お金が貯まる体質になるコツって?お金が貯まらない家計によくある傾向は?
ファイナンシャルフィールド / 2019年11月6日 23時15分
FP(ファイナンシャルプランナー)は、家計のご相談をいただいた方に、事前情報として現在の資産、貯蓄の状況をお伺いします。さまざまな目標設定をするために必要な前提となる情報としてお伺いするのですが、収入に比べて貯蓄があまりない、場合によってはマイナスという場合もあります。 逆に、収入はさほど多くなくてもきちんと蓄財し、着実に資産を形成されている方もいます(そのような状況を危惧しているからこそ相談にお越しになるのでしょうが)。なぜこのような差が生まれるのでしょうか? ここでは、お金が貯まらない家計の傾向と、お金の貯まる体質に改善するための方法について考えます。
消費活動は周囲の人に影響を受ける
筆者自身の経験とこれまでお話しした多くの方々のお話を伺ったうえで考えてみると、周囲に消費活動が活発な人が多いと自分もつられてついつい消費活動が活発になってしまう傾向があると思います。
会社など同じような環境で働いている人が周りにたくさんいる場合、生活レベルもその人たちの影響を受けることもあるでしょう。
最近は「年功序列」ではない会社も増えてきていますが、今でも多くの会社で年齢が上がるほど賃金が多い傾向はあるでしょう。同じようなキャリアを歩んできた人の賃金差はそう大きくないと思います。
同じ会社の年齢が近い人たち、あまり収入の違いがない人たちが集まり、「海外旅行に行った」「年に何回ゴルフをしている」「3年に一度新車に乗り換える」「ブランドのバッグを購入した」などという話を聞いていると「自分も欲しい」という気持ちになることも理解できます。
住居に関しても「彼はこんな家を買った」「こんな広い家に住んでいる」と聞けば、自分にも手が届くという気になりそうです。
一方、ご主人は堅実で昼食も一食500円以内で済ませているような場合も、奥さま同士では一食2000円以上のランチ会にしばしば参加している、といった話も聞いたりします。
確かに、ランチ会で周りのみんなが2000円のランチを食べているのに自分はコーヒーだけというわけにはいかないでしょう。人とのつながりは重要ですのでこれを「ダメ」というわけではありません。念のため。
しかし、そうしたことが重なるとついつい出費がかさみ、気が付くと「わが家にはほとんど貯金がない」といったことにもなりかねません。
お金の使い方は人によって違う
家族によってお金の使い方は違います。表向きは同じような境遇・環境でも家族構成や家族を取り巻くさまざまな状況に違いがあり、長期的に考えれば必要なお金は変わってくるはずです。
お子さまがいらっしゃる場合には、将来必ず「教育費」の需要があるでしょう。お子さまの人数や進路によっても必要額は異なり、必要になる時期もお子さまの年齢によって変わってきます。
住宅に関しても、「ずっと賃貸に住む」とお考えの場合と「いつかはマイホーム」と考えている場合とでは、お金の貯め方・使い方が変わってくるでしょう。
会社に勤めている間の人との付き合いももちろん大切です。時には飲みに行くための交際費が必要なこともあります。
同じ会社の人や仕事でお付き合いしている方とのコミュニケーションも重要ですが、人生100年時代といわれるようになり、リタイア後も人生は続きます。仕事を離れても続けられる人脈を築いておくことも重要だと考えられます。
そのほかにも「これだけは絶対に譲れない」という趣味などもあるでしょう。必要なものや全ての楽しみを抑えてでもお金を使わないようにしなければならないわけではありません。重要なのはお金の使い方のメリハリ、本当に大切なものは何かということを、お金を使う前に判断する習慣です。
お金の使途に優先順位をつける
こうした習慣を身に付けるための一つの方法として、自分と家族の将来設計を考え、意識するということがあります。自分を含めた家族の年齢、将来発生するライフイベントとともにそこで必要になる費用を見積もり、長期での収入と支出のバランスを考えるのです。
FPに相談すると作成を勧められる、あるいは作成してくれる「キャッシュフロー表」といわれるものを作成することで、将来のお金のことだけでなく家族の将来像をイメージできます。
将来のことを考えると、今をどう過ごすべきかが見えてきます。今の過ごし方がイメージできれば、今使うべきお金と使わなくてもよいお金の判断がしやすくなります。要するに、お金の使い方に優先順位をつけられるようになります。
大きな支出の予測を早めに把握する
例えば教育費。子どもの教育費は大きな支出です。子どもが行きたい学校や、なりたい職業に就くために、場合によっては専門の教育を施す教育機関に通わせる必要があるかもしれません。
その時に「お金がないからその学校には行けない」というのも忍びないですし、返済が必要な奨学金、教育ローンなどを借り入れ、将来に不安を残すのもできれば避けたいところです。
計画的に資産形成を行い、必要な時に無理なく資金が準備できるようにされていれば、子どもの入学金や授業料などの教育費の工面に慌てることもないでしょう。
住居費も大きな支出です。「ずっと賃貸派」の人は「住宅は買わないからお金は貯めなくてもよい」というわけにはいきません。生涯ずっと家賃を払い続けることを認識しておく必要があります。
今は問題なく支払えている家賃も、収入が減少すると支払いが厳しくなる場合があることに気づくでしょう。家賃を支払いながら将来のために資産形成を進める必要もあるはずです。
「いつかはマイホーム派」の人の場合は、いつ頃住宅を取得するかをイメージし、そこまでに頭金や諸経費を用意するための道筋を思い描くことができるはずです。住宅取得の場合、期限を決めておかないとなかなかマイホームの実現にたどり着けないかもしれません。
お金が貯まる体質になるコツ
なかなかお金が貯まらないという人は珍しくありません。そうした人がお金を貯める体質に改善するためには「お金を使う目的」だけではなく「お金を使わない目的」も意識することが重要です。
しばしばお店やネットショップなどで「期間限定」「数量限定」「まとめて買うとお得」などとの表記されていることがあります。これは「ここで買わないと損する」と思わせ、購入に誘導する典型的なマーケティング手法です。
そうした文字を見た時には「この店は自分を誘惑している」と気づき、その誘惑に乗ってもよいか判断する必要があります。
いずれ買おうと思っていたものがたまたま期間限定で割引になっていたような場合はチャンスかもしれません。しかし、そうした誘惑に頻繁に流され、衝動買いをしてしまうと後で後悔することも多いでしょう。このような判断を習慣づけることがお金の貯まる体質を実現することにつながります。
次回のコラムではお金の貯まる体質になるコツをもう少しお伝えします。
執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役
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