病気やけがなど、日常に備える第三分野の保険にはどんな種類がある? それぞれの役割を知っておこう
ファイナンシャルフィールド / 2019年10月20日 9時0分
生命保険が人の命の保障を行う、損害保険が予期せぬ自然災害や事故等によって生じた損害を補償するのに対し、それらどちらにも属さない、人が病気やけがをした場合の保障を行う保険があります。 医療保険、傷害保険、介護保険などがそれにあたります。歴史的な経緯を踏まえて第三分野の保険とも呼ばれています。それらの種類とその役割について説明します。
人が病気やけがをした場合の保障を行う保険について
高齢化が進む現代において注目を浴びているのが、人が病気やけがをしたときに保障を行う医療保険、傷害保険、介護保険等です。
病気やけがのリスクは公的保険である健康保険で保障されており、上記の保険をかける目的は、公的保険から与えられる以上の保障が必要だと考える場合です。
いわば公的保険の上乗せ保障として検討することに第三分野の保険の特徴があります。以下にそれぞれの保険の概要を説明します。
医療保険
被保険者の病気や不慮の事故によるけが等による入院・手術・通院等にかかる費用を保障する保険です。
入院給付金は、疾病・けがで入院した場合一日あたり定額、手術給付金は手術の種類によりいくつかの段階に分けた定額で給付されます。通院についても保障する医療保険もあります。それ以外に、厚生労働省が定めた先進医療を受けた場合に給付される先進医療給付金等の特約があります。
がん保険は医療保険のうち、がんに特化したもので、医療保険でも保障される入院給付金や手術給付金に加え、抗がん剤・放射線・ホルモン治療給付金、乳房再建のための手術給付金等、がん特有の保障が追加され、がんに対し手厚い保障を供給しています。
傷害保険
急激かつ偶然かつ外来な事故によって身体に傷害を負い、死亡、後遺障害、入院、通院した場合に保険金が支払われます。
医療保険に入っていれば傷害で入院・手術をした場合でも保障されるので、傷害保険単独でかける事例は減少してきており、自動車保険・海外旅行保険等の複合型保険の中の保険の一つとしての位置づけが主要なものとなっています。
民間介護保険
民間介護保険は公的介護保険を補う性格を持っており、所定の要介護状態になったときに給付金が支払われます。
民間介護保険にもいくつかの種類があり、生命保険と似た分類になっています。
保障の期間により、期間を限定する定期型と、被保険者が亡くなるまで保障を行う終身型に分類されます。保険料は後者のほうが高くなります。
また、介護保険は通常掛け捨てですが、終身保険と組み合わせ、死亡保障のついたものがあります。これを貯蓄型の介護保険といっていますが、掛け捨て型と比べ保険料は高くなります。
民間介護保険を選ぶにあたり重要な要素は認定条件の違いです。独自の基準によって給付金を支払う独自型と、公的介護保険と連動して給付金を支払う連動型があります。
独自型のメリットはその保険の条件さえ満たせばすぐに給付金が支払われることです。
それに対し連動型は、給付条件は分かりやすいのですが、公的保険の認定が遅れると民間保険の給付時期もそれに連動して遅れることがあります。
連動型の場合、要介護度2から給付金支給の対象となるのが通常です。給付金の支払い方法には、一時金払いと年金払いがあります。
所得補償保険(就労不能保険)
名称の違いは販売会社によるもので、内容の違いはほとんどありません。販売会社が損害保険会社のものを所得補償保険といい、生命保険会社のものを就労不能保険といいます。
保険の内容は、病気やけがにより働けなくなって収入が減ったときに、その間の収入の減額を補償するものです。
まず所得補償保険に入る前に検討すべきことは、健康保険の傷病手当金や労災保険の療養給付や休業給付等、公的保険の補償と重複している部分がどれだけあるかということです。
その確認を行った上で、それでも入る必要があるなら入る、そうでなければやめるという見極めが必要です。
そのチェックとも関連しますが、所得補償保険における就労不能の条件を確認して、どのようなときになら給付金が支払われるかを調べることが肝要です。
所得補償保険の就労不能の条件はかなり厳しく、精神疾患の場合は給付金が支給されない、終日働けない場合のみ等の条件がついていることがあります。
補償期間についても短期型と長期型があります。短期型は補償期間が1~2年等で、給付金の支払い免除期間である免責期間も7日程度と短くなっています。
長期型は55歳や60歳まで継続して補償され、免責期間も60日から1年と長くなります。
短期型は回復の早い病気やけがを想定したもので、長期型は長期にわたる療養を要する病気に備えるものといえます。
(まとめ)
第三分野の保険は病気やけがという日常生活に直結したものだけになじみやすいものですが、公的保障と重複する保障がかなりあります。
これらの保険に入る場合には、公的保障の内容と自らの状況を十分に調べ、それでもそれらの保険が有効であるかを確認した上での加入をお勧めします。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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