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2019年7月から遺産相続が変わる!改正のポイントとは(後編)

ファイナンシャルフィールド / 2019年7月12日 8時30分

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民法(相続法)が昭和55年以来約40年ぶりに大幅に見直され、改正法が2018年7月に成立しました。   改正法の規定は2019年1月より段階的に施行され、1月には「自筆証書遺言の方式を緩和する方策」が、7月には「預貯金の払戻制度」「遺留分制度の見直し」「特別寄与等」の規定が施行されました。2020年4月には「配偶者居住権」の新設等が施行されます。   本稿では7月に施行された規定について2回に分けてポイントをお伝えします。  

婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置

婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産の贈与などが行われた場合、改正前は、原則として、遺産の先渡し(特別受益)を受けたものとして取り扱われていたので、配偶者が最終的に取得する財産額は、結果的に贈与などがなかった場合と同じでした。
 
例えば、夫Aが亡くなり、妻Bと長男Cが相続したとしましょう。遺産は居住用不動産(評価額3000万円)と預貯金3000万円とします。夫Aはこの居住用不動産を結婚21年後に妻Bに生前贈与していました。
 
このケースにおいて、改正前では、BとCの相続分は1:1となりますので、金額に換算するとBもCも3000万円の遺産を取得することになります。しかし、このような取り扱いは、配偶者の長年の貢献に報いるとともに、老後の生活保障の趣旨で贈与した被相続人の意思に反します。
 
そこで、改正法により、原則として、居住用不動産の贈与などを遺産の先渡し(特別受益)を受けたものと取り扱わなくてよいこととしました。この結果、上記のケースでは、妻Bと長男Cは預貯金を半分(1500万円)ずつ分ければよいことになりました。施行日は2019年7月1日です。
 

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特別の寄与の制度の創設

相続人以外の被相続人(亡くなった人)の親族が無償で被相続人の療養看護等を行った場合には、相続人に対して金銭の請求ができるようになりました。施行日は2019年7月1日です。
 
例えば、被相続人Aには、子ども3人(長男B・長女C・次男D)がいたとしましょう。長男Bは被相続人Aより先に亡くなっていたとします。亡き長男Bの妻Eは、献身的に被相続人Aの介護をしてきたとします。
 
このようなケースにおいて、改正前は、亡き長男Bの妻Eは、いくら献身的な介護をしたとしても、相続人ではないので、被相続人Aの相続財産の分配にあずかることはできません。
 
一方、相続人であるCとDは、被相続人Aの介護を全く行わなかったとしても、Aの遺産を相続することができます。つまり、改正前では、相続人以外の者は、被相続人の介護にいくら尽くしても、相続財産の分配にあずかることはできませんでした。これでは不公平です。
 
そこで、改正により、相続人以外の者も介護等の貢献をした場合(特別寄与)、相続人に対して、金銭の請求をできるようにして、実質的公平を図りました。ただし、遺産分割の手続きは現行法と同様、相続人だけで行います。
 
上記のケースでは、亡き長男Bの妻Eは、各相続人(長女C・次男D)に対して金銭を請求することができます。
 
各相続人との間で協議が整わないとき、または協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対し、協議に変わる処分を請求することができます。
 
ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月を経過したとき、または相続開始の時から1年を経過したときは、処分を請求することができなくなります。
 
協議に変わる処分の請求があった場合、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額、その他一切の事情を考慮して特別寄与料の額を定めます。特別寄与者は、介護などへの貢献分を請求するための根拠として介護ノートなどをつけ記録しておくとよいでしょう。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー
 

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