義母の介護もあるなか、夫の若年性認知症が発覚…すぐに準備しておきたいお金のこと
ファイナンシャルフィールド / 2019年11月17日 10時15分
65歳未満で発症した認知症を「若年性認知症」といいます。症状は高齢者の認知症と違いはありませんが、若いうちに発症することで問題も長期間に及ぶことになります。長期間の認知症には遺言、任意後見、民事信託などを組み合わせて対策をしなければ対応できません。
親の介護が続く中、夫が認知症になった例
夫の実家で、義母と同居し介護をしている中で、夫の若年性認知症が発覚した相談者。「これから、どんな問題が発生し、その対策はあるのでしょうか。」との御相談です。
問題(1) 義母の相続で遺産分割協議ができない
義母の相続発生したときに遺産分割協議ができないことが予想されます。認知症の相続人がいる場合に遺産分割協議をするためには、成年後見人を付けて代理してもらう必要があります。
しかし、成年後見人はいったんスタートすると、後見される人が亡くなるまで続きます。遺産分割協議が終了したからといって成年後見を終了させることはできません。
親族ではなく司法書士などの「専門職後見人」を指定された場合には、月額2万円~6万円程度の財産管理に対する報酬を払い続けなければならないことになります。
≪ 対 策 ≫
義母に遺言を作成してもらい、相続の際に遺産分割協議を不要にします。遺言があれば、それに記載された分割方法により財産は承継されます。話し合う必要がありませんので、認知症の相続人がいても相続手続きは進めることができます。
ただし、義母も認知症など意思決定能力が不十分な場合は、遺言の作成ができなくなってしまいます。遺言の作成ができなければ、認知症の相続人は成年後見人に代理してもらうこととなります。
問題(2) 夫の財産を凍結する
認知症が進むと、契約などの法律行為や財産管理ができなくなります。銀行などの口座も凍結されます。口座の金銭を使うためには、後見人を立てなければなりません。
ご主人は、現在60歳。平成30年の簡易生命表では、60歳男性の平均余命は23.84年となっています。このままでは20年以上、財産の凍結、または成年後見人による財産管理の2択という極めて困難な状況になります。
≪ 対 策 ≫
任意後見または民事信託を設定し、ご主人の財産を相談者または子が管理処分できるようにします。任意後見や民事信託であれば、成年後見と違い本人が選んだ人に財産の管理を任せることができます。
任意後見と民事信託のどちらにするか、2つを併用するかは状況に応じて判断することになります。さらに、状況によっては遺言も必要になります。
まとめ
認知症が進むと、法律行為はできません。そして、遺言・任意後見契約・民事信託契約はすべて法律行為です。認知症でも初期のうちは、契約を有効に締結することができますので急ぎ対策をとりましょう。
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士
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