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財産管理に賃貸契約……。親の認知症で発生する問題とは?

ファイナンシャルフィールド / 2019年7月17日 8時30分

財産管理に賃貸契約……。親の認知症で発生する問題とは?

連日の報道等で、老後2000万円問題が大きく話題になっています。筆者のセミナーの参加者も、今まで以上に「老後のお金」に対してシビアになっていますし、個別相談も増えています。   この問題提起の発端になったのは、金融審議会 市場ワーキンググループの「報告書」です。この「報告書」の中で、話題の老後2000万円問題に触れているのはごく一部。その他にも、沢山の問題が警告されているのです。中でも筆者は『認知症』に関してのレポートがとても気になりました。  

認知症の増加

『認知症』に関しての話題も絶えず、また最近では、高齢者ドライバーの交通事故の報道に胸が痛みます。筆者自身も人生の後半期を迎え、物忘れをする度に「ドキっ」とするのは、無意識に認知症への不安があるからなのでしょう。
 
「報告書」によりますと、2012年の65歳以上の約7人に1人が認知症で、軽度認知症(正常なもの忘れよりも記憶などの能力が低下している状態)の人も合わせると、4人に1人が、認知・判断能力に何かしらの問題を有していることになるそうです。
 
加齢と共に、認知判断能力が衰えるのは仕方がないことでしょう。心身の機能低下、老いることは自然現象です。しかし、これに伴い、準備・対策を考えておかないと、老後の生活に支障を侵し、家族にも迷惑をかけることになります。
 

 

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認知症においての終活の制限

人生において、資産管理・財産管理は重要な仕事です。しかし、認知症の診断が下ってしまうと、金融サービス等において下記のようなことに制限がかかります。
 
●金融資産の自由な引き出し・解約・変更新規申込等
●本人名義の財産の移動・活用

 
例えば、親の年金は親の住む地方のJAバンク口座に振り込まれていたとします。親は認知症になり、自宅の側の施設に入所させました。最初は親のカードを使用して、必要経費を引き出していましたが、カードは消耗してしまいました。
 
新しいカードに切り替えたくても、手続きをするには、その地方のJAバンクに行かないとできません(例:JA常陸の契約をJA東京中央で手続きができない)。もちろん、本人ではないので、窓口での引き出しはできないのです。
 
「それなら、近所の銀行に新しく口座を作り、その口座に親の年金を振り込もう」、そう思っても、子供や親族でも勝手には開設も変更もできないのです。
 

空き家問題もここから派生する

多くのご家族から「田舎で高齢の親が一人暮らしをしているが、頑固で介護サービスを受けない」というお話を伺います。しかし老いは待ってはくれません。残念ながら、1年ごとに進行は早まると思います。
 
筆者自身も90代の伯母の介護をしていました。ここ数年、熱い夏が続いていますが、夏を過ぎる度に、老いは進行。
 
「そろそろ危ないかな?」と思った92歳の夏、それから2年後の9月に、ついに電話の音も聞こえなくなってしまったのです。伯母の家まで行き、現場をみて唖然。とても一人で暮らせる状態ではありませんでした。その荒れ様は、今でも鮮明に覚えています。
 
その後入院をし、施設に行きましたが、入所して2ケ月経過した時に、伯母は自分の名前・生年月日・住所も言えなくなりました。アルツハイマー型認知症の診断を下されたのです。配偶者も子供もいない伯母は、自宅へ帰ることはできないでしょう。しかし、伯母が亡くなるまで、家の処分はできないのです。
 
都心に住む方で「親がもし一人暮らしができなくなったら、親の住んでいるマンションを貸して、その費用を介護施設の費用にあてます」という方が多いのですが、もし、名義が親御さんのものなら「賃貸契約」もできません。
 
このように、売ることも貸すこともできずに「空き家」になってしまう場合もあります。
 

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「認知症だから」は通用しないの?

先日のセミナーでこんな質問を受けました。「うちの親は認知症だから!と言っても通じないのですか?」。そうですよね。「認知症だから、もう判断できないのですから、どうにか勘弁してください。仕方が無いですよ…」は残念ながら通じません。
 
なので、80歳を過ぎたら、認知症リスクを考えて、事前に対策をしておく必要があります。
 
「家族信託」(民事信託)や成年後見制度を利用して、認知症になった家族の資産や財産等を管理・移動できるようにしておく必要はあると思います。できたら、本人が事前に行うことがベストですが、できない場合もあるでしょう。その時は若い人が率先して行うことです。
 
終活~相続対策は時間がかかるものです。遅くても60代中盤には考えて、準備を開始して、70代前半までには整えておきたいものです。
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
 

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