確定拠出年金企業型の加入者は要注意! 自動移換のデメリットとは?
ファイナンシャルフィールド / 2019年11月19日 23時20分
確定拠出年金の企業型に加入している人が転職や退職をしたとき、忘れずにやらなければならないことが、企業型資産の移換です。転職先の会社にも企業型がある場合はそちらに移換できますが、転職先に企業型がない場合は自分で個人型に移換するしかありません。 しかし、手続きの方法がわからなかったり、そもそも移換しなければならないことを知らなかったり、忘れていたりと、期間内に移換手続きをしない人もいます。
自動移換とは?
自動移換とは、確定拠出年金企業型の資格を喪失してから6ヶ月間手続きをしないと、それまでの資産を自動的に売却して国民年金基金連合会に資産を移すことです。
国民年金基金の「平成30年 国民年金基金連合会報告書」によると、平成31年3月31日現在での自動移換者は78万4000人ほどいます。なんと、1995億円もの資産が運用もされずにあるというのです。
自動移換されてしまったとしても、新たにiDeCoに加入したり、企業型に加入したりした人のうち、本人情報として基礎年金番号・性別・生年月日・カナ氏名などが一致する場合はそちらの口座に移換されることもありますが、企業型にもiDeCoにも加入していない人は、自分で手続きをする以外に自分の資金を取り戻す方法はないのです。
自動移換の3つのデメリット
自動移換されて現金であれば、特に問題ないと思う人もいるかもしれませんが、デメリットがあるのです。
1つ目は、現金で管理されたままなので運用をする機会を失ってしまいます。投資信託などで運用していれば増える可能性もあります。しかし、現金で置いたままではその機会さえもないということです。
2つ目は、移換にかかる手数料や、毎月の手数料は現金化された資産からしっかりと引かれるので、そのままにしておけば手数料分だけ資産が減る一方なのです。
企業型から特定運営管理機関への移換手数料3300円、自動移換に関する手数料1048円の他に、毎月52円が特定運営管理機関の手数料として資産から徴収され続けるのです。
また、企業型、個人型へ移換するときにも移換手数料として1100円、個人型では口座の開設費用2829円がかかります。つまり、自動移換されてしまうと手数料だけでも8000円以上もかかるということです。
3つ目は、確定拠出年金を60歳から受け取るためには、10年以上の加入期間が必要です。しかし、自動移換されている期間は老齢給付を受けるための期間に参入されないため、60歳を迎えたとしても受け取れず、受け取り開始の時期が遅くなってしまうというデメリットもあるのです。
自動移換されないために覚えておきたい2つのタイミング
自動移換までの期間は、退職した日の翌日が属する月から数えて6ヶ月後の月末です。例えば、2019年10月30日に退職すると4月30日ですが、10月31日に退職すると5月31日が期限となります。退職日が1日違うだけで、期限が1ヶ月も違うので、退職日と手続きの期限は確認するようにしましょう。
しかし、企業型の資産はいきなり自動移換されるわけではありません。退職して間もなく「確定拠出年金の加入者資格喪失のお知らせ」が届きます。この段階で個人型の加入手続きと資産の移換手続きをすれば、1ヶ月半から2ヶ月半程度で個人型の口座の開設と資産の移換が完了します。
それでもできなかったときは、4ヶ月目頃には「確定拠出年金に関する重要な手続きのご案内」が届きます。この段階でも速やかに手続きをすればまだ間に合います。
それもせずに放っておくと「確定拠出年金に関する重要なお知らせ(自動移換通知)」が届き、資産が国民年金基金連合会に移換されてしまいます。自動移換されてしまったとこに気がついたら、できるだけ早く個人型のへの移換をするようにしましょう。
企業型の確定拠出年金に加入しているときは、会社の制度なのでなんとなくやっていたという人も多いかもしれません。しかし、その資金は会社が老後の年金のために積み立てた自分自身の資産なのです。手数料や時間を無駄にしないためにも、転職や退職したときは早めに個人型への移換の手続きをしましょう。
※2019/11/21 内容を一部修正させていただきました。
執筆者:黒須かおり
ファイナンシャルプランナー CFP(R)
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