認知症になってからでは遅い?自分の財産管理を任せるにはどんな方法がある?
ファイナンシャルフィールド / 2019年9月8日 10時0分
認知症になると、契約などの法律行為が制限されてしまいます。そのため、自分の財産管理について、事前に対策しておく必要があります。多様な方法を理解して、自分に合った方法を選択できるようにしておきましょう!
認知症になってからでは、この方法だけ!
人生100年といわれる時代になりました。健康寿命と平均寿命という単語を聞いたことがある人は多いと思います。健康寿命とは、「日常生活に制限のない期間の平均」と厚生労働省が定義しています。
つまり、誰の手助けも必要としないで、健康に暮らすことができる年齢といえるでしょう。健康寿命と平均寿命の間の期間は、誰かの手助けを必要とする期間であると考えられます。その間に認知症になることも考えられます。
認知症にならないことが一番良いことですが、認知症になる可能性は誰しもあります。何も対策を行わずに認知症になってしまった場合、意思決定能力や判断能力がないと見なされ、成年後見制度における法定後見制度を利用することになるでしょう。その場合、契約などの法律行為は、すべて後見人が行うことになります。
法定後見人のメリットは、
・法定後見人をするために、契約が必要ない。(家庭裁判所の指名により法定後見人が選任されます。)
・本人が行った契約行為の取消権がある。認知症の人が行った契約行為に関して、取り消すことができます。
一方で、法定後見人のデメリットは、
・財産の管理者を裁判所が決める。
・弁護士、司法書士などの専門職といわれる人が財産の管理者に選任される場合がある。
・専門職が財産の管理者に選任される場合、毎月2万円ほどの報酬を支払うことになる。(管理する財産の額が増えると、報酬額が上がります。)
・法定後見人を一度選任すると、本人が亡くなるかもしくは本人の判断能力が回復するかどちらかの場合を除いて、法定後見人を外すことができなくなる。
認知症になってしまった後では、選択できる方法がこの法定後見だけになってしまうことを理解しておく必要があります。
法定後見人ではない方法を知ろう。
法定後見制度と似た方法で、任意後見制度という方法があります。法定後見人と任意後見人の大きな違いは、財産の管理者を本人が決めることができるということです。
任意後見人のメリット
・財産の管理者を本人が決めることができる。
・任意後見人に報酬を支払う必要がない。
一方で、任意後見人のデメリットは、法定後見人の場合とほとんど同じです。異なる点を次に示します。
・財産の管理者を決めるためには、任意後見契約を締結しなければならない。
・認知症になった後では、契約を提携することができない。
・任意後見監督人をつける必要がある。任意後見監督人は、家庭裁判所の決定により専門の士業が選任されることが多い。
・任意後見監督人に専門職が選任される場合、毎月2万円ほどの報酬を支払うことになる。(報酬の額は、監督人が家庭裁判所に申立て、資産額や業務内容により決定される。)
法定後見人、任意後見人ともに、成年後見制度によるものですので、考え方は同じであるということは、理解しておく必要があります。
家族信託という方法を知ろう。
最近注目されている方法として、家族信託があります。世の中では、家族信託も用いると、なんでも解決できるかのように伝えている人がいますが、そんなことはありません。家族信託にも、メリット、デメリットがあります。
家族信託のメリットは、
・財産の管理者を本人が決めることができる。
・財産の管理者(受託者)に報酬を支払う必要はない。
・財産の管理方法を指定することができる。
一方で、家族信託のデメリットは、
・財産の管理者を決めるためには、信託契約を締結しなければならない。
・認知症になった後では、契約を提携することができない。
・信託設定時に費用がかかる。
・家族信託の専門家が少ない。
・契約に記載された内容については、効力があるが、想定外の事態に対応できない。
法定後見人、任意後見人、家族信託において、それぞれメリット、デメリットが存在します。したがって、自分に見合った方法を選択することができるように、今から検討しておくことをオススメします。
出典(※)厚生労働省HP
健康寿命のあり方に関する有識者研究会
健康寿命と平均寿命
執筆者:岡田文徳
認知症大家対策アドバイザー
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