政府がキャッシュレス化を推進する背景と今後の進展予想
ファイナンシャルフィールド / 2019年11月22日 8時30分
![政府がキャッシュレス化を推進する背景と今後の進展予想](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_63288_0-small.jpg)
消費税の増税に合わせて経済産業省が認定した、中小店舗でキャッレス決済サービスを使って買い物をすると5%(フランチャイズチェーン参加の中小・小規模店舗等では2%)を還元するサービスが、2020年6月までの期間限定ではありますが始まりました。 しかし、予定していたポイントが還元されないなど、キャッシュレス決済時のトラブルが相次いでいるようです。こういった中、日本政府は2025年までに「世界標準の40%」を目指してキャッシュレス化を進めようとしています。 特に、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで海外からの観光客が日本に訪問するときに、日本よりキャッシュレス化が普及している韓国や中国などの観光客が消費をしやすくするとともに、インバウンドいわれる需要を取り込むためにも、キャッシュレス化を進めていくことは大きなメリットがあります。 一方で、現金志向の強い日本では、タンス預金などの言葉があるように、現金で持っていたほうが安心感があると感じる人も多く、これまでキャッシュレス化が進まなかったという実情があります。キャッシュレス化を日本政府が旗振りをするものの、今後の普及がどうなるか注視したいところです。 今回は、キャッシュレス化の背景や決済比率などを整理し、キャッシュレス化について、一緒に考えていきたいと思います。
日本政府がキャッシュレス化を推進する背景とメリットは?
■キャッシュレス化推進の背景
すでに述べてきましたが、外国人観光客(インバウンド)への対応が大きな目的の1つです。つまり、キャッシュレス化が進んだ海外からやってくる外国人観光客が買い物をしやすい状況を作り、国内消費を喚起することです。
また、人手不足への対応のため、大手流通・小売店ではキャッシュレス決済限定店舗や無人レジの実験などが行われています。さらに、消費者の購買履歴などのビックデータを活用することで、新しいマーケティング手法の開発により、販売機会を拡大できます。
■キャッシュレス化のメリット
消費者から見たメリットとしては
(1)銀行ATMから現金を引き出す手間が省ける
(2)現金を保管したり持ち歩いたりする必要がないので、盗難・紛失のリスクが低減できる
(3)オンラインショッピングで買い物ができるなど、実店舗に行く必要がなくなる
(4)買い物をする際に財布の中にある現金の金額を超えた買い物ができる
(5)キャッシュレスを使うことでポイント還元のメリットを享受できる
などがあげられます。
また、店舗から見たメリットとしては
(1)外国人観光客を取り込むことができる
(2)オンライン店舗を開設することで遠距離の顧客からの購買が見込める
(3)店舗独自の電子マネーの発行などで顧客を囲い込むことができる
などが考えられます。
キャッシュレス決済比率と今後の進展
■キャッシュレス決済比率
各国のキャッシュレス決済比率を見ると表1のようになっており、もっともキャッシュレス化が進展しているのは韓国で、中国、カナダと続き、日本は18.4%にとどまっています。しかしながら、日本も2008年の11.9%から少しずつ上昇しており、キャッシュレス化の進展が見られます。
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■今後のキャッシュレス化の進展について
キャッシュレス化が進んだ国と比較して、わが国のキャッシュレス化が進まない理由として、現金主義の歴史が長く続いていることに加え、「現金を持っていると安心する」「キャッシュレスだと使いすぎる」などの心理的なものが考えられます。
また、中小企業側には端末導入費用や決済手数料がかかることや、資金の回収に時間がかかるなどのデメリットもあります。
さきほど述べたように、政府は中小・小規模店舗等に対しては消費増税に合わせたポイント還元施策を進めており、政府が費用の3分の1を補助するなどしてキャッシュレスの普及を図っています。しかし、この対応は2020年6月までの期間限定ゆえ、その効果には疑問が残ります。
今後、政府が掲げる“2025年までにキャッシュレス化を「世界標準の40%」にする”という目標は達成できるのか、政府による普及へ向けた新たな施策が行われるのか注視していきたいものです。
(出典)
経済産業省ホームページ「キャッシュレス」
経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー
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