今さら聞けない?始まった「軽減税率」どれが8%で何が10%なの?
ファイナンシャルフィールド / 2019年11月22日 10時30分
1989年の消費税導入から繰り返し増税がなされてきましたが、今回は増税に併せて飲食料品など特定の物品は消費税率が8%に軽減される「軽減税率」が導入されました。しかし、ひと口に生活必需品といっても軽減税率の対象となるもの、ならないものが複雑に細分化されています。 今回はいよいよ始まった消費税増税と軽減税率について説明させていただきます。
軽減税率の対象となるものは?
軽減税率は飲食料品が対象となります。ですがちまたでささやかれているように、購入するシチュエーションによって、飲食料品だからといっても軽減税率の対象とはならない場合もあります。
例えば、酒類やレストランなどでの外食やケータリングサービスを利用した場合は軽減税率の対象外となります。しかし、テイクアウトやデリバリーの利用、学校給食や老人ホームでの飲食料品の提供は軽減税率の対象となります。
このうち、外食の定義には少し注意が必要です。今回の軽減税率が規定する外食は「テーブル・椅子などの飲食設備のある場所において顧客に飲食させるサービス」としています。
このため、コンビニのイートインコーナーや店外に置いてあるベンチなども飲食設備としてみなされるので、ここを利用して飲食を行う場合は軽減税率の対象外となります。
また、飲食料品であっても食玩のように食品と食品以外がセットで販売されている「一体資産」には特段の取り決めがされています。税抜価格が1万円以下であり、食品の価格が全体の2/3以上であれば軽減税率の対象となります。
これらは消費者が見分けるのは困難なため、値札の表示などで軽減税率の対象か否かを商品ごとに別個に判断する必要があります。
この他にも、飲食料品ですが水道水は対象外であったり、洗濯や食品添加物として用いられる重曹などは食用であれば軽減税率の対象ですが洗濯用は対象外であったり、医薬品・医薬部外品の栄養ドリンクやサプリメントは軽減税率の対象外であったりと似たような商品でも軽減税率の対象とならないものがあります。
どれくらい負担が増加するのか?
一般に消費税は低所得者ほど負担が大きい税金といわれています。消費税は使用される場合に課される税金ですので、貯蓄や投資などに回せる資金の多い富裕層は収入に対して支出額の割合が比較的小さいためです。こうした税金の性質から、多くの支出を行う必要がある若年層や子育て世代ほど負担が大きくなる傾向があります。
では実際に今回の増税によってどれくらい負担額が増加するのでしょうか? 総務省の発行する家計調査報告を基に影響を考えてみましょう。本統計によれば、2018年の二人以上の世帯における、消費税が非課税となる住居費等を除いた消費支出の1ヶ月当たりの平均額は約24万9500円(*)です。
仮に軽減税率を利用しないで同様の消費を行った場合の支出額は25万4490円となり、毎月約5000円、年間で6万円負担が増加することになります。軽減税率をできる限り活用し、家計への影響を抑えましょう。
軽減税率の導入に伴い、レシートはインボイス対応が進められており、軽減税率対象か否かが分けて表示されるようになっていますのでレシートの確認を習慣化し、軽減税率の対象品目の把握に努めましょう。
まとめ
消費税の導入前、ぜいたく品に限って税金を課す「物品税」という仕組みがありました。しかし、何がぜいたく品なのかで見解が分かれ、課税・非課税の正当性を巡って何度も裁判で争われる事態となりました。
今回の軽減税率の導入による混乱は、物品税の問題点が再現してしまったかのようです。軽減税率の対象品目か否かを認識し、制度を正しく利用していきましょう。
軽減税率は基本的に飲食料品に限り適用されるもので、日用品などは対象外となります。また、飲食料品であっても外食に規定されるものや医薬品・医薬部外品の栄養ドリンクが対象外であったり、かと思えば1週間に2回以上発行される新聞を定期購読した場合は軽減税率の対象であったりと、例外が多くあります。
値札やインボイス対応のレシートなどで軽減税率の対象か否かを確認し、家計への影響を最小限に抑えていきましょう。
出典 *総務省「家計調査報告-2018年(平成30年)12月分、10~12月期平均及び2018年平均-」 ※二人以上の世帯 消費支出(除く住居等)から算出
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表
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