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今後の年金は目減りする・・自助努力はどうやったらいいのか

ファイナンシャルフィールド / 2019年10月1日 23時0分

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公的年金の将来の見通しを示す財政検証が、2019年8月27日に厚生労働省より発表されました。   モデル世帯(夫婦二人)を現役男性の手取り収入と比較すると、現在の給付水準(所得代替率)は61.7%です。今後は0.4%以上の経済成長率で推移すれば、28~29年後(2046~2047年)まで所得代替率は50%以上を維持できます。   ところが、経済成長率が0.2%以下になると、25~26年後で所得代替率が50%に達し、その後50%を下回ります。   少子高齢化で、0.2%以下の経済成長の可能性を考えると、早期自助努力は必要不可欠となり、その方法の優劣が老後の生活を左右するのではないかと懸念されます。 ではどうすればよいのでしょうか?  

今後の政府の取り組み

こうした事実を受け、上記検証にはオプション試算と称した解決案が2つあります。
 
オプションA ・・・被用者保険のさらなる適用拡大
オプションB ・・・保険料拠出期間の延長と受給開始時期の選択
 
オプションAは、社会保険料を払う人の範囲を広げる、という話です。例えば、現在、会社規模が小さいところにお勤めのパート社員の方(学生などを含む)などへも年金保険料を納める対象を広げるという案です。
 
オプションBは、国民年金保険料の支払期間を現在の60歳から65歳にし、厚生年金加入上限を現在の70歳から75歳にする案があります。年金の受給開始は現在任意で70歳まで繰り下げることができ、その分受給額を増やすことができますが、繰り下げ年齢を75歳まで可能にするなどの案です。
 
つまり、今後はちょっとでも働くと社会保険料を納める対象者になり、その支払期間も長くなる可能性があるということです。繰り下げ受給に関しては財源が必要なため、今後の動向には注意したいところです。
 

政府の取り組みに同調するメリット

上記オプション試算を裏返せば、公的年金を増やす方法といえます。公的年金が増える最大のメリットは、「終身払い」であるということです。
 
老後の資金の計算は、何歳まで生きるかわからないので平均余命などを用いて計算しますが、その試算がどれだけ正確なものかは実際に亡くなるまでわからないのです。
 
公的年金なら、いくら長生きしても生きている限りもらえますので、たとえ年額が少ない場合でも長期にわたる保障をしてくれる意味ではありがたい存在です。
 
<オプションA>
現在パート勤務などで社会保険料を支払わずにすむように年収調整しながら働いている方は、今後保険料の支払い対象が広がる可能性があるのであれば、いっそ130万円や106万円の壁を大きく超える働き方をして、手取りも年金も増やすことを検討してみるという考えもあります。
 
<オプションB>
・保険料を長く支払う

企業にお勤めの方は、70歳まで厚生年金に加入できれば、それだけ厚生年金額を増やすことにつながります。65歳から受け取る年金は、65歳まで支払った保険料に対する年金額を受け取り、70歳まで支払った保険料分については70歳以降の年金額に反映されます。
 
・繰り下げ受給

現在でも70歳まで年金受給の繰り下げは可能です。昭和16年4月1日以降に生まれた方は、1ヶ月繰り下げるごとに0.7%ずつ年金が増えますので、一般的な65歳からもらわずに最大の70歳まで5年間繰り下げると、
0.7%×12月×5年=42%
 
つまり最大で42%も年金額が増えることになります。国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)、それぞれ繰り下げ時期を選択できます。
 
ただし、繰り下げて間もなく亡くなってしまうと、65歳から受給していた方が多くもらえたという結果になることもありえます。公的年金は終身払いですので、長生きすればするほどお得で、短命だと必ずしも既払い保険料に見合う年金をもらえないこともある一種の保険でもあります。
 

その他、公的年金を増やす方法

<確定拠出年金>
自助努力の最も一般的な方法といえるでしょう。確定拠出年金のメリットは、税制優遇があることですが、将来の年金額は自己の運用成績によるため、運用の知識が求められます。
 
企業型に入っている方は、企業が掛金を払ってくれますが、個人でもそこに追加して掛金を支払える場合があります(マッチング拠出)。会社の規約によっては、個人型確定拠出年金(iDeCo)に入れる場合もありますので、会社の総務部や人事部へ確認してください。
 
企業型がない60歳未満の方は、個人型(iDeCo)に入ることができます。
 
<国民年金基金>
国民年金にのみ加入している自営業などの方(国民年金第一号被保険者)が、国民年金に上乗せする制度です。掛金の上限は月6万8000円ですが、個人型確定拠出年金にも加入している場合は、その掛金とあわせて月6万8000円です。
 
年齢、性別、年金の種類によって掛金が異なり、詳細は国民年金基金連合会のHPで確認ができます。
例えば、40歳女性が終身年金(15年保証付き)に加入する場合、月額保険料は1万4610円、60歳までの20年間の支払い保険料合計は350万円を超えますが、年金は生涯18万円増額になります。
 
<国民年金 付加年金>
国民年金のみに加入している方(国民年金第一号被保険者)は、付加保険料(月々400円)を納めると、付加年金が上乗せされます。付加年金の年金額は、200円×付加保険料納付月数となります。
 
例えば、40歳の方が付加保険料を納めると、付加年金額は200円×240月(12月×20年)=4万8000円となり、4万8000円の年金が上乗せされます。支払う付加保険料合計は400円×240月=9万6000円ですので、2年間年金を受給すれば元が取れます。付加保険料は年齢や性別などによる金額差がないので、この2年で元が取れる仕組みはいずれの方も同様です。
 
ただし、国民年金基金に加入している方は、付加保険料を納めることができません。
 
<保険料支払い期間中に、免除や猶予期間がある場合>
免除期間は保険料を支払っていない分、年金額が少なくなりますが、追納をすれば年金額に反映され、本来もらう額に戻すことができます。
 
ただし、追納ができるのは追納が承認された月の前10年以内の免除等期間に限られています(例えば、平成31年4月分は令和11年4月末まで)。
 
原則古い順に追納し、保険料の免除もしくは納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
 

その他の自助努力

公的年金を増やすことができれば安心ですが、収入を増やすことだけが解決策ではないでしょう。支出を抑えるという方法もあります。
 
支出を抑えることは、手元に残すお金を増やすことにつながります。支出というのは、現在の支出と老後の支出の両者を指します。
 
現在の支出を抑えれば、老後のための貯蓄体質をつくり、老後生活のリハーサルにもなるでしょう。老後の支出を抑えることは、年金暮らしの家計には直接反映されます。お金をかけずに楽しく暮らせる趣味や方法を、現役時代から模索しておくことも大切でしょう。
 
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士

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