65歳以上の暮らしってどんなもの? 調査データからみる老後の家計
ファイナンシャルフィールド / 2019年8月26日 23時0分
金融庁が発表した「老後資金は2000万円必要」問題。年金だけでは老後は生活できないのかなど、世間で大きな不安が広がったのは、つい最近のことでしたが、実際に老後の生活資金が2000万円必要な人は、どのくらいいるのでしょうか? 今回は、総務省の家計調査(2017年・世帯主が65歳以上である二人以上の世帯の1ヶ月間の支出金額)に注目して、65歳以上の暮らしや生活資金などについて考えてみたいと思います。
老後資金は2000万円必要の根拠は?
そもそも「老後資金は2000万円必要」の根拠となったデータとは、何でしょうか?それは、総務省の家計調査(2017年)で発表されている、夫65歳以上、妻60歳以上の高齢夫婦無職世帯の1ヶ月あたりの収支の平均値が根拠になっています。
その金額が、収入:20万9198円、支出:26万3717円であることから、その差額(不足分)は約5万5000円/月となるため、老後30年(人生100年時代を想定した)で必要となる金額(不足分の金額)の合計が、5.5万円×12ヶ月×30年=1980万円、つまり約2000万円が必要ということになります。
65歳以上の世帯支出の内訳から考えてみる
それでは、世帯主が65歳以上の家庭全体の支出の内訳を、2017年の総務省の家計調査(世帯主が65歳以上である二人以上の世帯の1ヶ月間の支出金額)のデータを例に確認してみましょう。
世帯主が65歳以上である二人以上の世帯の1ヶ月間の消費支出は「24万7701円」となっています。内訳(支出費目別の支出金額と構成比)は、以下のとおりです。
食料:7万58円(28.3%)
住居:1万4853円(6.0%)
光熱・水道:2万1635円(8.7%)
家具・家事用品:1万273円(4.1%)
被服及び履物:7465円(3.0%)
保健医療:1万4995円(6.1%)
交通・通信:2万8524円(11.5%)
教育:458円(0.2%)
教養娯楽:2万4541円(9.9%)
その他の消費支出:5万4898円(22.2%)
65歳未満である二人以上の世帯の1ヶ月間の消費支出(30万5118円)と比較すると、65歳以上の消費支出には、大きな特徴があることがわかります。
1、保健医療
65歳未満の支出金額1万1106円[構成比3.6%]と比較すると「1.35倍」の金額がかかっています。
特に保健医療の中の健康保持用摂取品においては65歳未満が801円[構成比0.262%]となっているのに対して、65歳以上が1739円[構成比0.7%]「2.17倍」もの金額をかけています。構成比ではそれぞれ「1.69倍」「2.67倍」、65歳以上の方が高くなっています。
65歳以上になると健康の維持・増進のため保健医療に費やす支出金額・支出割合がともに、65歳未満より高くなっていることから、健康の維持・増進への関心の高さがうかがえます。
2、その他の消費支出
65歳未満の支出金額(6万546円)と比較すると、その他の消費支出としては、65歳以上の方が支出金額は少なくなっています。
しかし、その他の消費支出の中の交際費を見ると、支出金額では65歳未満が1万7017円で65歳以上が2万5315円と「1.49倍」、構成比では65歳未満が5.58%で65歳以上が10.2%と「1.83倍」、どちらも65歳以上の方が高くなっています。
家計調査における交際費とは、世帯外の人への贈答品・祝い金などのほか、接待用支出や職場、地域などにおける諸会費および負担費ということになっていますので、特に子や孫の世帯など世帯外への金品の贈与などの影響が大きいと考えられます。
あらためて老後の生活資金を考えてみる
「老後資金は2000万円必要」の根拠は、総務省の家計調査でした。
その家計調査から、65歳以上(二人以上の世帯)の支出費目別の支出金額・支出割合や、特に「保健医療」「交際費」の支出金額・支出割合が、65歳以上になると大きくなる傾向があることなどを知ることができましたし、「老後資金は2000万円必要」についても、数字だけが独り歩きしているということを理解していただけたかと思います。
今回は、支出に注目して老後(65歳以上)の生活資金について考えてみましたが、老後の収入(年金など)も含めた形で、自分自身が65歳以上になったときの家計や暮らし方、65歳以前の老後の生活資金の準備の仕方・目標金額などについて考えてみてはいかがでしょうか?
参照・出典
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)II 世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)」
執筆者:中田真
CFP(R)認定者、終活アドバイザー
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