年収1000万円と世帯年収1000万円では税負担がこんなに違う。いったいなぜ?
ファイナンシャルフィールド / 2019年10月27日 23時15分
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給与明細書の「総支給額」と「支払い支給額」の欄の金額を見て、なんでこんなに差があるのかと感じている方もいらっしゃると思われます。 世帯年収が同じであっても、一人で稼ぐのと二人で稼ぐのでは、税負担がかなり違うことをご存じですか? 具体的に、1000万円の年収を一人で稼ぐ世帯と二人で稼ぐ世帯の場合の、税負担について説明いたします。
税金の計算の仕組み(所得税)は?
まず、総支給額から引かれている税金、主に所得税について、どのような計算になっているのか見ていきましょう。
・収入金額等(=給与明細書の総支給額)
・所得金額(=収入金額等-給与所得控除)
・所得から差し引かれる金額(=社会保険料控除+配偶者控除+基礎控除など)
・課税される所得金額(=所得金額-所得から差し引かれる金額)
・税金の計算(=課税される金額×税率) 累進課税になっております。
・納税金額確定
以上のような流れで所得税の額は決定されます。
給与所得者の納税方法は?
個人事業主の場合は確定申告が必要ですが、大半の給与所得者の場合は、「源泉徴収」という形で毎月所得税を天引きされておりますので、12月に「年末調整」をすることで、納税金額が確定するということになります。
なお、「源泉徴収」とは、会社が給料を払う際、毎月の収入金額に応じて所得税を天引き(概算)することです。
「年末調整」とは、源泉徴収されていた所得税から各種控除を差し引き、正確な所得税を計算する手続きのことです。
年収1000万円を夫1人で稼いだ場合は?
それでは、夫一人で年収1000万円を稼いだ場合、所得税額はどうなるのか、具体例を元に考えてみましょう。
【具体例1】
夫45歳 妻40歳 男子15歳 女子12歳の4人家族
夫は会社員で23年勤務 年収1000万円 妻は専業主婦を想定
社会保険料控除(150万円 年収の15%で計算)配偶者控除(38万円)基礎控除(38万円)で計上
・収入金額等=1000万円
・所得金額=1000万円-220万円(給与所得控除)=780万円
・所得から差し引かれる金額=150万円(社会保険料控除)+38万円(配偶者控除)+38万円(基礎控除)=226万円
・課税される所得金額=780万円-226万円=554万円
・税金の計算=554万円×0.2-43万円=68万円
・納税金額=68万円
*千の単位を四捨五入
ちなみに妻が配偶者控除(38万円)からはずれた場合は、税額76万円となり、8万円の増税となります。
年収が夫500万円.妻500万円で世帯年収1000万円の場合は?
次に、夫が500万円、妻が500万円をそれぞれ稼ぎ、世帯年収が1000万円であるパターンを見てみましょう。
【具体例2】
夫45歳 妻40歳 男子15歳 女子12歳の4人家族
夫会社員で23年勤務 年収500万円 妻は会社員で20年勤務 年収500万円を想定
社会保険料控除(夫75万円 妻75万円 年収の15%で計算)基礎控除(夫38万円 妻 38万円)
夫
・収入金額等=500万円
・所得金額=500万円-154万円(給与所得控除)=346万円
・所得から差し引かれる金額=75万円(社会保険料控除)+38万円(基礎控除)=113万円
・課税される所得金額=346万円-113万円=233万円
・税金の計算=233万円×0.1ー10万円=14万円
・納税金額=14万円
妻
・収入金額等=500万円
・所得金額=500万円-154万円(給与所得控除)=346万円
・所得から差し引かれる金額=75万円(社会保険料控除)+38万円(基礎控除)=113万円
・課税される所得金額=346万円-113万円=233万円
・税金の計算=233万円×0.1ー10万円=14万円
・納税金額=14万円
*どちらも千の単位を四捨五入
合計の納税金額は28万円(夫14万円+妻14万円)となります。
どのくらいの差がある?
納税金額は、夫1人で稼いだ場合(66万円)-夫婦500万円ずつ稼いだ場合(28万円)=38万円となり、大きな差となります
住民税(所得割10%+均等割)については、収入の多い少ないにかかわらず、ほぼ一律ですので、計算に入れず所得税のみで計算いたしました。また医療費控除などがある場合は、確定申告が必要となります。
まとめ
同じ1000万円の世帯年収でも、収入の中身により大きく税金も変わってきます。
所得税は「累進課税」なので、課税所得554万円の場合の税率は「20%ー42万7500円」であり、課税所得233万円に対する税率は「10%ー9万7500円」となっており、税額も大きく変わってくるのです。
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表
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