共働き世帯で妻が亡くなったら遺族年金はどうなる? 受け取れないケースって?
ファイナンシャルフィールド / 2019年7月23日 23時0分
![共働き世帯で妻が亡くなったら遺族年金はどうなる? 受け取れないケースって?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_51501_0-small.jpg)
人生100年とも言われ、長生きするのが当たり前のように感じられる時代です。しかし、厚生労働省の人口動態統計を見ると、割合としては1%よりもずっと少ないですが、実際に60歳以下でも不慮の事故や病気などで亡くなる方は男女ともいらっしゃいます。 妻の働きが大きく家計を支えているケースも多い共働きの家庭が多くなった現代では、妻が亡くなった時にどのような保障があるのか知っておくことも大切です。
遺族が受ける給付には主に遺族基礎年金と遺族厚生年金がある
国民年金や厚生年金といった公的年金制度の加入者や受給権者が亡くなった場合、その人に生計維持されている一定の要件を満たす遺族には、年金や一時金といった遺族給付があります。
その主な給付である遺族年金には、老齢給付と同様に、1階部分の遺族基礎年金と2階部分の上乗せ年金である遺族厚生年金とがあります。さらに自営業者などの国民年金の第1号被保険者には、独自給付の寡婦年金と一時金の制度もあります。
これらの独自給付も遺族年金も、年齢や子の有無、亡くなったのが夫なのか妻なのかで、受け取れるかどうかが大きく異なってきます。妻が亡くなった時にどうなるのか、違いを見てみましょう。
妻と夫との受け取りの差をわかりやすくするため、今回は受給できる遺族の範囲のみに注目します。なお、遺族年金を受け取れるかどうかは保険料納付などの要件があり、受給額も子どもの人数などで異なってくるため、それらについてはご自身で改めて確認するようにしてください。
遺族基礎年金を受給できるのは子のある場合だけ
遺族基礎年金を受給できるのは、生計維持関係のある子(※)がいる配偶者か、子(両親とも死亡の場合など)のいずれかです。
子のない配偶者は受給できないことから、子の有無で受給できるかどうかが決まりますが、配偶者の性別は問われていないため遺族基礎年金は妻と夫で差はありません。妻が亡くなった場合でも、子どもがいれば遺族基礎年金を受けることができるということになります。
※子というのは年金法上の子である、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子か20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子を指します。
遺族厚生年金を夫が受け取るには条件がある
遺族厚生年金は子のある妻だけでなく、子のない妻も受給できます(ただし夫の死亡時に30歳未満で子がない妻は5年間の有期です)。その一方で妻が亡くなった時は、夫が遺族厚生年金を受け取れる条件が狭くなっています。
夫の場合、妻の死亡当時に55歳以上でなければ遺族厚生年金は受け取れません。しかも、遺族基礎年金を受給できる子がいる時はそれに併せて受給できますが、対象となる子がいない時は支給開始が60歳以降になります。
もし妻の死亡時に夫が55歳未満なら、子がいてもいなくても遺族厚生年金を受け取れません。ただし、子がいる場合は、子に対して支給されます。
また、亡くなったのが夫の場合は、加入者(夫)の受給要件や死亡時の妻の年齢、遺族基礎年金の受給状況にもよりますが、妻が40歳から65歳に達するまで受け取れる中高齢寡婦加算(平成30年度価額は58万4500円)を受け取れます。
しかしながらこれは妻に着目した加算のため、妻が亡くなって夫が遺族になった時にはこういった加算はありません。
妻が亡くなった場合だと受け取れないその他の給付
自営業者等の国民年金第1号被保険者の場合は、寡婦年金か死亡一時金のどちらかを独自給付として受ける制度があります。寡婦年金は、妻が60歳になるまで支給停止になるものの、一時金より額が多くなります。
しかしながら「寡婦」という名が示す通り、妻に支給される制度であり、妻が死亡した時には夫への「寡夫年金」はないので、一時金を選択するしかありません。
父だと受け取れなかった児童扶養手当が父子家庭でももらえるようになったように、男女で差があった制度でも、近年は、条件付きのこともありますが、その差を解消していく動きもあります。
しかしながら夫より妻の稼ぎが少ないことを想定して作られていた遺族年金においては、妻が亡くなった場合は受け取れない給付もあります。
妻の稼ぎが家計の維持に欠かせない家庭では、妻が亡くなった場合に公的な保障では不足する部分について備えていくことを、考える必要もあるでしょう。
出典
(※)厚生労働省 平成29年人口動態統計月報年計(概数)の概況p.29~31
執筆者:柴田千青
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
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