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節約のために電気とガスを一本化したのに、最近高くなってる…? 一体なぜ?

ファイナンシャルフィールド / 2019年10月2日 10時30分

節約のために電気とガスを一本化したのに、最近高くなってる…? 一体なぜ?

3年前、知人のAさんは「電力料金が安くなる」ということで、電気とガスをセットにして、東京ガスに契約を一本化しました。   契約をまとめた直後は「よしよし、だいぶ安くなった」と満足だったのですが、最近改めてチェックしてみると、東京電力の頃より単価が上がっているようなのです。いろいろ調べてどうしてなのかが分かったそうですが、電力料金の計算は複雑で、安くなったといっても、そう簡単に安心してはいけないようです。  

最近、電力料金が上がった。東京電力時代より高い!

Aさんは、2016年(今から3年前)東京ガスからの売り込みに乗って、電気とガスの契約を一本化しました。一本化直後は使用量(kWh)当たりの電力料金は10%近く安くなり、「やっぱり切り替えてよかった」と思っていました。
 
ところが最近しばらく見ていなかったので「どうかな?」と思って調べてみると、図表1の通り、なんとkWh当たりの料金が東京電力時代より高くなっていることに気が付いたのです。
 
図表1  kWh当たりの電力料金推移

 

改めて電力料金の計算を確認すると、ベースの料金は東京ガスの方が安い

電力料金の構成は次の通りで、それらを足したものが電力料金合計になります。
 
・基本料金
・電力量料金
・その他調整額

 
まず初めに確認したところ、電力料金のベースとなる電力量料金は東京ガスの方が安いということでした。図表2に示す通り、月当たりの使用量を600kWhとした場合、東京ガスの方が10%程度安くなっています。これにセット割引が加わるので、この3年間を通じて東京ガスの方が安いのは間違いありません。
 
電力量料金の計算は若干複雑ですが、電力を使えば使うほど、東京ガスの方が安くなる仕組みになっています。
 
図表2 電力量料金比較

 

なんと、燃料費調整額というのがある

いろいろ調べていくうちに、電力料金のもう一つの構成要素「その他調整額」の中に、「燃料費調整額」というものがあることに気が付きました。どうも、東京電力時代より電力料金が高くなったのは、この調整額のせいらしいのです。図表3をご覧ください。
 
燃料費調整前の電力料金を見ると東京電力時代(2015年+2016年前半)と2016年後半以降の東京ガス時代を比べると、東京ガス時代の方が約10%安くなっています。
 
ところが燃料費調整額を加えた途端、電力料金が上がり出し、2019年前半では東京電力時代の96%までになってきています。ベースの価格を取った時期によっては、東京電力時代より電力料金が高くなっても不思議はありません。電力料金アップの原因はこれだったのです。
 
図表3

 
燃料費調整制度とは、燃料費が経済情勢(為替レートや原油価格)の影響を大きく受けるため、燃料費の変動を電気料金に反映させるシステムです。原油安・円高の時に電力料金は安くなり、原油高・円安の時に電力料金は高くなります。
 
燃料費調整額はマイナスで推移することが多いのでややこしいのですが、2017年までは原油価格が安かったので燃料費調整額のマイナスが大きく(=電力料金安)なり、2018年から原油が上がり始め燃料費調整額のマイナスが小さく(=電力料金高)なったのです。
 
2019年に入り、原油価格が少し下がり、かつ円高になったため、2019年後半の燃料費調整額のマイナスは大きく(=電力料金安)なる見込みです。
 

まとめ

東京電力の契約を東京ガスにまとめたのは正解でした。それで10%程度は確実に下がったのです。
 
ところが電力料金はそれ以外の要素にも左右されます。Aさんが東京ガスの割引がなくなったのではないかと心配した本当の原因は、原油の価格や為替レートをベースに変化する燃料費調整額によるものでした。
 
これにより2016年の後半には電力料金総額は東京電力時代よりも20%も安くなっていましたが、最近では4%にまで縮小してしまいました。これだけで15%も電力料金が上がったことになります。
 
基準となる時点の取り方次第では、初めに申し上げたように、今現在の電力料金が東京電力時代よりも高くなったということにもなるのです。
 
結論をいうと、
1.契約を東京ガスに一本化したのは正解
2.原油価格や為替レートの動向で電力料金はそれ以上に変動する

ということです。
 
これには対策はありませんが、生活費が原油価格や為替レートによって変動するということの一例としてお伝えします。
 
【出典】
東京電力エナジーパートナー 過去の燃料費調整のお知らせ一覧
東京電力エナジーパートナー 燃料費調整単価一覧表(月別)
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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