あなたは説明できますか?3種類ある「NISA」いったい何が違う?
ファイナンシャルフィールド / 2019年9月11日 9時10分
2019年6月3日に金融庁が公表した「高齢社会における資産形成・管理」にて、公的年金以外に老後資金2000万円が必要との指摘が話題を集めています。 老後について不安感が増し、老後資金をどう作ればいいか悩んでいる方は多いと思いますが、この報告書では対応策として「iDeCo(イデコ):個人型確定拠出年金」とつみたて「NISA(ニーサ):少額投資非課税制度)」が例示されています。 iDeCoとNISAも名前は聞いたことがあるものの、どんなものでどう自分の暮らしに役立つかが分かっている方は意外と少ないかもしれません。そこでこのiDeCoとNISA)について基本的な内容をできるだけ分かりやすく解説したいと思います。今回はNISAについてです。
そもそもNISAって何?
「敬遠されがちな投資活動にもっと気軽に取り組んでもらうため、通常約20%の税金がかかる配当金・分配金や運用益(譲渡益)が一定の金額まで非課税になる」という、投資を促進するための優遇制度です。2014年から開始されました。NISAの基本的なルールは以下のとおりです。
(1)利用可能者:20歳以上(口座を開設する年の1月1日現在)の日本国内居住者
(※0~19歳には後述する「ジュニアNISA」制度があります)
(2)非課税対象:株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や運用益(譲渡益)
(3)口座開設可能数:1人1口座
(4)非課税投資枠:毎年120万円まで(※未使用分の翌年以降への繰り越しは不可)
(5)非課税投資総額:最大600万円まで
(6)期間:最長5年間(売却しても非課税枠の再利用はできません)
(7)制度継続期間:2014年から2023年までの10年間(※毎年120万円ずつ非課税枠の設定ができる)
(8)その他:他の口座(一般口座や特定口座)で発生した譲渡益や配当金等との損益通算はできない。
この通常NISAに加え、2016年に未成年者を対象とした「ジュニアNISA」が、2018年に特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための「つみたてNISA」がスタートしました。NISAにはこの3種類があります。
通常NISAについて
長期投資したい株や投資信託に利用するのが効果的です。株価が順調に右肩上がりになれば5年目にいったん売却して運用益(譲渡益)を得たのち、また新しい枠に再投資することで、再び5年間は非課税の状態にできます。(10年間は毎年120万円分の非課税枠が増えるので)。
例えば、2019年に枠いっぱいの120万円分の投資をしたとします。
毎年2万円の配当金を得て、かつ5年後に株価が1.5倍の180万円になったとすると、利益は配当金2万円×5年(=10万円)+株式運用益60万円=合計70万円です。税金は70万円×20%(=14万円)となるところがNISA口座であれば非課税、税金は0円となるのです。
毎年120万円ずつ非課税枠が増えるので、上手に運用できれば節税効果はさらに5倍(5年間)も可能です。
ジュニアNISAについて
通常NISAと異なる特徴は
(1)利用可能者:日本にお住まいの0歳~19歳の方(口座を開設する年の1月1日現在)
(2)非課税投資枠:新規投資額で毎年80万円が上限(※未使用分の翌年への繰り越し不可)
(3)運用管理者:口座開設者本人(未成年者)の二親等以内の親族(両親・祖父母等)
(4)払い出し制限:18歳までは原則として払い出し不可 (※災害等やむを得ない場合には、非課税での払い出しが可能)
※2023年12月末以降、当初の非課税期間(5年間)の満了を迎えても、一定の金額までは20歳になるまで引き続き非課税で保有できる。
子どもや孫の将来に向けた長期投資として親権者が代理で運用を行います。学資保険代わりに長期運用を自ら行うイメージです。
元本保証ではないこと、中途での払い出しは過去の利益に対しても課税されること、手続書類が多く若干面倒なことはありますが、最大20年もの期間限度額はあるものの非課税で運用できるのは魅力です。また、相続対策としての活用も有効です。
つみたてNISA(ニーサ)について
年齢の上限なしで年間40万円まで投資ができて、その運用益(譲渡益)にかかる税金が非課税となります。投資信託など継続的な運用を行う投資に効果的で、金額も任意で設定できます。
新規に投資できるのは2037年までですので、2019年に開始すると、最大で40万円×19年=760万円の投資ができる計算です。
つみたてNISAで購入できるのは金融庁が定めた基準を満たす金融商品で、その名のとおり「つみたて」で継続的に購入していきます。仕組みがシンプルで取り組みやすい制度ですが、投資できる商品が少ないのが現状ではデメリットといえるかもしれません。
NISA(ニーサ)についてのもっと詳しい解説は金融庁のホームページでも確認することができます。とても分かりやすいですので興味を持たれたらぜひ一度検索してみてください。
出典
金融庁「NISAとは?」
執筆者:園田経人
株式会社SFPコンサルティング 代表取締役
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