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中小企業の経営者なら知っておきたい。退職金制度はどう準備する?

ファイナンシャルフィールド / 2019年10月29日 9時0分

中小企業の経営者なら知っておきたい。退職金制度はどう準備する?

就職をする時に、会社の福利厚生制度を確認するでしょう。住宅手当や企業年金制度のなど法定外の福利厚生制度が充実しているかどうかは、就職先を選ぶ際の大きな決め手となることも多いと思います。   また、従業員側からすると、退職金制度の有無も大きなポイントとなりますよね。そこで、福利厚生を充実させることで従業員が増えるのならば退職金制度を導入したいと思う経営者のために、どのような方法で退職金制度を準備したほうがよいのかを考えてみましょう。  

退職一時金制度

退職一時金制度とは、退職時に一括で退職金を支給する日本では一番なじみのある制度といってよいでしょう。この退職金は、会社が独自に内部留保で貯めていかなければいけません。
 
年度ごとの利益の中から現金で貯蓄することになるため、積立金に課税されてしまうという、会社側にとってはデメリットもあります。
 
また、業績が好調の時は問題ないのですが、資金繰りが厳しい局面では積立金を取り崩してしまうリスクがあったり、退職する人数が多く支払いが重なることで赤字になったりすることもあります。
 
これらのような状況の変化に加え、今は超低金利時代なので、退職一時金制度に適している中小企業はそう多くないと思います。
 

中小企業退職金共済(中退共)

中小企業退職金共済(以下、中退共)とは、中小企業向けの国の退職金制度です(※)。中退共に加入している企業の従業員の退職金制度に対し、国の助成があります。この制度を利用すると会社としては損金扱いになりますが、国からの資金援助があるということで採用している企業も多いかと思います。
 
中退共に加入できる企業は、資本金や従業員数によって変わります。個人事業主、医療法人も加入できます。
 
中退共の退職金は、会社を介さず、直接従業員に支払われます。つまり、従業員自身が中退共に加入(中退共に加入している企業に属する従業員は原則全員加入)し、従業員自身が直接支給を受けます。早期退職やトラブルを起こして退職した従業員でも同じ条件の扱いとなります。
 
会社から支払われた掛け金は従業員個人の財産となります。ただし、同時に死亡退職金を用意することはできません。また、それまで積み立てられた分しか用意できないというデメリットもあります。
 

福利厚生プランの養老保険

福利厚生養老保険とは、満期がある積立型の保険で、生死混合保険を会社が契約者となって従業員に掛けるというものです。満期保険金の受取人は会社、死亡保険金の受取人は被保険者の遺族という設定で、別名「ハーフタックス」と呼ばれています。
 
保険料の半額を損金計上、残り半分を資産計上して、会社が退職金と死亡退職金の両方を用意する方法です。
 
中退共と同じく福利厚生制度が目的なので、一定の条件をみたす従業員の全員を被保険者にする必要があります。ただし、社長・役員も従業員と同様に加入することも可能です。
 
この方法を導入したい場合は、民間の生命保険に加入することになります。養老保険ですと死亡退職金も同時に準備できるだけでなく、契約者貸付制度を活用して緊急資金を用意できるというメリットもあります。ちなみに中退共の場合は、会社が払い込んだ積立金からの貸付はできません。
 
デメリットとしては、従業員が早期退職した場合に保険も解約することになりますので、払った保険料が多く、いわゆる掛け損が起こる可能性があることです。また、健康上の理由で保険に加入できないこともあります。
 
保険の満期が年齢(60歳、65歳など)で設定されていると、60歳前後の社員が加入できないかもしれません。その場合は10年間などの期間で設定しなければいけないので、従業員の状況や経営設計によっては、養老保険は適切でないかもしれません。
 

企業型確定拠出年金(企業型DC)

企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)は、主に大企業で企業年金制度として採用されているケースが多いですが、近年は従業員数が100名以下の中小企業もこの制度を導入するところが増えています。
 
企業型DCの最大の特徴といえば、運用や制度の管理などを基本は「従業員個人で行う」という点です。会社が毎月掛け金を拠出する代わりに、運用方法は従業員個人に任せるという制度なので、退職金制度の本質である「給与の後払い」という退職金債務を負わないというメリットがあります。
 
企業型DCを導入するためには、まず労使合意で決定され、就業規則や介護育児休業規則などの規定整備が必要になります。また、導入完了までに約半年かかりますので、ほかの制度と比べると時間がかかります。養老保険と同じく役員も加入できます。
 
生命保険と違い、加入時の体況上の問題は関係ありませんし、規定として定めれば65歳まで掛金を拠出することも可能です。
 
従業員の福利厚生制度や金融情報リテラシーのアップを考えた時、企業型DCを導入することで従業員が「退職金は自分で作る」という考え方になっていけば、これからの時代はこの制度がもっと普及していくことになるでしょう。
 
(※)独立行政法人 勤労者退職金共済機構「中小企業退職金共済事業本部」
 
執筆者:末次祐治
FP事務所 くるみ企画 代表

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