投票すれば割引?投票所で人々が「投票済証」をもらっていたワケ

ファイナンシャルフィールド / 2019年8月12日 0時30分

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参議院議員選挙(2019年7月21日投開票)が終わりました。   今回の投票率は48.80%(選挙区選)で、前回2016年7月の54.70%(同)や2017年10月の衆議院議員総選挙での53.68%(小選挙区選)に比べてもかなり低率でした。  

「投票済証」とは?

ところで「投票済証」という書面をご存じでしょうか。投票したことを証明するもので、投票所(期日前投票所を含む)でもらえることがあります。
 
今回の参議院議員選挙において東京都のある区で実際に発行されたもの(期日前投票所)は、次のようなイメージです。期日前の投票日付の記載はなく、証明印が押されているわけでもありません。
 

 
実はこの書面、公職選挙法などの法令で定められたものではなく、発行するかどうかの判断は各市区町村の選挙管理委員会に委ねられています。
 
先ほど「もらえることがあります」と述べたのは、発行していない自治体もあるからです。また、書式もさまざまで「投票済証」以外の名称も使われているようです。
 

選挙に行くとおトクなことがあるかも

選挙は、できるだけ多くの人が投票して、多様な民意を選挙結果に反映させることが望ましいのはいうまでもありません。しかし、現実の投票率は先ほどのような状況が見られ、特に若年層の投票率の低さが指摘されているようです。
 
国によっては選挙に義務投票制が採用され、正当な理由なく投票をしないと罰金が課されるところ(例えば、オーストラリアなど)もあります。
 
日本にはもちろんそうした制度はありませんが、各種の投票啓発活動が行われ、民間レベルで【選挙に行くとおトクなことがありますよ】といった趣旨のものも見られます。
 
その一例が、全国で展開されている「センキョ割」。同ホームページでは、「センキョ割は、全国センキョ割学生実施委員会が、中心となり、各地域、各企業様とともに活動しています」と紹介されています。基本的な仕組みは、次のようにとても簡単です。
 
(1)選挙に行って、投票後に投票所の看板や貼り紙を背景にして自分の写真を撮る。もしくは投票済証を手に入れる。
(2)飲食店ほかの協力店でこうした写真や投票済証を提示すると、割引やサービスなどのおトクが楽しめる。
 

おトクの具体的な内容とは?

「センキョ割」のホームページによれば、参加店舗は全国40以上の都道府県で900以上とのこと。
 
以下はそのうちのほんの数例の概要ですが、対象となるのは飲食・施設利用・サービスなど多様です。対象期間にもバラつきはありますが、投票日以降も一定期間は有効となっています。
 

 
なお、特定の候補者や特定の政治的主張をPRする場や手段とならないようなルールや予防措置を講じて、公職選挙法を遵守し選挙違反が起こらないための取り組みがなされています。
 

まとめ

一方で、「投票済証」を発行することの弊害を指摘する声もあります。例えば、福島県西郷村ではすべての選挙で発行をせず、同村のホームページで選挙管理委員会がその理由を次のように説明しています。
 
投票済証明書は、投票に来られた方に投票の証として発行されるものですが、法的根拠がなく、各市区町村選挙管理委員会の判断にゆだねられているものです。
 
本村においては、すべての選挙において投票済証明書を発行しておりません。
 
理由としては、次のとおりです。
 
・公職選挙法に規定がないこと。
・投票は個人の自由意思によってなされるべきであり、投票に行かなかったことを理由に不利益を受けることがあってはならないものであること。
・利害誘導や買収などに利用されるおそれがあること。
・投票済証明書を発行することの是非について、賛否両論があり、過去の総務省の調査においても半数以上の市区町村において発行していないこと。
・商店街などで割引などのサービスを行っているところもあるが、選挙啓発運動と営利活動は分けて行う必要があること。
 
「センキョ割」はあくまでも協力各店の判断によるもので、おトク額は数百円くらいまでのレベルのようですが、もしも投票率の底上げにつながり、また協力店への集客アップによって地域経済の活性化にもなるとすれば「一挙両得」なのかもしれません。
 
次の選挙の機会に、利用を検討してみるのも悪くはないでしょう。
 
(出典):「センキョ割」(問い合わせ先:株式会社ワカゾウ)
 
福島県西郷村「投票済み証明書を発行しないことについて」
 
執筆者 : 上野慎一

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