の差が徐々に広がっていると言えそうです。
※イメージ
●●空き家のうち「その他の住宅」が特に問題視されている
空き家率を計算する上での空き家は、「別荘(二次的住宅)」「その他の二次的住宅」「賃貸用の住宅」「売却用の住宅」「その他の住宅」に分けられます。別荘等の二次的住宅は常時居住していなくても活用はされており、賃貸用と売却用は入居者や購入者が決まれば空き家ではなくなります。
しかし、その他の住宅は活用する予定がなく廃墟になっている住宅も含まれていることから、増え続けると様々な問題が生じてきます。そこで、空き家のうち「その他の二次的住宅」だけを取り上げて、改めて空き家率を計算してみました。
都道府県別の空き家率(その他の住宅)
その他の住宅のみの空き家率が最も高いのは高知県で12.7%、次が鹿児島県(11.9%)、その次が和歌山県(11.2%)となっています。空き家全体の率で特に高かった山梨県と長野県はこのランキングから外れました。山梨県と長野県は別荘(二次的住宅)が他県よりもかなり多いからだと考えられます。
空き家(その他の住宅のみ)率の最も低い県は東京都で僅か2.4%となっています。次が神奈川県(3.3%)、その次が埼玉県(3.7%)で首都圏に固まっています。他にも大阪府(4.5%)や愛知県(4.1%)等、率の低い方には人口の多い県が多く並んでいます。
20年前と比べると、空き家数全体の場合と同じ傾向にあり、空き家(その他の住宅のみ)率の高い県はこの20年でさらに4~5%上がり、低い県は1%前後場合が多く、県による空き家率の差が拡大しています。
その他の住宅のみの空き家率を下げるには、使う見込みのない住宅は早めに処分するしかありません。売るか貸せば空き家ではなくなります。解体しても空き家ではなくなります。
貸すために修繕したり、解体したりするには費用負担が発生しますが、手入れもせずに放置していたら廃墟になるだけです。周りへの配慮も忘れたくないものです。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
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