がん保険はどう選ぶべき? 公的保険と合わせて、保障で備えるポイントを見極めよう
ファイナンシャルフィールド / 2019年10月15日 9時30分
がんになった場合に備えてがん保険に入る。一般的に「がんへの備えはがん保険で」というイメージがあります。これ自体、間違いではありません。ただ、がんにかかった場合、短期的に治療が済んでしまう場合と、長期にわたる場合とがあるため、どのシーンを想定するかで保険での備え方が変わってきます。
がんへの備えは、何を目的にする?
がんにかかり、短期的に治療が終わってしまう場合、想定すべき保障の目的は「治療費の補填」です。
しかし、治療が長期に及ぶ場合、例えば、ステージ3や4など、がんが他の部位にも転移している場合などを想定するなら、治療費のカバーはもとより、働けなくなる可能性もあるため、「家計収入のカバー」が目的として上がってきます。
がん保険では、基本的な保障内容として、「がん診断給付金」、「入院給付金」、「手術給付金」がありますが、これらに加え、「放射線治療給付金」や「抗がん剤治療給付金」、「ホルモン剤治療給付金」、「通院給付金」、「がん先進医療給付金」、「通院給付金」、「複数回診断給付金」などの特約も準備されています。
いずれも治療にともなう費用をカバーするためのものですが、短期的に治療が終わってしまうケースを想定するなら、基本保障だけでいいかもしれません。むしろ、医療保険にがん保障特約を付けるといった設計も可能です。
しかし、がんで治療が長引くことを想定する場合、特に重要なのが、抗がん剤やホルモン剤でかかる治療費の補填です。
例えば、ステージ3の乳がんが発見されたとします。内容によって異なりますが、治療の手順としては、入院前の抗がん剤治療から始まり、入院、手術、退院後の放射線治療、その後のホルモン療法、そして、検査を繰り返しながら、適宜、投薬や治療のための通院を繰り返すことになります。
このレベルでは、治療の期間が、3年、5年、7年と長期化し、長い間、がんと向き合いながら生活していくことになります。そのほとんどが、結果的に、抗がん剤やホルモン剤での治療になってくるため、がん保険でできることは、それに応じた治療費などの経済的な負担をカバーすることではあります。
しかし、このようなレベルでは、すでに生活環境は変わり、また、働く上でも支障が出ている可能性があります。仮に、この点を保険で備えたいというなら、別途、「就業不能保険」など、収入の減少をカバーしてくれる保険についても検討する必要が出てきます。
保険を使ったがんに対する備え方
がんにかかり、長期の治療を想定する場合、保険を活用することを考えるなら、まず、「健康保険制度」や、その制度内にある「高額療養費制度」を視野に入れておく必要があります。
その上で、加入している「医療保険」からどのような給付金がおりるかを確認し、これに加え、がん保険や就業不能保険などを検討していくことになります。ここでのポイントは、保険に入り過ぎないことです。つまり、どこを重点的に保障すべきかを考え、それに見合った保障内容で備えることです。
例えば、子育て世帯の場合、ご主人ががんにかかり、長期の治療を余儀なくされると、家計面で大きな負担になる可能性が高まります。かといって、すべて厚めに保障をそろえるようにしてしまうと、保険料が家計を圧迫しかねません。
治療費などのカバーを目的にするか、家計収入を安定させることを目的にするか、それとも、そのバランスを整えるか。実際の保障設計では、家計面も考慮し、保障と家計収支のバランスを確認しながら対応していきます。
ファイナンシャル・プランナー(FP)などの専門家に相談せず、自分で考えていきたいという場合、簡単な方法としては、保障の重複を避けるという方法があります。
保障の重複とは、例えば、加入している医療保険からの入院給付金日額が5000円の場合、がん保険では1万円を選択するのではなく、5000円で済ますといったやり方です。がんも病気のひとつであるため、がんにかかって治療を受けた場合、医療保険とがん保険の両方から給付金がおります。
このため、がんになったら入院給付金の日額が1万円おりることを自分なりの約束ごととし、医療保険で入院給付金日額が1万円、がん保険でも1万円などといった入り方を避け、同時に保険料が高くなることを抑えるといったやり方で対応するのもひとつの方法といえます。
まとめ
三大疾病のひとつである「がん」。がんにかかった場合を想定して、その後の生活などにどのように備えるかは、各ご家庭の状況によって異なります。がんへの備えについて考える際は、なるべくご夫婦で話し合った上で、総合的な観点から保障について検討していくようにしましょう。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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