取引先から発注が減ったら?従業員が辞めたら?もしものときに経営者が備えておきたいこと
ファイナンシャルフィールド / 2019年11月24日 10時50分
![取引先から発注が減ったら?従業員が辞めたら?もしものときに経営者が備えておきたいこと](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_63358_0-small.jpg)
父親が家族のために万が一に備えて保険に加入するように、経営者も自らの分身であり、子どもといっても過言ではない「会社」に対して万が一に備えて保険を考えておく必要があります。ではどのようなことを想定しておけばよいのでしょうか。 今回は経営者が会社を、従業員を、家族を守るために備えておくべき保障について考えてみます。
もしものときに想定しておきたい4つの状況
(1)新規融資の拒否や早期返済の要求
経営者に万が一のことが起きたとき、会社の信用が下落し、新規の融資を拒まれたり、逆に早期返済を要求されたりするかもしれません。会社の業績ではなく、経営者の人としての信用度が担保となっている場合です。
もしこうなったらいくら業績が良くても会社を継続できなくなるかもしれません。中小零細企業、個人事業主ほど常日頃から取引金融機関の担当者との関係を密にして、保障による準備だけでなく、万が一の際はリスケや支払期限の延長や減額といった急場をしのぐ対応をしてもらえるよう長期事業計画等を共有しておきましょう。
(2)取引先からの発注減
また、取引先から発注を抑えられたり、買掛金の早期支払いを求められたりするかもしれません。これも現場には大きな変化がないにもかかわらず、将来への不安から「様子見」をされるということです。取引先から見ても経営者の交代はやはりリスクを伴うものであり、連鎖的な影響を回避するためには致し方ないことかもしれません。
しかし、もしそうなれば全く問題もないのに会社が継続できなくなるかもしれません。こちらも万が一の際に不要な不安を抱かせることのないよう、後継者または専務や常務といった役員とも顔つなぎを意識して行っておきましょう。経営者の力量がある中小企業ほどその経営者抜きには考えられない状況を自ら作り出している傾向が強いです。
(3)従業員の退社
対外的には影響がなくても内部的に先行きの不安から退社を考える従業員が出てくるかもしれません。それは会社のビジョンが従業員と共有できていないからかもしれません。会社のビジョンとは、売上目標などの数値だけでなく、こういった会社を作りたい、一緒に作っていきたい、という思いの部分です。意外とこの「思い」の部分を従業員にさらけ出せている経営者は少ないものです。
(4)相続問題
さらに相続問題が起きるかもしれません。そうなれば経営どころではなくなります。経営権の順位付けを役職や株式の譲渡等で明確にしておきましょう。もちろん遺言書を準備しておくこともとても重要です。遺言書というと暗いイメージになりがちですが、いつでも更新できますし、それこそ前向きな会社のビジョン構想だと考えていただければと思います。
せっかく築き上げた会社があっという間に音を立てて崩れ落ちるリスクは常に潜んでいるのです。これらは経営者自身の不測の事態だけでなく、事業承継時にも起こりうることです。
そうならないためにも次の4つの準備をしておきましょう。
必ず来るもしもに備える4つの準備
(1) 事業保障対策資金と取引金融機関との関係づくり
万が一の際、金融機関や取引先、従業員の不安を払拭するための資金。
(2) 死亡退職金・弔慰金対策資金と安心して働ける待遇環境づくり
経営者、役員、従業員、ご遺族の生活を守るための相続税納付資金や相続財産分割財源。
(3) 勇退退職金対策資金と安心して働ける待遇環境づくり
功労者の功績に応じた十分な額の退職金を確保し、勇退後の豊かな生活のための資金。
(4) 事業承継・相続対策資金と会社のビジョンの共有
事業の継承を円滑に進めるための問題を解決する資金。大切な会社を守るための資金。
万が一の際に事業を継続するかあるいは清算するかいずれにしても資金が必要です。これらは経営者として会社を守るだけでなく、自分の家族と同然の従業員の生活を守るためでもあります。
そして昨今の状況でいえば、こういった備えが必要となる場面のうち、経営者が死亡するリスクよりも大病を患い長期離脱するケースが増えています。やはり時代のスピード化によって経営者の心と体の負担も大きくなっているということでしょう。
皆さんの保障は死亡以外の万が一にも備えられたものになっていますか。
執筆者:園田経人
株式会社SFPコンサルティング 代表取締役
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