そもそも年金っていくらもらえるの?今さら聞けない年金の仕組み、基本をおさらい
ファイナンシャルフィールド / 2019年10月6日 9時30分
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先日金融庁が公表した「公的年金以外に老後資金2000万円が必要」との報告書を受け、ご自身の老後について考えられた方も多いのではないでしょうか。 しかし「公的年金プラス2000万円」といわれてもそもそも公的年金でいくらもらえるのかが分からなければ準備のしようもありません。そこで今回は年金の仕組みといくら払っていくらもらえるのか、を考察してみたいと思います。
公的年金の基本的な仕組み(1)‐国民年金(基礎年金)
いろいろと複雑そうで分かりにくいイメージのある公的年金ですが、まずはシンプルに2種類だと考えてください。国民年金(基礎年金)と厚生年金(定年退職のある、会社員や公務員用の上乗せ年金)です。
国民年金は国民全員が支払って要件を満たせば誰もが受け取れる年金です。受け取れるのは老後だけに限らず、障害や介護状態になってしまったときにも支給されます。国民の人生生活の安心を支える一番基礎の部分ですので基礎年金と呼ばれます。
月々に支払う国民年金保険料ですが、毎年物価や賃金の伸びに合わせて改定されます。2019年4月~現在は月額1万6410円です。
続いてもらえる国民年金額は、現在(令和元年)時点での年金額は満額で78万100円となっています。月額約6万5000円、2ヶ月に一度、約13万円が支給されます。ただし全員がこの金額をもらえるわけではありません。
20歳から60歳までの40年間にわたって保険料を納付した場合、満額受け取ることができますが、納付期間に応じて減額されます。
国民年金額=78万100円×(加入月数÷480月)
※480月=40年間×12ヶ月
単純計算になりますが、仮に現在の月額で480月分支払うと40年で787万6800円納付することになり、これを現在の支給年額78万100円で割ると10.097となり、定年退職後10年以上長生きすれば元が取れる、という計算になります。
あとは長生きすればするだけお得になります。物価の変動などにより年金額は変化するため、あくまでも現状での計算上の話ではありますが。
公的年金の基本的な仕組み(2)‐厚生年金
続いて厚生年金です。こちらは定年退職後は基本的に無収入になる会社員や公務員のための上乗せ年金です。基礎年金だけでは生活基盤が保てないのでその補助的な年金だと考えてください。ですから定年退職がない個人事業主にはこの厚生年金はありません。
いくら払っていくら受け取れるかですが、加入年月で決まる前述の国民年金(基礎年金)に比べて厚生年金は少し複雑です。
まず支払う金額ですが、シンプルな計算式にすると、「(年収/12ヶ月)×保険料率÷2」※となります。
※年収=給与(通勤手当や残業手当、住宅手当などの各種手当も含む)+賞与。
※実際には額面金額ではなく、31等級に区分された一覧表の中で対応する標準報酬月額および標準賞与額となります。
※保険料率…令和元年4月~現在、18.3%。ただし会社員と公務員では若干異なります。
※「÷2」はご自身と会社が折半して負担するから。ご自身が9.15%、会社が9.15%、合算して18.3%を会社が取りまとめて納付します。
続いてもらえる金額ですが、こちらはさらに複雑です。加入年月に加えて人生での平均給与額が関わってくるからです。この人生における平均給与を「平均標準報酬月額」といいます。前述の「標準報酬月額」に「平均」が付いているだけなのですが、全く違う金額となりますのでご注意ください。
人生の平均標準報酬月額ですから、まだ働いている現在では今後いくらもらえるかは分かりません。定期的に送付されるねんきん定期便も過去の額から算出される現状での見込み額、となっているのもこのためです。
参考程度にもらえる厚生年金の額を簡単な計算式にしますと、「定額部分+報酬比例部分+加給年金額」となりますが、定額部分は生年月日に応じた率での算出ですし、報酬比例部分は前述の「平均標準報酬月額」に平成15年3月までと翌4月以降の加入年月におのおのに応じた乗数で算出します。
さらに配偶者の年齢やお子さまの年齢などの条件に合致すれば加えて支給される「加給年金額」があり、そもそも未定な金額や期間が占める影響が大きいことを考えると計算するよりも、毎年誕生月に日本年金機構からご自宅に送付される「ねんきん定期便」でチェックするのが一番です。また、50歳以上になると「ねんきんネット」でも、年金受給見込み額をチェックできます。
なお、個人事業主などの第1号被保険者には任意の上乗せ年金ともいえる「国民年金基金」や「付加年金」という制度もあります。
その他の追加が可能な年金制度
公的年金制度からは少し外れますが、公的な支援制度を活用した老後に備える年金制度として「企業年金」や「確定拠出年金」などがあります。
個々人の置かれた状況や条件など、必ずしも誰もが活用できるわけではありませんが、老後に備えるための余裕があるのであれば一考されるとよいと思います。まずは勤務されている会社に確認されてみてください。
執筆者:園田経人
株式会社SFPコンサルティング 代表取締役
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