遺産分割協議の注意点と未分割ケースのポイント

ファイナンシャルフィールド / 2019年7月11日 9時0分

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相続が発生し、あわただしく葬儀をすませた後に、あらためて考えなければならないのが遺産分割の問題。相続税申告が必要な場合、10ヶ月以内に税務署に申告しなければならず、遺産分割の必要が生じます。   遺言書がある場合はよいですが、ない場合は相続人全員の話し合あいで遺産分割をすることとなります。遺産分割の際、どのような点に注意すべきでしょうか? また未分割の場合はどうなるのでしょうか?  

相続人の確定および相続財産の確定

相続が発生した場合、まずは誰が相続人であるかを確定させる必要があります。
 
通常は一緒に住んでいる配偶者と子供たちだけというわかりやすい場合が多いとは思いますが、亡くなった方が以前に離婚されているような場合、前配偶者との間に子供がいることがあります。この場合その子供も相続人となります。
 
誰が相続人であるかは非常に重要な問題ですので、亡くなった方の生まれたときから亡くなる時までの戸籍謄本を確認し、相続人の漏れがないようにする必要があります。もし、相続人である人を含めずに遺産分割協議を行った場合には、その遺産分割は無効となりますので注意が必要です。
 
また、相続を放棄したい人は、相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てなければいけません。
 
次に相続人が確定されたら、相続財産を確定させる必要があります。遺産の範囲の調査方法として、預貯金や借入金などは亡くなった日時点の残高証明書を金融機関から取得すればわかりますし、不動産であれば市役所で故人の名寄せ帳を取ればどのような不動産を所有しているかわかります。
 
その他有価証券類や経済的価値があるものは、非課税に規定されているものを除きすべて相続財産となります。本来であれば遺産に含まれるはずの財産を含めずに、遺産分割協議をしてしまった場合は、その財産について再度分割の手続きが必要となりますのでご注意ください。
 

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分割できなかった場合はどうなる?

すんなりと遺産分割が決まればよいですが、相続となるとなかなか話し合いがまとまらないというのも事実です。
 
相続税申告期限である亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に決まらない場合、各相続人が民法に規定する相続分にしたがって財産を取得したものとして相続税の計算をし、申告と納税をすることとなります。
 
未分割だからと言って申告期限は延長はされませんし、申告しない場合は加算税等がかかりますので、ともかく期限内に申告書を提出することが必要となります。ただし、未分割で申告した場合は次のような特例が適用できないこととなります。
 
(1)配偶者の税額軽減の特例
配偶者は遺産の2分の1もしくは1億6000万円のいずれか大きい額まで相続税はかかりませんが、未分割の場合は適用されません。
 
(2)小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
この特例を使うことで土地について、居住用宅地であれば、330平方メートルまで80%減額、不動産貸付宅地であれば200平方メートルまで50%減額、事業用宅地であれば400平方メートルまで80%減額することができます。ただし、未分割であれば評価減をすることができません
 
しかし、未分割で申告する場合、申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出しておいた場合、その後、実際に遺産分割協議が確定の後4ヶ月以内に、実際の取得金額に応じて、特例を適用し、更正の請求等をすることができます。
 
それでも遺産分割が決まりそうもない場合は、どうすればよいでしょうか?
 
上記にあるとおり、相続税申告に関しては遺産分割を遅らせてもよいことはありません。10ヶ月以内で決められない場合には、その後もなかなか決まらないとも言われています。遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てることを検討してみるのも良いでしょう。
 
調停はあくまで当事者間のみで解決できない話し合いを家庭裁判所で行うだけです。非公開ですので恥ずかしくありません。何も決まらないまま時間だけが過ぎて行くと3年間はあっという間です。当事者同士だけで話し合いが無理だと思ったら、調停を考えてみると良いでしょう。
 
執筆者:宮路幸人
税理士・AFP その他宅建、マンション管理士資格保有
 

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