あまり注目されない「実損填補」タイプのがん保険ってどんな保険?
ファイナンシャルフィールド / 2019年7月19日 9時0分
![あまり注目されない「実損填補」タイプのがん保険ってどんな保険?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_51161_0-small.jpg)
がん保険は、一定の条件に当てはまるとあらかじめ定められた金額を保険金として支払う「定額給付」タイプの商品と、実際にかかった治療費を支払う「実損填補」タイプの商品があります。 がん保険についての書籍やネットの記事を見ていると、実損填補タイプの商品を勧めるものはそう多くありませんが、さまざまなメリットがあります。そこで、今回は定額給付タイプと比較しながら実損填補タイプの商品について解説していきたいと思います。
「定額給付」タイプのがん保険と「実損填補」タイプのがん保険の違い
主に生命保険会社が扱っている一般的ながん保険は、一定の条件に当てはまると、あらかじめ定められた金額を保険金として受け取ることができる「定額給付」タイプの商品です。具体例を挙げると以下のような保障です。
・がんと診断確定されたら診断一時金として100万円を受け取れる
・がんで入院したら1日1万円を入院日数分、入院給付金として受け取れる
・所定の抗がん剤治療を受けている限り、給付金として毎月10万円を受け取れる
これに対して実損填補タイプの商品は、実際にかかった治療費の補償になります(差額ベッド代や雑費は実額補償の対象になりません)。
実損填補タイプである以下の商品はいずれもおおよそ同じ仕組みなので、以下ではこれらに共通した部分をもとに、そのメリットを解説します
・SBI損害保険「SBI損保のがん保険 自由診療タイプ」
・セコム損害保険「メディコム」「メディコムワン」(※「メディコムワン」は乳がん経験者のみを対象とした商品です)
実損填補タイプのがん保険のメリット・デメリット
実損填補タイプのがん保険の特徴を挙げると、以下のとおりです。
・健康保険が使える治療法だけでなく、自由診療も補償の対象であること
・通算で補償される金額が高額であること
・5年更新型であること
実損填補タイプのがん保険は、単に実際にかかった治療費を負担してくれるだけではありません。保険会社が認める治療であれば、自由診療も補償の対象としている点が特徴です。
定額給付タイプのがん保険であっても先進医療特約を付加すれば、先進医療は保障の対象となります(先進医療は自由診療です)。
しかし、実損填補タイプのがん保険の場合、先進医療はもちろん、それ以外の自由診療も対象となっているのが大きなポイントになります。なぜなら、自由診療は高額になることがあるからです。
そのため、補償金額も通算で1000万円(2社共通)までとなっています。1000万円まで補償してもらえるのであれば治療の選択肢がかなり広がるので、健康保険が使える治療で有効なものがなくなったときでも活路を見いだせる可能性があります。
ただし、いずれも5年更新型となっているところに注意が必要です。更新のたびに保険料が上がるので、高齢になると毎月の保険料はかなりの負担になります。ずっと更新を続けると割に合わない負担になりかねないので、ある程度の年齢になったら解約することを考えておく必要があるでしょう。
がん保険を選ぶうえで、本当の意味で「万が一」とは
冒頭で、実損填補タイプのがん保険がなぜか注目されないと述べましたが、実損填補タイプのがん保険がもし本当に人気がないとすれば、それは、高齢になると保険料が高くなるということが理由なのかもしれません。
ただ、冷静に考えると、「高額な自由診療の補償はいつまで必要なのか?」という疑問が生まれてきます。
もし30歳のときに末期がんと診断されたら、おそらく大半の人がまだ生きていたいと考えるでしょう。そのため保険診療で有効な治療法が見つからなければ、高額で効果のはっきりしない治療法だったとしても、自由診療に賭けてみようと考える人はいるはずです。
しかし、90歳で末期がんと診断されたら、どうでしょうか? 個人の価値観の問題なので何とも言えませんが、若い頃とはまた違った選択をする方もいるのではないでしょうか?
治療を保険診療の範囲で済ませるのであれば、がんといえども貯蓄で対応できないほど治療費(自己負担額)は高額にならないことが多いです。
老後を迎えるまでには時間があるので、若いうちは実損填補タイプのがん保険で幅広い補償を得ておき、高齢になるまでの間に貯蓄をしておくというのも一つの方法です。
保険は万が一のときに備えるものですが、本当の意味での「万が一」は「若いうちに進行がんと診断されること」。そう考えると、がん保険の選び方も変わってくるかもしれません。
執筆者:横山琢哉
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
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