子供の将来を真剣に考える。学資保険に入るべき人の共通点
ファイナンシャルフィールド / 2019年8月16日 2時30分
![子供の将来を真剣に考える。学資保険に入るべき人の共通点](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_53646_0-small.jpg)
子どもの教育費は、住宅費や老後の費用とともに、人生三大支出のひとつです。家庭の教育に対する考え方によって、費用のかけ方が大きく異なるのも事実です。 現代では義務教育で終了する家庭は少なく、18歳以降にも大学や専門学校などへの進学を前提に教育費を準備する家庭が多いでしょう。 幼児教育無償化も消費税増税とともに始まります。国から補助が出て浮いた金額は、将来の教育費へと有効に活用すべきですが、学資保険を使うことは、低金利の現在でも果たして有利なのでしょうか?
そもそも学資保険とは?
子どもが小さいうち(0歳~7歳など)に将来の教育費のために加入し、18歳~22歳で満期保険金を受け取ります。18歳未満でも、途中お祝い金(回数は複数回のものもあり)を受け取るものもあります。
保険料払い込み期間中に契約者である父親あるいは母親が万一死亡したら、以降の保険料の支払いは免除になり満期保険金は予定通り受け取れるため、満期で予定していた学費を最低限確保するための保障を目的とする保険です。
保険料支払い期間は10年、12年、15年、17年などさまざまですが、満期は子どもが18歳や22歳というのが一般的です。
つまり、保険料支払いが終了しても、すぐに満期保険金を受け取れず、一部または全部を18歳以降まで据え置く必要があり、その前に解約すると支払い保険料を下回る解約返戻金しか受け取れないものもありますので注意が必要です。
支払い保険料の総額と満期保険金が同額の場合を、返戻率が100%と表現します。一般に、保険期間が短い、あるいは18歳前にお祝い金などの受け取り回数が多いほど、保険会社の運用期間も短くなりますので返戻率は低く、逆に保険期間が長くお祝い金がなければ、返戻率は高めです。
教育費のピークは、私立でも公立でも大学や専門学校への進学時です。入学金などが含まれる初年度が特に高いので、18歳時に満期金を受け取るのが最も効率の良い受け取り方と考えられます。初年度は100万円~200万円が必要になるケースが多いので、学資保険のターゲットもおよそ100万円からが一般的です。
<契約者:30歳男性、子ども:0歳、18歳満期、保険料払い込み期間:12年の例>
受け取り保険金の総額:120万円(満期保険金:100万円+お祝い金:10万円×2回)
月額保険料:8192円
支払い保険料総額は、8192円×12月×12年=約117万円(返戻率は101.7%)
学資保険のメリットとは?
保険ですので、最大のメリットは契約者が亡くなっても満期保険金の学費が保持できることです。では、貯蓄性はどうなのでしょうか?
<貯蓄との比較:金利>
高金利時代には、満期受取金は自身の払った保険料の総額にプラスして有利な金利がついて戻ってくることもありました。
いわゆる返戻率ですが、自身の支払い保険料総額を100%とすると、100%を上回る割合が高ければ高いほど運用利回りが高いことになります。現在は例えば97%など100%を下回る、つまり損をする商品もあります。
100%を上回る商品は、10年~15年間保険料を支払い、長い場合は12年据え置いたのちに受け取る満期保険金が102~104%程度となるようです。
据え置き期間が長く仮に12年据え置くと、返戻率が102%で2%の金利がついたとしても、12年で割ると1年あたりの金利は約0.17%です(単利)。確かに銀行の普通預金金利よりも高いです。
しかし、受け取りが子どもが18歳時とすると、保険は10年~15年間で保険料を支払う必要があるのと比べ、貯蓄は17年間で用意すればよいので、1年あたりの積み立て貯蓄金額はもっと少ない金額でできる可能性もあります。
例えば、上記例の保険(支払い期間12年)の保険料が月8000円を超えるのに対して、月5000円を17年間貯蓄すれば102万円になり、18歳時の学費のターゲットである100万円をクリアできます。
保険の途中解約は支払い保険料を下回る金額しか戻らないこともありますので、自分のペースで教育資金を準備したい、あるいは途中で転職などをする可能性があり収入が増減しがちで、長期で一定の保険料を払うことに不安がある場合は、毎月定額払いの縛りがない貯蓄を選ぶことも選択肢としてはあるかもしれません。
学資保険に入るべき人とは?
1.現在貯蓄がない人(死亡保障が必要な人)
保険の最大の目的である死亡保障が必要なケースと考えられます。万一のことがあっても、最低限の大学進学費用は確保できるメリットがあります。ただし、その後も払い続けられる保険料の商品を選ぶことも大切です。
2.無駄遣いなどが原因で貯蓄できない人
収入はあってもすぐに使ってしまい貯蓄する習慣がない、あるいは習慣にできない場合は、学資保険に入り銀行引き落としなどで強制的に教育費分を取り分けてしまえば、大学進学時等の費用は確保できるでしょう。
預金との比較で金利を稼ぐのみの目的であれば、学資保険でなくても良いかもしれません。なぜならば、保険は保険の目的(教育費)でしか使えませんが、貯金で貯めたお金は、いつどんな目的でも自由に使えるからです。
縛りをあえてつけて教育費を保険で用意するのか、住宅購入なども視野に入れて使い道に幅がある貯金にするのか、が思案のしどころでしょう。
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
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