もし夫が亡くなったら遺族年金はいくら受け取れるの?保険で備える前に知っておきたいこと
ファイナンシャルフィールド / 2019年10月12日 10時15分
生計を維持している方(被保険者)に万一のことが起こったときに、保険金を受け取ることができる収入保障保険や定期保険。 加入を検討する前に、公的保障でいくら受け取れるのか計算してみると、保険金額を考える上で参考にすることができます。
遺族年金とは?
遺族年金にはさまざまな種類がありますが、今回は被保険者が65歳未満で配偶者がいる方を例にして考えます。
遺族年金は生計を主に維持している方(=年金の被保険者)が死亡したときに受け取ることができ、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。
遺族厚生年金は、厚生年金に加入している会社員や公務員などの第2号被保険者が死亡したときしか受け取れません。
■第1号被保険者(自営業者等)
遺族基礎年金
■第2号被保険者(会社員・公務員等)
遺族基礎年金+遺族厚生年金
遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取るには、被保険者(死亡した方)と遺族(受け取る方)の要件をそれぞれ満たす必要があります。
遺族年金を受け取るための要件とは?
令和元年時点では、遺族年金を受け取るための要件は下記の通りとなっています。
<遺族基礎年金>
■被保険者の条件(死亡した方)
死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納がないこと
■遺族の条件
生計を維持されていた子どものいる配偶者または子
※子どもとは下記いずれかを満たす必要があります。
・18歳到達年度の年度末を経過していない
・20歳未満で障害年金の障害等級1級もしくは2級
■支給金額(平成31年度)
年間 78万100円+子の加算
第1子・第2子 各22万4500円
第3子以降 1人につき7万4800円
子が18歳に到達するまで受け取れます。
例えば、子どもが2人いる配偶者なら年間122万9100円で月当たり約10万円受け取れます。
<遺族厚生年金>
■被保険者の条件(死亡した方)
死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納がないこと
■遺族の条件
生計を維持されていた(1)子のある配偶者(夫は55歳以上)または子(2)子のない妻または55歳以上の夫(3)55歳以上父母(4)孫(5)55歳以上の祖父母
(1)から(5)の優先順位で受け取る権利を得ることができます。30歳未満の子のない妻は5年間の有期給付となります。
※子どもとは下記いずれかを満たす必要があります。
・18歳到達年度の年度末を経過していない
・20歳未満で障害年金の障害等級1級もしくは2級
■支給金額
1.年額=(平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬月額×5.481/1000×平成15年4月以後の被保険者期間の月数)×3/4
2.年額=(平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬月額×5.769/1000×平成15年4月以後の被保険者期間の月数)×3/4
1が受け取れる年金額ですが、2よりも下回る場合2が受け取り年金額となります。
遺族年金は、65歳以降に受け取れる老齢年金のように「ねんきん定期便」には受取予想額は掲載されておらず、自分で計算する必要があります。平均標準報酬月額は、ねんきん定期便に記載があります。
また、若い方で、加入期間が25年を満たないときは、被保険者の月数を300月とみなして計算します。
例えば、標準報酬月額が30万円で加入期間が25年に満たない場合、30万円×5.769/1000×300×3/4=38万9407円となり月当たり3万円程度となります。
したがって、18歳未満の子どもが2人いる標準報酬月額が30万円の会社員の方が死亡した場合、妻は遺族年金を月当たり13万円程度受け取れることになります。
残された家族のための保障はいくらが良い?
遺族自身の収入が高い、実家に頼ることができるなど、残された家族の状況にもよりますが、まずは世帯主の方が亡くなり収入が途絶えたときに、どれくらい公的保障が受け取れるか確認しましょう。
遺族年金の他にも、児童扶養手当1人当たり9980円~4万2290円、児童手当1人当たり3歳~月1万円(所得制限がない場合)も受け取れます。そのうえで、不足分をカバーするという意識で収入保障保険や定期保険を選ぶとよいでしょう。
執筆者:大堀貴子
CFP(R)認定者 第Ⅰ種証券外務員
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