家族手当と言うべき「加給年金」を確実にもらう方法
ファイナンシャルフィールド / 2019年8月10日 9時30分
老齢厚生年金には、いわば年金の家族手当と言うべき加給年金という制度があります。これは、年金受給者の妻や子が一定の条件を満たした場合に支給されるものです。金額的にも、配偶者の場合は最大で年間40万円弱、子の場合1人当たり7万円から22万円と決して少なくありません。 この制度は基本的に年齢で左右されますが、それ以外にも要件があり、貰えるはずが貰えなくなる可能性があります。加給年金の受給要件を確認してみましょう。
加給年金とは
加給年金とは、厚生年金の被保険者期間が20年以上ある方が、65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その方によって生計を維持されている65歳未満の妻または18歳未満の子(1級・2級の障害のある子の場合は20歳未満)がいるときに加算される年金のことを言います。
加給年金は年金における家族手当と言うことができ、金額も決して小さくないので、これを受給できるようにするべく条件をきちんと調べる必要があります。
加給年金の金額は次の通りです。
(1)妻の加給年金額
ベースの加給年金額22万4500円に加え、本人の生年月日によって特別加算額が決まります。
本人の生年月日が昭和9年4月2日~昭和15年4月1日のときは、特別加算額3万3200円で合計額は年額で25万7700円。本人の年齢が若くなるにつれ特別加算額は上がり、昭和18年4月2日生まれ以降の方は、16万5600円の特別加算額がつき、合計額は年額で39万100円となります。
平成31年4月2日時点で、76歳以下の受給権者(本人)は、妻が条件を満たせば、上記金額を受け取ることができます。詳しくは下記「どういう方が加給年金をもらうことができるか?」に記載しています。
(2)子の加給年金額
第1子・第2子:それぞれ224,500円
第3子以降: それぞれ74,800円
特別加算額はありません。
どういう方が加給年金をもらうことができるか?
子の加給年金額については、本人65歳のときに18歳未満の子がいる必要があるので、47歳以降に生まれた子となります。
ところが妻の加給年金については、本人65歳の時点で年下の妻がいれば加給年金をもらうことが可能です。最も多く受給できることを想定した場合の総額は、3年年下で約120万円、5年年下で約200万円、10年年下で約400万円と馬鹿にならない金額になります。
しかし、共稼ぎ夫婦の場合、上記以外にも次の条件を満たす必要があります。
1.妻が厚生年金保険に20年以上加入していないこと
2.妻の年収が850万円未満であること
1について、妻が厚生年金保険に20年以上加入している場合は、妻が特別支給の老齢厚生年金をもらっている間は配偶者加給年金が支給停止になるので、妻の加入期間が20年になる前に退職した方が有利になる可能性があります。加給年金の金額と勤めを続けるメリットを比較してどちらを取るか決める必要があります。
2について、年収は前年のもので判定されます。ただし、年金の受給権が発生してから、おおむね5年以内は妻の年収が850万円未満となる見込みがあることが証明できる書類(勤務先の就業規則、所得証明書等)を添付すれば、支給される可能性があります。
妻が65歳以上になったら
夫と妻の年齢差がいかに大きくとも、妻が65歳以上になったら加給年金はもらうことができなくなります。また、妻が年上の場合は、加給年金はもらうことはできません。しかし、それらの場合にも、加給年金ほど高額ではありませんが、もらえる年金があります。
妻が年下の場合、妻が65歳になった時点で基礎年金をもらうことができます。それに加え今度は夫ではなく妻の基礎年金に振替加算がつきます。
また、妻が年上の場合、加給年金はもらえませんが、妻が65歳になった時点で、妻は基礎年金に加え、振替加算ももらえるようになります。
振替加算は、加給年金とは逆で妻の年齢が若くなればなるほど減少します。
妻が大正15年4月2日~昭和2年4月1日生まれの場合、年額22万4500円支給され、これが徐々に減額されて、昭和30年4月2日~昭和31年4月1日生まれで年額5万962円、昭和41年4月2日以降生まれで支給なしとなります。
現在、60歳前半の方の振替加算は年額5万円程度なので、加給年金の10%強でしかありませんが、ないよりはいいと言えます。
まとめ
以上の通り、加給年金の受給要件を見てきました。あなたが60歳を超えていて結婚する意志があるなら、65歳の2日前までに婚姻届けを出せば加給年金をもらうことができます。婚姻には事実婚も含まれます。また、在職老齢年金の年金カットを受けている方でも、全額支給停止にならない限り、加給年金は支給されます。
加給年金を確実にもらえるようにするため、ご自分の条件を調べてみましょう。
注)分かりやすくするため、受給権者を夫、配偶者を妻と表記しています。場合によっては読み換えてください。
出典:日本年金機構
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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