後悔しないため。知って得する地方自治体取り組み
ファイナンシャルフィールド / 2019年10月9日 9時30分
SNSの発展・活用やサービスの多様化で以前に比べると個人が起業しやすい社会・環境になっているように見られがちではありますが、実は起業希望者や準備者の数は減少傾向にあります。こうした中で、自治体などでは起業・創業をする新たな担い手を創出するためにさまざまな起業支援を行っています。 今回は、「ちゃんと確認しておけば良かった」と後悔しないために起業する前にしっかりとチェックしておきたい、地方自治体による起業支援についてご紹介します。
知って得する自治体の取り組み
FacebookなどのSNSを見ていると、目に入るのは華々しく活躍する個人起業家の姿。そのような姿に多くの人が「私もあの人のように」と影響を受けて起業家を目指す様をよくお見受けします。
ここではそれについての良しあしを語りませんが、大事なのは起業するにはさまざまな準備が必要だということです。資金の確保やビジネスの構築など、これから起業する方にとっての悩みは多岐にわたりますよね。
そんな皆さんにぜひ知っておいてほしい・利用してほしいのが、地方自治体が行っている起業家に対する支援です。国や金融機関だけでなく、地方自治体からも融資を受けたり、サービス事業の支援を受けたりすることができます。
起業を考えるなら、自治体による融資制度や政府系金融機関、創業サポート事業について知っておきましょう。
地方自治体が起業家の支援に力を入れる理由とは?
今、自治体が起業家の支援に力を入れているのには、さまざまな理由がありますが、その最たるものが「起業・創業を活発化し、経済を活性化させたい」というものです。
企業が設立されることで雇用が生まれ、地域雇用の促進につながります。さらに、その企業が地元に根付けば、新しい企業が次々と生まれ育っていくという流れが構築され、地方創生の基礎となります。
実際に、創業支援などの施策によりV字回復できた熱海市に代表される前例もあります。このようなことから、地方自治体は起業家を支援することで、地方創生・経済を活性化していきたいという狙いがあります。
地方自治体の支援事業を活用するメリット
起業家の支援は国でも行っていますが、地方自治体の制度だからこそのメリットがあります。
まずは、起業家への「融資制度」についてです。ほとんどの地方自治体では、低金利・無担保・無保証・全期間利率固定など、創業資金の融資を受ける際の利子相当額の一部、もしくは全額を補助してくれる制度を整えています。
例えば、日本政策金融公庫が実施している新創業融資制度。この制度は、起業する人・起業から間もない人に連帯保証人・担保不要で3000万円を上限に融資がされます。
続いて、東京都の中小企業制度融資の創業融資。こちらは、起業する人に連帯保証人・担保不要で2500万円を上限に融資がされます。
また、東京都の、女性・若者(39歳以下)・シニア(55歳以上)へのサポート事業では
・資金の使途は起業資金・設備資金・運転資金
・担保は不要で、固定金利1%以内の利率、返済期間を10年以内で1500万円(運転資金のみは750万円)を限度額とした融資が受けられます。
同様に、埼玉県・千葉県の「県融資制度」、大阪府の「大阪起業家スタートアップ事業」、横浜市の「横浜市創業促進助成金」など。その他、多くの都道府県や地方自治体で創業融資や創業促進助成金、スタートアップ事業、利子補給をするなどの制度が用意され、起業しようとする人を支援しています。
次に「融資制度以外の支援」についてです。これには、セミナーや専門家によるアドバイスなどを無料で受けられる起業塾や、セミナー、個別相談などさまざまなものがあります。
地方自治体は、地方の現状・特性・課題をよく理解しているため、その地域ごとの実情に照らした起業について的確なアドバイス・支援を行ってくれます。もし、地域密着型のビジネスを考えているのであれば、自治体が手がける個別相談などを利用してみるのがお勧めです。
そのほか、起業するために活動する入居者を支援する施設である「インキュベーション施設」もあります。起業して間もない企業に安価な賃料で事業施設を提供してくれるだけでなく、専門家による成長支援・事業化支援を受けることができる自治体もあります。
起業する前に必要な情報をチェック!
冒頭でも触れたように、今SNSなどに影響を受けて起業しようとする人たちが多くいます。そこで問題になるのは、自分では「十分に準備したつもり」になっていることです。
誰しも起業する前にはいろいろなセミナーや講座を受講して必要な勉強をしたり、必要な資格を取得したりして、自分自身では「これだけ準備したから大丈夫だろう」と起業・創業しますが、実際には多くの方がその後に想定もしていなかった壁にぶつかります。
それもそうです。だって、誰しもその立場や土俵に立たなければ見えないものや気付かないこともたくさんありますから。いざ起業・創業してみるとまったく想定していなかったことや気付いていなかったこと、十分に準備していたつもりがいろいろと足りていないことなど、さまざまなトラブルが出てきます。
起業する前後はとにかく目の前のビジネスや周囲の起業家たちとの交流に追われて、自分自身のことがなおざりになることがあります。
例えば、雇用保険の失業給付の手続きなど、起業後の忙しい時にはすっかり頭から離れてしまい、資金が少なくなったときには“時すでに遅し”で、給付期間が過ぎていた、なんてことはよくあります。
これからの時代は、新たな収入源の確保を目指して副業・兼業をしようとする方もたくさん出てくるでしょう。今、起業・創業を検討されている方は、忙しくていろいろなことを考える余裕がなくなる前に、「融資制度」など最寄りの地方自治体などの起業家への支援事業をぜひ確認してみてください。
多くの地方自治体で「創業支援」で検索するとホームページで該当する情報ができます。あなたが求めている支援やサポートがあるかもしれません。
執筆者:竹内誠一
竹内FP社労士事務所 代表
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