大学等の進学費用は一体どれくらい? 準備不足にならないよう早めの準備を
ファイナンシャルフィールド / 2019年11月20日 9時30分
大学等受験シーズンが本格的にスタートするこの時期、入学手続きとしてまとまったお金が必要であることを初めて知り、慌てる保護者が少なくありません。 保護者の学生時代と違い、入試制度も学費や納付時期も大きく異なります。今からでも遅くありません。高校生の保護者も大学等進学費用やお金の工面の方法について学びましょう。 知識を得るには、高校で発行している「進路の手引き」の活用や高校で開催されるファイナンシャル・プランナーによる「進学マネー講演会」への参加をお勧めします。
保護者の学生時代とは大きく異なる入試制度
保護者が高校生だった頃と今では、入試制度が大きく異なっています。例えば、大学受験の場合、昔の入試方法は一般入試が主流で、しかも受験の機会が1回なので1浪も珍しくありませんでした。
現在は、入試の多様化が進んでいます。昔からあった推薦入試、一般入試に加えAO入試が加わり、私立大では、入学者の約半数がAO入試・推薦入試を利用しています。国立大学でも約16%がAO入試・推薦入試を利用して進学しています。
現在の一般入試では、同じ大学・学部であっても複数受験の機会があり、現役合格が主流になっています。
なお、専門学校も大きく変わっています。2年制のほか、3年制や4年制もあります。また、一定の要件を満たすと、2年制以上では「専門士」、4年制では「高度専門士」の称号が得られ、それぞれ、大学への編入資格、大学院への入学資格が得られます。
保護者の学生時代とは大きく異なる学費や納付時期
学費や納付時期についても、AO入試・推薦入試で進学する生徒が増えたので、高3の秋ごろには、入学手続き時納付金を準備する必要があります。
入学手続き時納付金は、合格発表後1~2週間以内を納付期限とする大学等が一般的です。私立の学校では、専門学校も含め、分割して支払う場合、「入学金+前期分」を支払うパターンが多いようです。
私大文科系の場合、初年度納付金(入学金・授業料・施設設備費)の平均は約115万円ですが、このうち入学手続き時納付金として、約70万円必要です。理科系であれば、約100万円必要です。これらの資金が準備できなければ進学を断念しなければなりません。
入学手続き時納付金が不足した場合、最も利用されている日本学生支援機構の奨学金で賄うことはできません。奨学金は入学後に毎月一定額が振り込まれるからです。この場合、教育ローンを活用します。
もし、このような事情をご存じなければ、高校で発行している「進路の手引き」や高校で開催されるファイナンシャル・プランナーによる「進学マネー講演会」に参加して知識をブラッシュアップすることをお勧めします。
「進路の手引き」の活用
各高校では「進路の手引き」(名称は各高校で異なる場合があります)という小冊子を発行しています。
この小冊子には、「進路状況」「合格体験記」「大学等進学の基礎知識」「指定校推薦」「大学等進学費用・奨学金」「就職状況・公務員試験」などその高校の実情に沿った内容が書かれています。活用しない手はありません。
「進学マネープラン講演会」の活用
高校では、保護者会の一環として、ファイナンシャル・プランナーなどお金の専門家を招いて、保護や生徒を対象に、大学等進学費用や奨学金についての説明会を行っている場合があります。高校の先生には、お金の話をすることに抵抗があるようですので、外部講師を利用しています。
日本学生支援機構では、金融的な観点から専門的な知見を有する者を「スカラシップ・アドバイザー」として養成・認定し、全国の高等学校等に対して「奨学金等進学資金ガイダンス」の講師として登録ファイナンシャル・プランナーを派遣しています。
講師は全国一律のレジュメを使用しますので高校の実情にそぐわない場合もあります。
筆者は2004年から首都圏の高校を中心に、のべ1000校以上の高校で進学マネー講演会を行っています。主な内容は、「大学等の進学費用」「教育ローン・奨学金」についてですが、進学費用については高校の実情に応じて、芸術系の学校に特化したり、専門学校中心の内容にしたり工夫をしています。
2020年度から大学入試が大きく変わりますし、高等教育無償化も始まりますので、最新の入試情報もお届けしています。
「進路の手引き」を読んでも難しくなかなか理解できないことも、講演会などの話を聞くことによって解決するという面もありますので、このような高校のイベントをぜひ活用することをお勧めします。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー
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