「軽減税率対策補助金」5つのポイントを分かりやすく解説
ファイナンシャルフィールド / 2019年7月30日 9時0分
![「軽減税率対策補助金」5つのポイントを分かりやすく解説](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_51994_0-small.jpg)
“軽減税率対策補助金”をご存じでしょうか?最近は、テレビCMでもよく見かけます。今回は、この補助金について説明したいと思います。まずは、この補助金に関連する制度である「消費税軽減税率制度」とは何かについて、簡単に知っておきましょう。
ポイント1 知っておきたい軽減税率制度
2019年10月1日に、消費税が10%に引き上げられる予定です。それと同時に実施されるのが「消費税軽減税率制度」です。この制度は、全ての品物に消費税が10%掛かるわけではなく、一部の品目に関しては、消費税を8%に据え置くというものです。
この制度の対象となる一例としては、外食等を除く食料品や飲料品は、消費税が8%に据え置かれます。一方、酒類は10%になります。飲食料品については、軽減税率制度の対象となるのは「外食かどうか」が一番簡単な判断基準となり、外食は10%の税率が掛かります。
イートインスペース(※1)のあるコンビニエンスストアをご想像ください。お弁当を買い、家に帰ってから食べる場合は8%ですが、同じお弁当でも、イートインスペースで食べる場合には外食と判断されますので10%の消費税が掛かります。
このように、軽減税率制度には、同じ品目でも、「役務の提供か」という条件によって、掛かる税率が変わるという特徴があります。
※1 買った商品を店内で食べられるように設けられた飲食用のスペース
ポイント2 軽減税率対策補助金とは
先ほど、“軽減税率制度では同じ品目でも掛かる税率が異なる場合がある”と書きました。
ここで、経営者にとって頭の痛い問題となってくるのがレジ等です。現在店舗等で使われているレジや、受発注システム・請求書管理システムが複数の税率に対応していない場合、買い替えや改修を行わなければなりません。
これらの費用を補助する目的で作られたのが、“軽減税率対策補助金“です。なお、軽減税率に対応するための買い替えや改修を目的とした補助金であるため、すでに複数税率に対応しているレジの買い替えは補助対象となりません。
また、導入するレジについては、軽減税率に対応しており、かつ、補助金の事務局に登録されている製品である必要があります。登録されている製品であるかは、軽減税率対策補助金事務局のHPで確認することができます。
ポイント3 補助対象(レジの導入等支援の場合)
レジの導入・改修の際に補助の対象となるものは以下のとおりです。
1.レジ本体
2.付属機器(バーコードリーダー・キャッシュドロア・クレジットカード決済端末・電子マネーリーダー・カスタマーディスプレイ・レシートプリンタ・ルーター・サーバ)
3.商品マスタの設定費用
4.機器設置(運搬費含む)費用
レジ本体だけでなく、付属品についても補助の対象となっています。また、一般的なレジの他、タブレットやスマートフォンを用いた“モバイルPOSレジシステム”、“POSレジシステム”にも利用できます。
ポイント4 補助額(レジの導入等支援の場合)
レジの導入・改修の際に補助される金額は、一律〇〇円といった形ではなく、掛かった費用から割合に応じて受けられます。また、上限となる金額が設定されています(表1参照)。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2019/07/0161352a3d2ab457dfa6640c52a8eb52.jpg)
※2 商品名や値段等、商品の基礎情報となるデータ
上限額について補足します。レジ1台を購入した時の上限額は20万円です。
例えば、40万円のレジを購入した場合、補助率は75%なので、「40万円×75%=30万円」が補助の対象となりますが、上限である20万円を超えた分は切り捨てられます。また、この時に商品マスタの設定を行った場合、原則の上限額に20万円が上乗せされ、40万円となります。
ポイント5 申請の期限と補助対象者(レジの導入等支援の場合)
2019年9月30日までにレジを導入・改修し、支払いが完了している必要があります。そのうえで、2019年12月16日までに申請を行います。申請は事後申請で、レジ購入後に申請します。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2019/07/795316b92fc766b0181f6fef074f03fa.jpg)
個人事業主と中小企業の他、特定非営利活動法人、社会福祉法人、消費生活協同組合、商工会・都道府県商工会連合会、商工会議所、商店街振興組合、商店街振興組合連合会、その他中小企業庁長官が認める者が補助の対象者となります。
このように、大企業を除いた多くの企業、事業者が補助の対象者になっています。
まとめ
軽減税率対策補助金は、企業や事業者向けの補助金としては、決して補助額の高いものではありません。また、補助金は後払いであり、申請方法も細かく定められているため、この点で申請を見送られる方もいるでしょう。
レジの買い替え等については、「今、買う必要があるのか」という経営判断が必要となります。しかし、今回の補助金に関しては代理申請制度が利用できます。これらを有効に活用し、いざ制度が始まった時に慌てないよう、代理人を探しておくなど、前もって準備はしておきたいところです。
補助金はお金を「貰う」制度です。中には軽く考え、安易に申請する方もいますが、お金を貰うには条件があります。その条件を満たすため、事前の準備や事後の応対が欠かせません。この点を覚えておいていただきたく思います。
今回は軽減税率対策補助金の中でも、レジの購入・改修を中心に書きました。他にも受発注システムや請求書管理システムの改修等にも利用できます。興味がある方は、ぜひ一度、軽減税率対策補助金事務局のHPをご覧になってみてください。
※この記事は令和元年7月1日時点の情報を元に執筆されています。
出典
軽減税率対策補助金
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表
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