いまさら聞けない企業型確定拠出年金、どんな仕組みなの?メリット・デメリットは?
ファイナンシャルフィールド / 2019年10月31日 9時0分
企業が終身雇用を否定しはじめている昨今。雇用されている側もなんとなく?とっくの昔に?気づいてはいたと思います。一昔前までは地道に定年まで働いて、それなりの退職金を手にし、公的年金の受給で老後を描くことができました。 しかし、自社で退職金を準備できる企業は減少する一方です。公的年金への不安もあり老後資金の確保はほぼ自助努力に頼るしかありません。
企業型確定拠出年金とは
企業型確定拠出年金(以下企業型DC)とは、会社が毎月一定額のお金(掛金)を拠出して、従業員が積立運用する仕組みをいいます。企業型DCには、従業員が自動的に加入する場合と従業員自身が加入するか否かを選択できる場合があります。
□企業が拠出する掛金の上限額(月額)
・他の企業年金制度も導入している場合 ⇒ 2万7500円
・他の企業年金制度が無い場合 ⇒ 5万5000円
※他の企業年金制度とは、「厚生年金基金」「退職給付企業年金制度」など
□マッチング拠出
マッチング拠出とは、会社が拠出してくれている掛金に、従業員が掛金を上乗せして運用することです。マッチング拠出を採用していない会社もありますので会社に確認してみましょう。
マッチング拠出には上限額があり、次の2つの条件を満たす必要があります。
(1)企業側が拠出する掛金の額を超えないこと
(2)企業が拠出する掛金と従業員が拠出する掛金の合計額が掛金の拠出限度額を超えないこと
用意されている運用商品
確定拠出年金制度で用意されている運用商品は、「元本確保型商品」と「元本変動型商品」に大別されます。
□元本確保型商品
元本確保型商品とは文字通り、元本割れしない安全な投資先となりますが、当然ローリスク・ローリターンとなり、低金利の時代においては、期待しているほど増えないのが現実です。具体的な商品としては「定期預金」「保険」などがあります。どうしても元本割れリスクは避けたいという方はこちらを選択することになります。
□元本変動型商品
元本変動型商品とは、元本割れするリスクを含んでいる商品をいいます。具体的には「投資信託」に投資することになります。
・商品選び3つのチェックポイント
(1)投資先
対象資産には国内株式、外国株式、国内債券、外国債券、不動産投資信託(REIT)などさまざまなものがあります。
(2)「インデックス型」or「アクティブ型」
ベンチマークと呼ばれる参考指標に連動した値動きを目指すのが「インデックス型」です。例えば、「日経平均の動きに連動した運用成果を目指します」というように目論見書に記載があれば、日経平均をベンチマークとするインデックス型の投資信託だということです。
「アクティブ型」とは、上記ベンチマークを上回る成績を目指す投資信託です。より高い成績を狙うわけですから、インデックス型に比較してハイリスク・ハイリターンとなります。
(3)運用コスト(手数料)
投資信託の運用コストとして「運用管理費用(信託報酬)」という手数料が必ず発生します。運用の成果に関わらず信託報酬がかかりますが、確定拠出年金で用意されている投資信託商品ではかなりコストが抑えられています。
なお、投資信託の購入時に販売手数料、解約時に信託財産留保額といったコストもかかります。しかし確定拠出年金で用意されている投資信託商品には、このようなコストもかからない場合がほとんどです。
企業型DCのメリット
1.運用益非課税 運用益は非課税扱い
2.年金資産の確認 年金資産の状況がいつでも確認できる
3.資産運用プラン 自身で資産運用をプランニングできる
4.ポータビリティ 転職時、自身の積立資金を転職先に移転できる
5.60歳で受け取れる 公的年金65歳に対し60歳から受け取り可能
6.不加入の選択も ライフプランにあわせて不加入の選択も。将来加入選択可能
7.一括受取時 退職所得控除の適用 ※細かい規定があります
8.低コスト 運用コストが低く抑えられている
企業型DCのデメリット
1.元本割れリスク 運用成績により、元本割れするリスクがある
2.引き出し制限がある 原則60歳まで引き出しできない
3.一定の知識必要 積極的に運用するには一定の知識が必要
まとめ
金融庁の老後2000万円問題もあり、老後資金の不安はいっそう広がりました。年金不安もあり自助努力が求められます。
勤務先に企業型DC制度がある方はラッキーだと思います。確定拠出年金制度は、金融庁も推進している「長期・分散・積立」投資に最適な制度といえます。「長期・分散・積立」は安定的な資産運用に適した、大変合理的な投資手法といえます。
勤務先に企業型DC制度がある方は、ぜひ始めてみてください。投資の開始時期が早ければ早いほど有利となります。もし余裕がある方は、個人型確定拠出年金(iDeCo)も併用されることをおすすめします。その際は会社への確認が必要となります。
もっとも、将来受け取れる退職金・年金の額は自分自身の運用結果により変動します。忘れてならないのは、あくまでも自己責任ということです。
執筆者:内宮慶之
内宮慶之FP事務所代表
CFP認定者(日本FP協会所属)、ファイナンシャルプランニング
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