自営業、フリーランスの方がイデコと国民年金基金を併用した方がいい理由とは?
ファイナンシャルフィールド / 2019年7月23日 10時30分
政府が推進している働き方改革で人生100年時代と言われるなか、柔軟な働き方ができる環境をつくっていくためにも、会社員でも副業や兼業を認可する企業も増えてきました。 これまでの仕事で得たスキルを活用して起業を考えている方が老後の年金を考えたときに心配されるのが、今まで加入していた厚生年金や企業年金がなくなることです。 しかしその代わりとして、イデコ(個人型確定拠出年金、以下イデコ)や国民年金基金などがあります。“自分年金”のために加入を検討する場合に、どちらか一方のみに加入するよりも、実は併用した方がいいという理由を見ていきます。
将来の給付額が確定し終身でもらえる国民年金基金
老後の不安を少しでもなくしたいという動きから、国民の20歳から60歳未満の方なら基本的に誰でも加入できるイデコに注目が集まり、加入する人が増えています。マスコミ報道も多いですし、筆者が主催しているセミナーなどでも興味があるという方が増えてきました。
一方、イデコが存在する前の1991年(平成3年)よりスタートした国民年金基金は、厚生年金や企業年金がないフリーワーカー(自営業、フリーランス)専用の年金制度で、イデコとの併用も可能です。
掛金は、2つ併せて月額で6万8000円までです。イデコが運用によって給付額が決定される(定期預金など元本確保型商品で100%の運用をした場合は除く。
また手数料は考慮しない)自己責任の制度であるのに対して、国民年金基金は、1口目は終身年金(15年間保障のA型と保障期間なしのB型がある)で将来の給付金額は決まっています。
また、長生きリスクを考えた場合、公的年金と同じく終身で年金がもらえる安心感はイデコよりはあるでしょう。イデコで終身年金として給付可能な運営管理機関(金融機関)もありますが、受け取るときに毎回432円の手数料が差し引かれるので、終身年金としてもらうのは現実的ではありません。
掛金の停止や後で支払うことは可能か?
フリーワーカーの悩みの一つが、資金繰りでしょう。売り上げの低迷が続いたり、緊急で大きな支出が発生したりした場合に、フレキシブルに対応できた方がいいですよね。
いくら満期の60歳や65歳を見据えた計画を考えたとしても、途中で融通が利かなければ、加入することに躊躇する方もいるかもしれません。
しかし、イデコも国民年金基金も「掛金の停止」が可能です。さらに国民年金基金の掛金は、2年以内は追納することができます(延滞金が別にかかります)。
所得控除のコントロールが可能
イデコも国民年金基金も所得控除になり、課税所得を軽減できるので所得税の節税になります。しかし注意点は、イデコの場合は支払った本人のみが対象で、国民年金基金の場合は配偶者の分を支払って本人が所得控除を受けることも可能となっていることです。
よって、イデコよりも多くの控除を受けることが可能となります。併用の場合は冒頭でも案内したように、イデコと国民年金基金と併せて月額6万8000円(年額81万6000円)までとなります。国民年金基金の比率を多くすることで、所得控除のコントロールを行うこともできます。
フリーワーカーから法人成りをした場合はどうなるの?
フリーワーカーより法人成り(個人事業主が株式会社等の法人に成り代わること)をして厚生年金加入者になれば、国民年金基金は継続できません。しかし、イデコは継続できます。月額の掛金は最大2万3000円(年額で27万6000円)です。
よって、フリーワーカーの時より掛金額が下がってしまう方は、企業型確定拠出年金(以下企業型DC)を福利厚生制度として導入することで、月額最大5万5000円(年額66万円)まで拠出が可能となり、会社の規定で定めれば65歳まで拠出することもできます。
この法人成りをして企業型DCに変更してくことで、従業員も企業年金の加入が可能となります。国民年金基金は終身でもらい、イデコを企業型DCに変更することで、自分年金づくりと会社の福利厚生制度の両方で、老後の準備することもできます。
現在フリーワーカーで将来は法人にしたいという方は、イデコと国民年金基金の併用も考えてみてはいかがでしょうか?
執筆者:末次祐治
FP事務所 くるみ企画 代表
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