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自分の死後、ペットの世話はどうなる?ペットのために遺産を残す方法とは

ファイナンシャルフィールド / 2019年7月17日 3時0分

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ペットと二人で暮らしている場合、自分の死後、ペットの世話をどうするか心配です。ペットは民法上、「物」ですので、遺産を相続させることができません。   自分の死後のペットの世話は、信頼のおける親しい友人などに依頼するしかありません。依頼する方法としては、負担付遺贈や信託制度の利用などが考えられます。本稿では、主に負担付遺贈と信託制度の利用についてポイントを解説します。  

負担付遺贈と負担付死因贈与

自分の死後ペットの世話をしてくれるように、ペットの世話をしてくれることを条件に財産を渡すことを遺言しておきましょう。負担付遺贈という方法があります。
 
負担付遺贈とは、飼い主(遺贈者)がペットの世話をしてくれる人(受遺者)に対して、遺産を渡す見返りに、受遺者に一定の義務(ペットの世話)を負担してもらう遺言による贈与のことです。受遺者は、もらう財産の価値以上の義務を負う必要がありませんので、ペットの寿命や飼育に係るお金や税金を考慮して、必要十分な財産を渡す必要があります。
 
では、どのくらい財産をペットに残したら良いのでしょうか。参考になるデータがあります。平成30年全国犬猫飼育実態調査(一般社団法人ペットフード協会)によると、犬の平均寿命は14.29歳、猫の平均寿命は15.32歳となっています。
 
また、1か月あたりの支出総額(医療費等含む)は、犬1頭飼育者の場合1万368円、猫1頭飼育者の場合6236円となっており、生涯必要経費は、犬(全体)179万3005円、猫(全体)121万1526円となっています。
 
なお、受遺者は義務を負担するのが嫌であれば、遺贈を放棄することができます。したがって、負担付遺贈をする場合には、遺贈者は受遺者と事前に十分話し合っておくことが必要です。
 
また、受遺者が、きちんとペットの世話をしてくれるかを見守るために遺言執行者を指定しておくと良いでしょう。義務違反がある場合、相続人または遺言執行者は、相当の期間を定めて履行(ペットの世話)を催告できます。それでも履行がないときは、遺言の取り消しを家庭裁判所に請求できます。
 
一方、負担付死因贈与は、飼い主の死亡を条件に効力が生じる贈与契約です。飼い主と将来ペットの世話をしてくれる人と生前に契約をします。受贈者はペットの世話をすることについて納得して契約をしますので、飼い主の一方的な意思表示で行う遺贈に比べ、ペットの世話をしてくれる可能性は高いと言えます。契約の内容は公正証書にしておくと良いでしょう。
 

信託制度の活用

信託(民事信託)とは、飼い主(委託者)が、信頼できる人(受託者)にペットの世話に必要な費用(信託財産)を譲渡し、受託者は飼い主(委託者)が設定した信託目的に従って、ペットの世話をしてくれる人(受益者)のために信託財産の管理処分をするしくみです。
 
このしくみを利用すれば、長期入院や老人ホームに入所した場合などでペットの世話ができなくなったときにも安心です。
 
信託においては受託者を誰にするのかが重要です。ペットの世話をする費用がきちんとペットのために使われているか心配な場合は、受益者のために受託者を管理・監督する「信託監督人」をつけることもできます。
 
負担付遺贈の場合、受遺者がどのようにペットの世話をするかは受遺者次第ということになります。善意を信頼するしかありません。そのため、財産だけを受け取ってペットの世話がおろそかになるというケースも少なくありません。この点、信託では、契約によって委託者(飼い主)の意向を尊重してペットの世話をすることになります。
 
信託契約の契約書は弁護士や司法書士などの専門家に依頼して作成すると安心です。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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