「いつも現金払い」そんな高齢者はどのキャッシュレス決済を選べばいいの?
ファイナンシャルフィールド / 2019年8月11日 0時0分
消費税の改定による消費の落ち込みのカバー策として、また主として小売業やサービス業の人手不足の解消策として、キャッシュレスの導入が官民を挙げて、取り組まれつつあります。 具体的には、日常的な買い物や支出の支払いを現金でなく、クレジットカードなどのキャッシュレスですると2%~5%のポイント還元を受けることができるという施策です。 若者やスマホなどに慣れ親しんでいる世代は別にして、現金支払いが中心の高齢者は、この流れにどう向き合えば良いのか考えてみましょう。
キャッシュレス決済の方法
キャッシュレスとひと言で言われていますが、「クレジットカード」「デビッドカード」「電子マネー:カード型」「電子マネー:スマホ決済」「オンライン決済」など多くの方法があります。
ここでは、高齢者が最も安全に、そして簡単に使えるキャッシュレス決済はどれかという視点で、今話題の電子マネーについてもう少し掘り下げてみましょう。
電子マネーは2000年頃から世の中で使われていますが、カードタイプの交通系(Suica、ICOCA
など)の利便性を、流通系が追う形で普及してきました。スマホ型が消費税対策で注目されたことや、昨年末の「PayPay」によるセンセーショナルな利用キャンペーンが大きな話題提供となりました。
下表は電子マネーについて3分類して、メリットとデメリットを要約してみたものです。
・電子マネープリベイドカード型(流通系)
※nanaco Pontaなど
メリット
支払いが簡単、小銭不要
デメリット
使用先が限定される。複数のカードが必要
・電子マネークレジットカード型(交通系)
※Suica PASMOなど
メリット
使用先が広い、小銭不要
デメリット
交通系以外の小売業での使用先は限定的
・電子マネー・スマホ決済
※paypay LINEpayなど
メリット
小銭、カード不要、現金チャージ、クレカチャージ
デメリット
スマホ操作が必要。不正チャージ防止の手順必要
カード型は使用先が限られ、複数のカードの持ち歩きが必要なのに対して、スマホ型はそれだけでさまざまな業種やお店で使用可能なことが、多くの人の関心を呼ぶ背景になっています。またポイントのお得感は幅広い世代で広がっており、電子マネーの利用アップの理由の一つと考えられます。
なぜ、キャッシュレス?
経済産業省のデータ(※)によりますと、2016年の主要11カ国のキャッシュレス決済比率が53.4%であるのに対して、日本は19.8%になっています。わが国のキャッシュレス比率は明らかに、主要国に比較して、低比率と言われる状況です。
また、海外からの旅行者のニーズへの対応もありそうです。このあたりに関しては、人手不足対策やインバウンド需要の一層の拡大をねらう、官民の思惑もあるかもしれません。
キャッシュレス決済へのポイント還元で消費支出促進と人手不足対策
10月からの消費税改定はほぼ確実であり、増税に伴う消費支出の動向は不透明ですが、景気を持続させることは大切であり、キャッシュレスに特典を付ける景気対策は妥当と思われます。
また、昨年来の課題である、小売業を中心とする人手不足の対応策としても、一定の効果が期待されます。
消費の担い手の相当大きな部分を占める高齢者は、この時代にどう対応すれば良いのでしょうか?
高齢者にはプリペイドカードでの決済が確実
「キャッシュレス決済」イコール「スマホ決済」のようにも捉えられていますが、2%~5%の増税分のポイント還元を受けることができるのは、すべてのキャッシュレス決済です。
その中で、高齢者が最も使いやすいのはプリペイドカードではないでしょうか?
もちろん、スマホ決済やクレジットカード、その他の電子マネー等を利用できる人は大いに、時流に乗ってメリットを享受すれば良いでしょう。
現金チャージでポイント受け取りと小銭不要
先日、ある大手流通業のスマホ決済のシステムで大きな問題が発生しました。高齢者がそのような不安なく安心して使用できて、ポイントも貯まる一方、小銭探しでイライラする必要のないのがプリペイドカードです。現金を店頭等で一定額、または必要額をチャージすることで使用ができます。
日頃買い物をする小売店で使えるプリペイドカードを今から確認し、カードを入手すれば、すぐ利用してもお店ごとに決まっているポイントが付きます。さらに消費税還元ポイントは10月以降、9ヶ月間付与されます。
キャッシュレスに世の中が向かっているときに、現金主義に固執することで、特典を受けることができず、みすみす受け取れるポイントを逃がすのはもったいないかもしれません。
まとめ
キャッシュレスのしくみについて、それぞれの企業・事業者が自社のしくみに引き入れようとしていますが、自身の生活スタイルに合った選択をすることが大切です。
本文では、スマホやクレジットカードの苦手な高齢者に合ったキャッシュレスとして、プリペイドカードを取り上げました。
キャッシュレス自体は、金銭を扱う現場での効率改善に不可欠なしくみであるのは、事実です。社会に貢献しながら、自身もメリットを受け取れるようにしましょう。
出典(※)経済産業省「キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識」
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP
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