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やはり、老後2000万円では足りない!? 公的年金の健康診断「財政検証 2019」から将来を考える

ファイナンシャルフィールド / 2019年9月25日 12時20分

やはり、老後2000万円では足りない!? 公的年金の健康診断「財政検証 2019」から将来を考える

2019年(令和元年)『財政検証結果』レポートが、2019年8月27日に開催された、第9回社会保障審議会年金部会において公表されました。   『財政検証結果』とは“年金の健康診断”ともいわれ、公的年金の向こう100年の見通しを示すもので、5年に1回行われます。今や「5年ひと昔」の時代です。   このレポートをしっかりと読み、自分の老後の予測をしていくことは大切なのではないでしょうか。果たしてこのレポートの言わんとしていることは何なのでしょう。

老後2000万円問題、新たな局面。年金で老後は暮らせるのか

2019年6月、年金問題がネット上で炎上しました。「老後2000万円問題」です。かつて、このようにことはなかったのではないでしょうか。その後この問題は、7月21日に開催された「参議院選」の争点の目玉にされました。
 
あのレポートは、「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」というのが本来の名称。現在から未来へおける日本の、超高齢社会に対しての警告と対策が書かれた、大変素晴らしい内容でした。
 
私自身、確定拠出年金相談ねっと認定FP(ファイナンシャルプランナー)として、その内容は2年前から勉強しております。FPや金融業界にお勤めの方々は、すでに認知している内容でした。
 
だから、別段驚きもせず「ようやく公表されたのだな」と安堵(あんど)していましたら、それから毎日のように、テレビ・マスコミに取り上げられていきました。
 
挙句の果てには、6月11日に当時の金融相が「政府のスタンスとは異なる」と受け取りを拒否。この発言に非常に驚き、心配に。
 
「結局老後の大切な生活資金は年金だけで賄えるのか」国民の中には、そのように安易な考え方に至ってしまった方もおられるでしょう。しかし、2019年『財政検証』でそこがはっきりと診断されたのでした。

財政検証“所得代替率”って何だろう!?

さて、今回の財政検証2019 公的年金の健康診断結果はどうだったのでしょうか?当時の厚生労働省は「経済成長と女性や高齢者の労働参加が進む前提条件付きで、年金財政は100年持続が可能」としました。
 
しかし、残念ながらこの先どのようになるのかわかりません。むしろ「働きましょう」「長く働けば年金は大丈夫です」等、はっきり言って欲しいものです。
 
この健康診断には“所得代替率”という指標があります。いったい、この数字は何を現しているのでしょうか?
 
“所得代替率”とは、公的年金の給付水準を考える物差しです。年金受給者が年金の受け取りを始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の男性の手取り収入額と比較してどのくらいの割合かを示します。なお、この所得代替率での「年金」とは、厚生年金を示しております。
 
所得代替率50% = 現役世代の手取り収入の50%を年金で受け取る
※所得代替率での「年金」とは厚生年金、「現役世代の手取り」は男性を示しております。

 
政府はこの所得代替え率が、50%を下回らないことを約束しています。「老後は現役の半分のお金で暮らしてください」そのようなメッセージです。
 
確かに、現役時代よりは、お金がかからないかもしれません。実際、今の所得代替率はどのくらいなのでしょうか?

所得代替率の比較

2019年度所得代替率61.7%
 
現在は、50%を上回っており、厚生年金を受け取っている人たちは、現役世代より、豊かな人生を送れていると思います。では、これからの先の見通しは、どのように予測されているのでしょうか。
 
50.0%~51.9%
※経済成長率によっても違うのですが、ここでの説明は割愛させていただきます。
 
経済の成長とともに、支給額は増えるようなのですが、代替率は下がってしまう模様です。この数字は、現役世代の収入とリタイア後の年金のバランスが整うという考えもできます。経済が活性化されて、現役世代の所得が本当に増えるのでしょうか?

財政検証「前提条件付き」って何を言っているの?

年金の財源は、個人や会社から負担される「保険料」と「税金」です。「保険料」部分の収入が増加すれば、財源は増えます。
 
また、国民年金に比べて、厚生年金の保険料の方が高くなっています。未納率も減るでしょう。ですから、働き手が増えることは、イコール年金の財源がアップされることとなります。
 
・基礎年金期間の加入延長
・在職老齢年金の見直し
・厚生年金加入年齢の引上げ
・就労延長
・受給開始時期の選択肢の拡大

 
今の時代、母親(女性)が働いていない方が珍しいでしょう。政府は「女性の労働推進」と言いますが、世間ではすでに当たり前のことです。
 
それよりも「働く期間の延長」から受ける衝撃が大きいのでは。「基礎年金(国民年金)」の加入延長ということは、その分お金がないと支払えません。在職老齢年金の見直しとは、どう考えても、受け取る側に都合が悪い話です。
 
これからのキーワードは「いつまで働くのか」ということではないでしょうか? そのためには、「元気なからだ」と「やりがいのある仕事」を見つけることです。大学生で、将来の進路を決めたように、30~40代でセカンドライフのデザインを考え、準備する時代になるでしょう。

財政検証より、私たちがとるべき行動

この発表を経て、しばらくはさまざまな角度からの検証が必要かと思います。
 
生かしてこそ、マネーリテラシーです。6月の金融庁のレポートは、あやふやにされてしまった感がありますが、今回の発表により「自分の老後は、今のシルバー世代の人と同じではない」という認識をしっかりと深めることです。
 
不思議なもので、50歳間近になると急に「老後」の心配がでるのか、相談が増えます。時間があればとれる対策も、急にだととれなくなるものです。これを機に、行動をしてみましょう。
 
「情報収集」
今回の検証より、5年間の経済の見通し、把握、政府は何を言わんとしているのかを見極める。

「自分の年金予測」
実際に自分が年金を支給される時には、いくらもらえるのか把握する。

「老後の自分の生活デザイン(お金)」
自分が描いている生活デザインのコストを把握する。

「収支計算をし、過不足を考え、それに対して何をしたら良いか考える」
大きなお金を一度に蓄えることはできません。収支で過不足を把握し、不足していたら「増やす」努力を。「足りる」なら、経済発展のために、お金を使うのもひとつです。
 
年金は、将来のお金の大黒柱です。人任せにしないで、しっかりと把握してまいりましょう。
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
 

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