40代はどんな暮らし? 家計調査からみる40代の家計事情
ファイナンシャルフィールド / 2019年9月21日 1時40分
![40代はどんな暮らし? 家計調査からみる40代の家計事情](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_57343_0-small.jpg)
晩婚化が続く現代において40代は子どもの大学への入学が始まり教育費用の負担が大きくなるほか、親の介護が現実味を帯びてきたり、住宅ローンの返済期間の上限に抵触し返済期間が短くなったり、自身の老後についても対策を始める必要が出てくるなど多くの変化が生じる世代です。 40代はライフステージの変化に伴う問題と将来に発生する問題に備える大切な時期です。今回は総務省が発表する家計調査などから40代のライフスタイルについて解説を行っていきたいと思います。
40代の暮らしとは?
まず、40代と40歳未満の世代で大きく異なる点として世帯収入の額の大幅な増加があります。
総務省の家計調査より、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の世帯収入をみると、40歳未満の場合は月52万1119円ですが、40代になると60万1135円となります。世帯収入の増加率は+15.35%にも達し、全世代を通じて最大の増加率を示します。
世帯収入の増加によって生活レベルが大きく改善しているようにもみえますが、黒字額は40歳未満とほぼ同額です。これは世帯収入の増加分と同じくらい支出が増加してしまっているためです。
では、40代ではどのような支出が増加してくるのでしょうか?
40代においては第1子が大学生に達する世帯が発生し始めるため、教育費の増加が始まります。この他に、大きく増加する支出として非消費支出の増加があります。非消費支出とは社会保険料や各種税金などが該当します。
世帯収入に対する非消費支出の割合は近年増加傾向にあり、2005年は平均で15.9%でしたが、2018年は18.5%にも達しています。
40代においては、こうした非消費支出の増加背景以外にも大きく支出が増加する2つの要因があります。ひとつは40歳以降は介護保険料の徴収が始まること、もうひとつはマイホームの購入です。
40代においては持ち家率が大きく上昇しており、40歳未満が59.3%だったのに対し、40代は77.2%にも増加しています。これは固定資産税による税負担が新たに加わっているためです。この結果、40代の非消費支出の割合は平均を上回る19.1%に達することになります。
40代の暮らしは、世帯収入が大きく増加するものの、教育費の増加や介護保険料やマイホーム購入の税負担の増加によって収入の増加分をほぼ打ち消されてしまっています。
こうした家計状況で他の支出まで増加させてしまうと老後資金の準備に大きな影響を及ぼしてしまいかねません。収入増加に浮かれず、他の世代よりもシビアに家計管理を行っていくことをおすすめします。
「40代以降を乗り切るためには収入の複線化が重要」
近年は副業解禁の動きもあり、主たる勤め先以外からも収入を得ることに対し注目が集まっています。今回の家計調査などに示されている世帯収入が少し多いなと感じたりはしなかったでしょうか?
今回調べた統計データの世帯収入の構造をひもとくと、二人以上の世帯のうち勤労者世帯全体でみると、勤め先からの収入は世帯収入の91.7%で、それ以外の収入が8.3%となっていました。
たった8.3%と思われたかもしれませんが、40代の世帯収入60万1135円の場合、8.3%は5万円近くにもなります。40代の黒字額は16万2133円ですので、この副収入がなければ黒字額は大きく減少してしまい、その差は時間の経過とともに大きくなっていきます。
ご自身の世帯収入の状況を確認し、副収入の金額が平均に届いていないようであれば黒字額の上乗せや副収入の増加などの対策を採る必要があるかもしれません。
「まとめ~40代から老後の生活を考えよう~」
人生においてマイホーム・教育費・老後資金は大きな資金を必要とするイベントです。40代ではそれらに大いに関わっていくことになる世代です。今までの延長で生活していると全てのしわ寄せは老後資金の不足に現れることになります。
老齢年金は老後生活の重要な柱ですが、その給付金だけで生活していくことは困難です。仮に65歳以上の高齢夫婦が年金給付だけで標準的な生活を送っていった場合、毎月5万円程度の赤字が生じてしまうと考えられています。晩年に心配のない生活を送るためにも40代からお金に対する意識を変えていくことが大切です。
出典 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)年平均結果の概要(2018年)」
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表
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