現在の医療現場や治療法に合わせた保険の選び方とは?
ファイナンシャルフィールド / 2019年10月31日 9時30分
医療保険への加入を検討する際、入院の支払限度日数が判断基準の一つになるかと思います。最近、入院日数が短縮化する傾向にありますが、一体なぜなのでしょうか?医療保険に入る際の注意点と合わせて解説していきます。
入院日数の短縮化
医療保険には60日型、120日型など、1入院(同じ病気、またはケガ)での支払限度日数があるのはご存じでしょうか? もちろん、長く保障されたほうが安心ですよね。しかし、支払限度日数が長いほうが、保険料は高くなってしまいます。実際の入院日数はどのくらいなのでしょうか?
<退院患者の平均在院日数等>
以下は施設の種類別にみた、退院患者の平均在院日数の年次推移となります。平成29年では病院が30.6日、一般診療所が12.9日。以前と比べると、入院日数が短くなっていることが分かります。
厚生労働省HP「平成29年(2017)患者調査の概況」より
現在の医療現場では、入院日数は短縮化されているのです。主な理由は以下の3つとなります。
1)医療の進歩
例えば、切開手術が必要だったものが、カテーテルや腹腔鏡手術となることで、身体への負担が軽減され、入院日数も短くなってきました。また、通院での投薬治療なども進歩しており、入院しなくても通院で治療が受けられるようになってきました。
2)病院の人員不足
現在は超高齢化社会です。入院する高齢者は増える一方、支える医師や看護師の人数は不足しています。病院のベッドが空いていても、対応できる人員が足りないことにより、入院の受け入れができないというケースも多々あります。
3)病院の経営事情
病院は診療報酬で収入を得ているのですが、入院日数が長ければ長いほど、診療報酬は下がる仕組みになっています。病院は短期入院の患者さんを多く受け入れたほうが、経営としてはうまくいくわけです。病院も経営が重要ですから、入院は長期ではなく短期にして、治療をしているという事情があります。
治療法の進化
医学の進歩により、入院は短期化され、通院での治療が増えてきました。がんの治療が分かりやすい例なのですが、以前はがん細胞を切除する手術など、身体に負担をかけてしまう治療が主流でした。現在では重粒子線や陽子線などの放射線治療により、入院日数が短いだけでなく、身体への負担も軽減されています。
<事例> 75歳:男性
今年の4月、私のところへ相談に来られたお客さまは前立腺がんを患っていました。主治医からは、がん部分を切除することを治療方針として言われていましたが、その後の生活のことを不安に感じ、他に治療法はないのかというご相談でした。
お住まいの地域には重粒子線や陽子線の治療を行える大きな病院がありましたので、一度セカンドオピニオンを受けたらどうかとお伝えしました。ご本人が相談したところ、陽子線での治療がお身体の状況に合うと診断され、5月のGWに合わせて治療を受けられました。
宿泊施設も整っている病院なのですが、GW期間を利用した4泊5日の入院で、治療は完了。その後はホルモン剤治療でお薬を飲みながら、今でも以前と変わらずお仕事をされています。
先進医療といわれる最先端の医療技術を受けた際、医療費は高額になるのですが、実費で負担してくれる「先進医療特約」があります。
事例のお客さまが受けられた治療も、一部が先進医療となっていましたが、ご加入されている保険に先進医療特約がついていました。お持ちの貯金を使うことなく、治療を受けることができました。
医療現場や治療法に合わせた保険の選び方
このように、現在の医療現場では入院は短期化され、通院での治療が増えてきています。皆さんが加入されている医療保険に「通院特約」はついていますか?先進医療を受けても、保険料を心配しなくてよい「先進医療特約」はついていますか?
保険証券には入院日額や支払限度日数、その他の特約が記載されています。リスクに備えた保険は「使える保険」でなくてはいけません。足りない保障や特約を追加することもできますので、まずはご自身で保険証券をチェックしてみてください。
厚生労働省HP「平成29年(2017)患者調査の概況」
執筆者:藤井亜也
株式会社COCO PLAN (ココプラン) 代表取締役社長
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