え? 簡単! 誰でも3分で理解できる、遺族年金の計算方法を解説
ファイナンシャルフィールド / 2019年10月24日 10時10分
大黒柱のあなたに万一のことがあったとき、遺されたご家族の生活を守るための備えはできていますか? 遺族年金はいくら出るのかを把握し、その結果として不足する資金を事前に準備していくことは、家族の生活に対する責任を果たす上での重要な一歩といえます。
遺族年金とは?
遺族の必要保障額を知る上での計算式は、
【 遺族の必要保障額 = 遺族の生活資金 - 公的遺族年金 】 であり、生命保険文化センターの調べでは、世帯主年収500~600万円の世帯で必要と考える遺族の生活資金は月額30万円、遺族年金は月額14万円だと、月額16万円が不足する計算です。
こうしたことから、遺族年金がいくらなのかを知ることは必須といえます。以下では、65歳未満の夫が亡くなった場合に遺族がもらえる年金の種類と、遺族年金額の計算方法を考察しますが、簡単に遺族年金について押さえておきましょう。
遺族年金とは、国民年金または厚生年金に加入していた方が亡くなったときに、その遺族が受給できる年金で、下記要件によってもらえる年金の種類が決められています。
(1)自営業者等、国民年金のみ加入者の死亡のケース
・18歳未満の子がいる妻 → 遺族基礎年金
・18歳未満の子だけ → 遺族基礎年金
(2)サラリーマン等、厚生年金加入者の死亡のケース
・18歳未満の子がいる妻 → 遺族基礎年金+遺族厚生年金
・18歳未満の子だけ → 遺族基礎年金+遺族厚生年金
・40歳以上で子がないまたは18歳未満の子がない妻 → 遺族厚生年金+中高齢寡婦加算
もらえる年金の種類が分かったら、次に年金額の計算ですが、下記のポイントを押さえれば、表題の通りに簡単に遺族年金の計算方法を理解できるでしょう。
遺族基礎年金の計算方法
遺族基礎年金を受給できる遺族は、生計を維持されていた「子のある妻」または「子」です。今年4月以降の金額は下記の通りに決まっているので簡単ですね。なお、子が18歳を超えた場合は、子の加算分が支給停止となります。
(1)妻と子 → (妻78万100円)+ (子2人までは1人につき22万4500円)+ (3人目以降は1人につき7万4800円)
(2)子のみ → (1人目78万100円)+ (2人目22万4500円)+ (3人目以降1人につき7万4800円)
遺族厚生年金の計算方法
遺族厚生年金を受給できる遺族は、生計を維持されていた妻のほか、子と孫は18歳(障害等級1、2級は20歳)までなどが対象です。30歳未満の子のない妻は5年の有期給付です。
遺族厚生年金額の計算は、【老齢厚生年金の年金額の報酬比例部分 × 3/4】です。ただ、各自の給与で異なる老齢厚生年金の計算は複雑であるため、ねんきん定期便に記載されている「これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金額」を使うのが簡単計算のポイントです。
なお、被保険者期間300ヶ月(25年)未満の場合は、300ヶ月とみなして計算するため、
【これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金額 ÷ 加入月数 × 300ヶ月 × 3/4】となります。
また、40歳以上で子がない、または18歳未満の子がない妻の場合、遺族厚生年金にプラスして中高齢寡婦加算が65歳まで、遺族基礎年金の4分の3に当たる年58万5100円が支給されます。
モデルケースでの計算例
下記のモデルケースで、遺族年金額を計算してみましょう。
夫42歳死亡・会社員(厚生年金20年加入)・老齢厚生年金60万円、妻 40歳、子13歳。
・妻40歳~45歳 (子が18歳となるまでの子の加算がある期間)
(1)遺族基礎年金 78万100円+22万4500円 = 100万4600円
(2)遺族厚生年金 60万円 ÷ 240ヶ月 × 300ヶ月 ×3/4 = 56万2500円
(1) + (2) = 156万7100円(月13万591円)
・妻46歳~64歳 (子の加算がなくなる一方、65歳まで中高齢寡婦加算がある期間)
遺族厚生年金+中高齢寡婦加算→56万2500円 +58万5100円=114万7600円(月9万5633円)
・妻65歳~ (中高齢寡婦加算に代わって、妻自身の老齢基礎年金がある期間)
遺族厚生年金+妻の老齢基礎年金→56万2500円+78万100円=134万2600円(月11万1883円)
※78万100円の老齢基礎年金は、原則20歳から60歳の40年間(480ヶ月)保険料を納めた場合に受け取れる満額金額で、40年に不足する場合はその期間に応じて年金額が減額される。
Q&A遺族厚生年金の受給者が、老齢厚生年金と一緒にもらうことは可能?
Q. 遺族厚生年金の受給者が、老齢厚生年金と一緒に受給することは可能?
A. 65歳で老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給できる方は、まずご自身の老齢厚生年金を受給し、遺族厚生年金が老齢厚生年金より多い場合には、その差額を受給する形になります。
まとめ
前述のように、子が1~2人いるサラリーマン世帯の遺族年金が月額14万円程度に過ぎない中、子が18歳を超えて加算がなくなった妻は9万円前後となり、自営業世帯ではそもそも子がいないと遺族年金は支給されません。
こうした中で、働いていない遺族年金受給者も多くいます。理由としては、病気や育児、働く場がないなどが過半を占めていることを勘案すると、遺されたご家族の生活を守るための備えとしての貯蓄はもちろんですが、民間の生命保険を選択肢とすることも考えておくべきでしょう。
【出典】 公益財団法人 生命保険文化センター 平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」(平成30年12月発行)(2)世帯主に万一のことがあった場合の経済的備え [1]必要と考える資金額(年額)
執筆者:青沼英明
ハッピーライフ・未来ラボ代表、CFP(R)、日本証券アナリスト協会検定会員、 宅地建物取引士、 トータル・ライフコンサルタント(生命保険協会認定FP)、第1種証券外務員
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