「遺族年金ってどんなもの?」いざというときのために基本を知ろう
ファイナンシャルフィールド / 2019年8月25日 9時15分
前回は、遺族の生活保障を目的に「収入保障保険」などの死亡保険に加入する際は、公的保障である「遺族年金」を考慮しましょうというお話をしました。 とはいっても、「遺族年金ってどんなもの?」と、思われる方もいるかと思います。今回は、遺族年金について簡単に見ていきたいと思います。
まずは会社員の公的年金制度について
遺族年金を理解するには、公的年金制度の仕組みを知る必要があります。ここでは話を簡単にするために、会社員の場合、どのような公的年金制度に加入しているか、ということから確認していきます。
会社員が「加入」する基本的な公的年金制度
会社員の場合、「国民年金保険」と「厚生年金保険」のふたつに加入しています。よく「会社員の場合は2階建ての年金制度」といわれますが、その意味がこれです。「会社員だから厚生年金だけだよね」と思いがちですが、会社員の場合、国民年金保険制度の上乗せ保障として、厚生年金保険制度が存在しています。
このようなことから、会社員の場合、「保険料を納めている(=入り口)」公的年金制度は、国民年金と厚生年金ということになります。また、「出口」として支給される「遺族年金」も、それぞれに対応しています。
分かりやすくするためにイメージで見ていきましょう。
会社員の場合に「給付」される遺族年金のイメージ
ここで理解しておきたいことは、出口段階で名称が変わる点です。国民年金に対しては、支給される遺族年金の名前が「遺族基礎年金」に、厚生年金に対しては「遺族厚生年金」に変わっています。
あくまでも分かりやすくするためにかなり説明を省いていますので、この点はご了承ください。ちなみに、老後の年金については、原則、国民年金が「老齢基礎年金」、厚生年金が「老齢厚生年金」に名前が変わります。
会社員の夫が死亡し、妻と子(18歳未満)が遺された場合
それでは、条件を設定して、もう少し詳しく見ていきましょう。会社員として働いていた夫が死亡し、遺族としては妻と子(18歳未満)がおり、子が18歳に到達した後は、妻が40歳以上65歳未満になるご家庭を想定します。
このようなご家庭の場合、お子さんが18歳になるまでは、1階部分である国民年金から「遺族基礎年金」と「子の加算」が、2階部分である厚生年金から「遺族厚生年金」が支給されます。
そして、お子さんが18歳に到達すると、国民年金から支給される「遺族基礎年金」と「子の加算」がなくなり、妻が65歳になるまで厚生年金から「遺族厚生年金」と「中高齢の加算」が支給されるようになります。
ポイントは、お子さんが18歳になるまでは「子の加算」があることと、お子さんが18歳になった後、妻が65歳になるまでは「中高齢の加算」があることです。子の加算は、妻に対する子育て支援のような意味合いです。
中高齢の加算は、子どもが18歳になった後、国民年金からの遺族基礎年金がなくなるため、厚生年金から遺族厚生年金の上乗せ保障として給付されるものです。
このように見ていくと、子どもが18歳になる前と後で、遺族年金の意味が異なることが分かります。子育て期間中は特に保障を手厚くし、子どもの手が離れた後は、妻の生活を支援することが主な目的になっています。
遺族の生活保障を考える際も似たようなことがいえます。特に、子育て期間中の遺族の生活資金をいかに確保するかが重要なポイントになります。
このため、遺族年金の上乗せ保障として、民間の保険である「収入保障保険」などの死亡保険があるとご理解ください。
今回は、公的保障としての遺族年金について、簡単ですが、概要をお話しました。前述したのは、あくまでも一例です。公的年金制度について考える際は、どの公的年金制度に加入しているかだけでなく、その加入期間や保険料の納付期間、家族構成など、それぞれのご家庭によって判断が異なります。
より詳しく知りたい方は、日本年金機構に問い合わせのうえ、確認するようにしましょう。
次回は、働けなくなった場合の公的保障と民間の保険の関係性について見ていきたいと思います。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
関連記事
遺族年金の受給金額は実際いくら?何歳まで貰えるの?受給条件も難しくない?
遺族年金を受けてきた妻の今後の年金(1)65歳以降では内訳と金額が変わる!
夫婦ともに65歳過ぎ もしもの時、遺族年金を受ける場合の基本的な仕組み
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「受給権」そのものが消失する場合も…必ず知っておきたい〈遺族年金〉が支給停止になる要件とは【相続実務士が救済策を助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月27日 10時15分
-
月13万円もらえるはずが…夫を亡くした45歳妻「遺族年金のルール」を知らず、年金事務所で請求却下「えっ、何かの間違いでは?」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月24日 7時15分
-
48歳〈月収40万円〉の夫が突然死…妻、仕事復帰し子育て無事終了も、65歳で〈遺族年金・大幅減〉に愕然「死ぬまで働くしか」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月24日 7時15分
-
会社員で「年収450万円」の夫が死亡しました。妻である私は「遺族年金」をいくら受け取れますか? 夫はまだ30代でした
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月20日 4時30分
-
年上妻を亡くしたシンパパです。妻のほうが収入が高かったのですが、「遺族年金」はもらえるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月6日 9時40分
ランキング
-
1円上昇、一時151円台 3週間ぶり円高水準、介入警戒も
共同通信 / 2024年5月3日 22時28分
-
2過度な動き「ならす必要も」=円安、介入コメントせず―鈴木財務相
時事通信 / 2024年5月3日 23時51分
-
3日銀がこれほどまで円安を「無視」する3つの理由 「為替は管轄外」では、結局うまくいかない?
東洋経済オンライン / 2024年5月4日 8時30分
-
4いなば食品、大炎上も「ほぼ沈黙」の戦略的な是非 「沈黙は金」黙って耐える…のはもう通用しない
東洋経済オンライン / 2024年5月3日 19時30分
-
5黒田東彦・日銀前総裁「円安は一時的」…NYの講演で見解、マイナス金利解除・利上げは「当然のこと」
読売新聞 / 2024年5月3日 17時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください