収入保障保険の満了目前で余命1年宣告…保険金が受け取れないかも?どうすればいい?
ファイナンシャルフィールド / 2019年11月6日 23時10分
保険料の安さから、定期保険の一種である収入保障保険が人気です。しかし、保険期間中に「余命〇年」と医師から宣告された場合、時間がたつに従って受け取れる保険金の総額が少なくなっていくので、遺族の方は心配でしかたがないでしょう。 さらに、保険期間満了の数ヶ月前に余命1年と宣告されたら、保険金をまったく受け取れない可能性もあります。そんなときに知っておきたいのが「変換」制度です。
収入保障保険とは?
収入保障保険は定期保険(死亡保険)の一種です。被保険者が死亡した際に、遺族の生活を保障するものです。死亡保険金は年金として受給可能です。年金としての受け取りは、一定期間のタイプ(10年など)と、60歳までなどの所定の年齢まで受けられるタイプとがあります。
例えば、月額10万円を、死亡した時点から60歳まで受け取れるタイプにした場合、死亡した際に受けられる保険金は、
30歳:総額3600万円
40歳:総額2400万円
50歳:総額1200万円
となります。
収入保障保険は、加入後、年数が過ぎるとともに保険金の総額が逓減していきます。保険金を受け取る回数は、一般的に最低保証(5年間など)があります。仮に保険期間満了の1ヶ月前に死亡したら1ヶ月分しか保険金を受け取れないわけではありません。
なお、保険金は一括でも受け取れます。ただし、その場合は、運用益が引かれてしまうため、毎月受け取るよりも総額で少なくなってしまいます。
例えば、某保険会社の資料によると、35歳男性、基準年金月額:20万円、保険期間:60歳までの収入保障保険では、45歳時点で死亡した場合、保険金の受取総額は3600万円ですが、年金現価は約3430万円となっています。
税制上、年金形式で保険金を受け取る場合にも注意が必要です。例えば、契約者と被保険者が同じ人の場合、被保険者の死後に受ける年金の権利評価額に相続税が課せられます。加えて2年目以降は、相続税の課税対象とならなかった年金額に対し雑所得として所得税・住民税の課税対象となります。
税金の面では、一括で受け取ったほうが相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人数)や生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人数)を利用可能です。保険金を受け取る際は、税金も考慮して、一括で受け取るのか、年金で受け取るのかを決めましょう。
収入保障保険のメリット・デメリット
このように加入後、経過年数とともに受け取ることができる保険金の総額が逓減していくので、契約時の保険金額が、保険期間中、同額である定期保険に比べ保険料が割安です。
また、一括して高額の保険金額を受け取るよりも、毎月、お給料のように保険金が振り込まれるほうが家計管理をしやすいといった面もあります。
デメリットとしては、保険期間満了後に死亡した場合、一切保険金をもらえないという点です。例えば、保険期間満了の数ヶ月前に医師から余命1年と宣告され、1年後に亡くなった場合を考えてみましょう。
余命6ヶ月で、リビングニーズ特約を付加してあれば、生前に保険金を受け取ることが可能です。しかし、余命1年の場合はリビングニーズ特約の対象外です。
また、健康上の問題から新たに保険に加入できません。加入する際に必要な告知・診査なしで加入できる無選択型終身保険もありますが、契約後2年以内の病気・死亡については、既払込保険料相当額しか支払われません。
本来の死亡保障は3年目からになります(災害死亡の場合は加入時から、災害死亡保険金が受け取れます)。このようなときに知っておきたいのが「変換」制度です。
「変換」制度とは?
変換とは、現在の契約を一定の条件のもとで被保険者の「診査(告知)」なしで、他の保険種類の契約に変更することをいいます。
変換前の契約は解約となり、解約返戻金があれば契約者に返戻されます(一部例外もあります)。また、変換後の契約は新契約として取り扱われますので、保険料は返還時の年齢で算出されます。
一部の保険会社の収入保障保険の中には、一定の条件を満たせば定期保険または終身保険に変換できるものがあります。ただし、死亡保険金額は入り直す時点での年金現価以下となるのは先述したとおりです。
例えば、上記のような保険期間満了の数ヶ月前に医師から余命1年と宣告されたような場合は、「変換」して定期保険や終身保険に加入したほうが、上がった保険料を考慮しても、保険料を上回る保険金額を受け取ることができる可能性が高いといえます。
似たような制度に「転換」制度があります。「転換」制度は、現在の契約の積立部分や積立配当金を「転換(下取り)価格」として新契約の一部として活用するやり方で、元の契約は消滅します。「転換」時に診査(告知)が必要です。
このように、変換制度を利用できる収入保障保険もありますので、保険を見直す際に選択の幅が広がることでしょう。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー
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